2023年6月27日広島市議会一般質問ーパールハーバー国立記念公園(アメリカ)と平和記念公園(広島)の姉妹公園提携の件

幸城麗子議員)

先週、平和記念公園と、パールハーバー国立記念公園が姉妹公園協定を締結することが発表されました。

いただいた説明資料によりますと、本年4月、在大阪神戸米国領総領事から、G7広島サミットの開催を契機として締結の打診があり、6月には市長訪問の上、正式な申し出があったとのことです。今回の申し出にあたり、総領事はパールハーバー国立記念公園は、太平洋戦争の当事者間の相互理解と平和の推進を目的としており、平和記念公園と目指すところは共通しているとの見解を示しています。さらに、サミットの機会に各国首脳が広島を訪れ、被爆の実相に触れたことの意義を強調した上で、両公園が姉妹公園として提携することにより、さらに多くの人々が広島を訪れることになるとの期待を示しています。

そこでお伺いします。この度、平和記念公園と、パールハーバー国立記念公園とが姉妹公園協定を締結することとした理由と、その意義についてお知らせお聞かせください。

次に、核兵器を巡る国際社会の動向に目をやりますと、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中で、核抑止力が必要との考え方が強くなり、これまで築いてきた核軍縮・不拡散体制への信頼が大きく揺らぐ状況になっています。先にご紹介した5月16日の我が党の提言の中では、核の使用や威嚇・拡散を防止するには、核兵器不拡散条約、NPTの体制維持と強化が不可欠であることも指摘していますが、昨年8月の第11回NPT再検討会議では、締約国が約4週間、アメリカ・ニューヨークの国連本部で交渉を続けたにもかかわらず、その成果を示す最終文書にロシアが反対したことにより、最終文書が採択されずに終わったことを、我が公明党は極めて残念であったととらえています。

そこでお伺いします。市長は昨年のNPT再検討会議には、平和記念式典と日程が重なったため、出席されませんでしたが、今年はNPT再検討会議第1回準備委員会への出席を表明されています。来月の第11回NPT再検討会議第1回準備委員会では、どのような取り組みを行う予定なのか、お聞かせください。

市長)

幸城議員からのご質問にお答えします。G7広島サミット後の平和の取り組みについてのうち、平和記念公園とパールハーバー、国立記念公園等の姉妹公園協定の締結についてのご質問がございました。

この協定の締結に関しては、まず私自身の体験を含めこれまで、経過をざっと紹介しておきたいと思います。私は市長になった翌年の2012年6月ホノルル市を訪問した際に、パールハーバー国立記念公園にあるアリゾナ記念館を訪問し、献花を行った後、死没者の名前が記された碑の前でスピーチをさせていただきました。

そのときに強調したことは、今こそ和解による平和が求められていること、そして、その実現を呼びかけるということでありました。その場にいた来場者の方々から大きな拍手をいただいたことを今でも、鮮明に覚えております。

その後、2016年にオバマ元大統領が平和記念公園を訪問した際、面会した坪井氏の日本被団協代表委員は、大統領に「恨みを乗り越え、人類のためにともに頑張りましょう」と伝え、オバマ元大統領は何度も「サンキュー」と答えたとされております。

その翌年、ホノルル広島県人会のウエイン・ミヤオ会長から、平和記念公園とホノルル市にあるアリゾナ記念館およびパールハーバービジターセンターとの間での姉妹公園の提携について提案がありました。真珠湾への奇襲攻撃、並びに、広島への原爆投下という二つの出来事で、不幸にも亡くなった方々への感謝の念を忘れることなく、また、被爆者の方々の苦しみや勇気といったものが、二度と戦争の惨禍を繰り返すべきでないということを、十分に示していることについて敬意を払うための提案ということでありましたけれども、当時、広島市、本市は、平和意識と機運の醸成を図りながら時間をかけて検討していく、という回答を行っております。

そしてこのたび、米国のリチャード・メイ総領事から、G7広島サミットの開催を機に、姉妹公園協定の締結をしてはどうかとの申し出があったところであります。

私は、人類は戦争という過ちを犯しながらも、必ずや理性を持って和解し、未来志向で、平和を求めることができる存在であると考えています。

また、原爆投下は戦争を終わらせ、人命を救うために、米国を取った必要な行為であったのか、あるいは、謝罪懺悔が必要な不当な残虐行為であったのかについて、未だに議論の的になっていることは承知しておりますが、多くの広島の人が訴えているのは、核兵器の使用を二度と繰り返してはならないという点であるとも考えております。

その上で、このたびの協定は、アリゾナ記念館の訪問から11年を経て、また、戦後78年を迎えようとする今日、かつては、敵味方にわかれていた日米両国の市民にとって、友好の架け橋となるものであり、これまで日米の先人たちが平和を願って積み重ねてきた努力に報いるものになると考えております。

