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虐待で保護された先で食べた、思いがけない季節食の話


私は中学3年生の頃、日常的な精神的虐待(怒鳴る、罵る等)を受け、児童相談所の一時保護所に保護されたことがある。今日はその時の思い出のご飯を紹介しようと思う。

私の保護された一時保護所では、給食センターのように調理員さんが常駐していて、朝、昼、夜、給食のような美味しい食事を出来たてで提供してくれていた。

毎日の食事の中でもみんなが楽しみにしていた食事の日は、朝ごはんにロールパンか食パンか選んで、イチゴジャムやブルーベリージャム、バターを付けて食べられる日(食事の選択の自由が与えられるめずらしい機会だった)や、みんな大好きカレーの日などがあった。みんなが家で食べるような日常にあるような食事を食べられるのは、それだけで何らかの事情があってここに来た私達にとって、とてもホッすることだった。いつ入るか分からない私達の今後を左右する保護司さんとの面会の日や、みんなが必ずやる心理検査の日の疲れを癒してくれる食事だった。

でも保護所のご飯はそれだけではなかった!なんと12月のクリスマスには寄付されてきたケーキが2切れと寄付者のメッセージカード等、1月のお正月には伊達巻や栗きんとん、黒豆やお雑煮などのおせち料理、バレンタインにはチョコレート、3月にはひなあられなど、季節の食事(イベント食)が豊富にあった。解説や紙で作られた綺麗な飾りなども添えてあって、特別な時期に一時保護所という外食などもってのほかの場所にいる私達には思いがけないサプライズだった。

一時保護所では、ここに来た理由に関する話、家族の話は禁止されていて、ほとんど話すことがなく、そんな中でご飯の話はみんなの共通でできるお話だった。

飾りは持って帰るという人達もたくさん居て(私もその1人だった)、楽しませようとしてくれる大人がここにいるという事実を実感できて嬉しい食事の思い出だった。

こんなところで働く調理員さんも居るともっとたくさんの人に知ってもらいたい。


#元気をもらったあの食事

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