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「おやすみ」の後は別々に。眠りの宇宙へひとりずつ旅立つ私たち

先日、年上のおねえさんたちと食事をしていたとき、「パートナーと同じベッドで寝るかどうか」という話になった。

おねえさんたちは皆既婚で、夫婦ふたり暮らし。20代のときに結婚していた私のような家族構成だ。

なぜその話題になったのか、文脈は忘れたけれども、おねえさんたちは夫婦同じベッドで寝ていて、それなりに課題を抱えていた。

ふたりで寝るとき、生まれる問題

例えば、夫婦で就寝時間帯が違う場合。寝室に後に入ってきた方が、先に寝ている方を起こしてしまうことがある。その日の予定次第で別々の時間帯に眠りにつく、というのはよくある話。

音の問題もある。普段いびきをかかない人でも、体調によっては大きないびきをかいたり、寝息が荒くなったりすることもある。その音で一方が目を覚ましてしまったり、その後なかなか寝つけなかったりすることも。

夜中に目覚めて別の部屋やトイレに行きたい場合も、相手を起こしてしまわないか気を遣う。

シンプルに、すぐ近くに人がいて身体的・心理的に窮屈、というストレスもときにはあるだろう。

誰もがクイーンサイズやキングサイズのベッドを所有しているわけではないし、たとえその大きさだったとしても、敏感な人は相手の動きや音に反応し、熟睡できないことも考えられる。

「別々に寝ようか」提案は難しい?

おねえさんたちは、もともとは「ふたり同じベッドで寝る」のが好きだったのかもしれない。

あるいは、パートナーから「寝るときは一緒がいい」と言われて同意し、その習慣を継続してきたのかもしれない。

ただ、上にあげたような何らかの理由で、微量ではあるがストレスを感じているようだった。

おねえさんたちはそれぞれ、パートナーを想う温かい気持ちがあって、仲良しであり、「親友のような要素もある、大切な人だ」と話していたから、突然「私たち、別々に寝ない?」とは言い出しづらいのかもしれなかった。

だから私からひとつの案を示してみた。「仲良くても、眠りにつくときは別々っていうやり方もありますよ」と。

別寝があたりまえ、だった

1Kの狭い部屋に住んでいた学生の頃はできなかったけれど、社会に出た後、同棲や結婚をしていた頃、それ以降から今に至るまで、私はそのときどきのパートナーと「別々の部屋で寝る(別室別寝)」か「同じ部屋で、別のベッドで寝る(同室別寝)」のどちらかを選択してきた。

ほとんどが「別々の部屋で寝る」だ。「同じ部屋で、別のベッドで寝る」は音が気になると思い、できるだけ避けたかった。

けれど、相手の発する音がほとんど聞こえない仕組み(睡眠時無呼吸症候群の治療にCPAPを使うなど)が整えられていたので、まあいいかと思い、やってみたら、問題なく寝られた。

(一方、そういう対策をしない相手と旅をすると、たとえ耳栓をしても大音量のいびきで眠れず、翌日が寝不足で悲惨なことになる、という経験もしている。これは一種の学び)

本気で眠るときはひとりがいい

私がこんなふうにパートナーと別の部屋で寝ることを「自分のなかの常識」にしてきた理由は単純で、説明量を多くすると、こんな感じ。

「お互い心身ともに健康で、元気に生きていたい。そのためには、上質な睡眠が重要。質の良い睡眠の一要素である「熟睡」を叶えるには、開放感のあるスペースで身体を思いきり伸ばして、余計な音に煩わされず、(できる限り)起床時まで眠りの世界に入り込める状態が必要だから」

というわけで、昔からパートナーとは別の部屋で、別のベッドで、個別に眠ることにしている。再び目を開けるときまではひとり、なのだ。

映画館に行くのもひとり。家でNetflixを観るのもひとり。自分が興味のある作品に熱中しているあいだ、他の人のツッコミやコメントは求めてない。ひとりで集中したいし、その世界に没入したい。

寝るときにも、これと同じような欲望があるからこそ、ひとりを選んでいるのかもしれない。いや、その理由は後付けか。

別寝と仲の良さは関係ない

こんな話をすると「クセが強い人」「面倒くさそうな人」だと認識されたり(それは事実だから否定しない)、いや、ここまで説明する前に「別の部屋で寝てる」と言うだけで「そんなに仲が良くないのか」と思われることもあった。

とくに、結婚していた頃、夫婦それぞれ個室があり、それぞれベッドを置いていて、別々に寝ていると言うと驚かれた。

睡眠を大事にしたい、眠り好きな私たちにとっては、ごく自然なことだったのだけれど。

若い頃、「寂しくない?」と聞かれたときは、「別に……。寝落ちするときはひとりだし、うとうとしているときも眠りたいわけだから、互いに話さないですよね」「寝てるあいだ、会話するわけでもないし」など、性格が悪いとしか思えない返しをしていたように思う。

けれど、別の部屋で寝ることと仲の良さ・悪さは関係ない。

「おやすみ〜。また明日ね」と言い合って、各自が目を閉じて眠りの宇宙に旅立つまでは、すぐ近くで楽しく過ごしているのだから。

最後に

ここまで、私のケースを綴ってみた。あくまで、こんな考えもある、こんな人もいるという一事例として受け取っていただきたい。

好きなパートナーだけど、同じ部屋、同じベッドで寝るのが、なんかわからないけど、ちょっとしんどいかも……と感じている人にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

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