さらに、このたびの協定の締結は、市民一人一人が日常生活の中で平和について考え行動する平和文化を、市民社会に根付かせるための重要な一歩になるものと確信しているところであります。その他のご質問については、関係局長から答弁いたします。

G7広島サミット推進担当局長)

G7広島サミットの平和の取り組みについてサミットの成果を、本市の政策に生かすべきと考えるかどうか。また、サミットのレガシーを目に見える形で残すべきと考えるが、本市の考えはどうかについてお答えします。

本市も参画する広島サミット県民会議では、広島サミット開催に合わせてG7首脳をはじめ、世界中の人々に被爆の実相への理解を深め、「ヒロシマの心」を共有していただくための平和発信に関する取り組みや、国内外のメディアを通じた広島の多様な魅力を発信するための取り組み、さらには未来を担う若者の参画機会確保のための取り組みなど、様々な取り組みを実施しました。

本市としては、こうした取り組みのうち、引き続き取り組むことによって、例えば、「迎える平和」や「平和文化」の振興、インバウンドの拡大など、本施策が一層強化促進されるものについては、継続して実施できるよう関係部局と調整していきたいと考えています。

また、歴史に残る広島サミットを市民が誇りを持つとともに、誘客の促進や未来を担う次世代に伝えるために、サミットのレガシーを目に見える形で残すことも重要であることから、首脳会議で実際に使用された円卓や被爆樹木を活用したG7のロゴオブジェ等を保管しており、できるだけ早い時期に公開するよう準備を進めたいと考えています。以上です。

市民局長)

G7広島サミットの平和の取り組みについて、2点のご質問にお答えいたします。

はじめに、これまで「迎える平和」を推進してきた広島市として、今回のG7広島サミットをどう評価し、今後どのように平和の取り組みを行っていくのかについてです。

これまでの「迎える平和」の取り組みの中でも最高レベルの国際会議となるG7広島サミットでは、各国首脳による資料館視察と被爆者との対話が実現し、各国首脳が被爆の実相に触れた上で、それぞれの平和への思いを、芳名録に記帳されました。

また、慰霊碑の参拝・献花の際には、碑文に込められた「ヒロシマの心」を、各国首脳にはしっかりと受け止めていただくとともに、G7で初めて発出された、核軍縮に特化した核軍縮に関するG7主の広島ビジョンにおいて、全ての者にとっての安全が損なわれない形でとの条件がつけられたものの、核兵器のない世界の実現に向けたG7主導のコミットメントが再確認されたことは、大きな意義があったと受け止めております。

今後、各国の為政者には厳しい現実から理想へと導く道が、いかに狭いものであろうとも、具体的な行動を積み上げてもらうことを期待するとともに、本市としましては、市民社会として、核兵器がある限りは抑止力があるべきだという考え方を超えて、今や核抑止論そのものが成り立たないということを前提とした為政者の行動を後押ししていくために、平和首長会議の加盟都市との連帯、連携をより一層密にし、あらゆる暴力を否定する「平和文化」を世界中に根づかせていきたいと考えております。

さらに同ビジョンの中で他の指導者や若い世代に、広島・長崎への訪問を促していることは、本市がこれまで行ってきた「被爆の実相」を守り、広め、伝える取り組みを明確に指示しているものと受け止めており、G7サミットの開催地として、さらに高まった知名度を生かしつつ、今後より一層多くの人々に広島を訪問してもらえるよう、日本政府と連携しながら「迎える平和」の取り組みを推進していきたいと考えております。

次に、NPT再検討会議の第1回準備委員会へ、市長が出席を表明しているがどのような取り組みを行う予定かについてです。本年7月から開催される第11回NPT再検討会議第1回準備委員会には、松井市長、および鈴木・長崎市長等からなる「平和首長会議代表団」を派遣し国連や各国政府関係者に対して、スピーチや個別の面会を通じて核兵器廃絶に向けた被爆者の切なる願いを訴えるとともに、G7広島サミットにおいて発出された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」に基づく今後の取り組みについて、意見交換を行い、具体的な核軍縮の進展を求めていきたいと考えております。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により中止しておりました同会議への高校生派遣事業を4年ぶりに再開し、広島県内で平和活動に取り組む高校生8名を派遣いたします。現地では同会議の傍聴や、核兵器禁止条約の早期締結を求める署名の国連関係者への提出を行うとともに、派遣高校生や各国で平和活動を行う若者が、互いの活動を学び合い、意見交換等を行う、「平和首長会議ユースフォーラム」を開催し、次代の平和活動を担う青少年の育成を図っていきたいと考えております。

さらに、同会議の会期中に会場内で平和首長会議原爆展を開催し、会議参加者や国連関係者に、広島・長崎の被爆の実相や核兵器の非人道性、平和首長会議の取り組みについて理解を深めてもらう機会を設けることにしております。以上でございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?