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きっと、澄みわたる朝色よりも、

2023.11.5

うす。

これをエロゲーって呼んでいいのか。

確かににエロシーンの極端に少ない(回想シーンは3つ)し、攻略ヒロインは1人で物語も一本道ってものあるんだけどそうじゃない。

エロゲーと呼ぶをためらうくらいがある。

博識で文学的で哲学的。
そして何よりも美しかった。

キャラ感想

誰に対しても惜しみなく愛情を注ぐ聖女 夢乃 蘭(ゆめの あららぎ)

明るく無垢で笑顔の絶えないムードメーカーのロリ巨乳。(おっさんっぽさに憧れる変人)
頭に結んだ団子がまじキュート。

けどそれはアララギの魅力のほんの一部でしかない。
誰に対しても優しすぎるしそれを貫き通せるだけの絶対的な強さ。
それがアララギの最大の魅力。
例え偽善だと蔑まれても、自分の恋心を捨ててまでも貫ける優しさに心が切なくも温かくさせてくれた。
アララギの優しさには「好きになってほしい」とか「嫌われたくない」とかそんな気持ちは無くて、ただただ自分がしたいと思ったことをしているだけと言う無垢っぷりがホントに心に染みるんよ。

そんなアララギとの好きなシーンの一つに離婚する時に発生する慰謝料についての話をするところがある。
そもそも慰謝料って何かマイナスなイメージがあるけどアララギは違うんよ。
幸せになれると信じて結婚した二人がすれ違って掴めなかった幸せ。
そのどうしよもない悲しさは何かで補わないと心が壊れてしまうから慰謝料が必要なんだって考え方が無垢で優しすぎる。
そして唐突に主人公に対して慰謝料を求めるアララギはお茶目感の中に叶うことの無い恋心を清算したい気持ちがマジ切なかった。

そもそもアララギは主人公へ恋心は絶対に叶わないけど、距離を置くこともできないってのがマジで切ない。
絶対的に勝てないライバルであり絶対的ヒロインの与神 ひよの存在が強すぎる。
自分の好きよりも圧倒的に大きい好きを持っているひよに勝てないとわかっている。
だけどアララギはひよのことも好きだし、主人公が大切で大事な仲間としてアララギのことが好きなことも知っている。
だからこの関係を壊さない為に頑張るアララギはまじで愛されるべき存在。
そんな絶対的ヒロインのひよがアララギの恋に背中を押すシーンがあるんだけどマジで好きなシーン。

この宣戦布告するのマジで好き。
アララギに必要なのは自分が恋に向き合ってはいけないという想いを壊すこと。
だから宣戦布告することでそれを壊そうとするひよの気遣い、そしてひよの大好きな主人公が自分ではなくアララギに向いていることを知ってのこの行動だからまじで熱すぎる!
この想いを受け取って、主人公に向き合うアララギはまじで可愛かった。

でも結局は結ばれそうで結ばれなかったアララギ。
自分が主人公と結ばれることでひよが悲しむことがわかっていた。
誰にでも優しくて、その優しさを貫き通せる強さのアララギに惹かれ好きになった主人公。
だからこそ自分だけ幸せになることを許せなかったし、そんな自分は好かれる資格がないと身を引いちゃう。
この自分が結ばれれば好かれた自分でなくなってしまうという悲しいジレンマを抱えたアララギはマジで見ていて切なかった。

最後アララギがひよに宣戦布告をやり返すんだけど、この作品で一番好きなところ。

ひよの恋を応援する意味でこれをやり返すのはマジで最高だった。
まじで熱すぎる!!!

和を大事にし、自分が辛くても、優しさを与え続けれるアララギは正に聖女と呼んでいい存在だった。



最強の純愛ヒロイン 与神 ひよ(くみがみ ひよ)

好きな人への優しさってどうしても自分のアピールになっちゃうじゃん。 
好かれたいし、よく思って欲しいし。
でもそれが行き過ぎてしまうと相手にこいつ重たそうで嫌だなと思われたり、私はこんなに尽くしてるのにってなりがちだと思う。
だけどひよの優しさにはそれがまったくない。
常に相手にとっての最善を思い、伝え方や自分のあり方を考えて動くから、時にはその優しさ、気遣いを気付かせないことすらもある。
そのやり方が知的かつ毅然としている姿は非常に好感がもてる。
何より人の気持ちを汲み取る能力が半端ない。
もう最高のご奉仕なんよね。
特にエグかったのは主人公がアララギを好きになっていく中でのさり気なく後押しをしていく姿。
あなた主人公の幸せを願い過ぎなんよ。
もっと我が侭になってもええんよ。

そもそもひよは自己評価がかなり低い。
子供の頃のおままごとが彼女の支えとなっていて、それが続いているから主人公の隣にいれると思っており、本来はもっと頑張らないと一緒にいられないと思っている節がある。
その為、努力の量も半端ない。
主人子は辞典をいくつか丸暗記するほどの知識量があり、ひよはその知識量の話を合わせれる量の知識をインプットしている。
文字で書くとあまり凄そうに感じないけど、作中はこれでもかとお互いにクイズを出し合い、知識を披露しあうシーンがメチャクチャある。
知識のジャンルを問わないことを考えるとひよの努力の量はマジエグイ。
だからこそアララギは絶対にひよには勝てないと思ってしまうのもよくわかる。

そんなひよだから早く主人公と上手く結ばれて欲しいと切に願ってしまった。

ひよは愛がメチャクチャ重いけどその分メチャクチャ健気で主人公の鈍感っぷりも相まって応援したくなる最強の純愛ヒロインだった。

そして慎ましい性格もあって貧乳が非常に似合うキャラだった。



みんなの姉御で巨乳のお姉さん 樫 春告(かし はるつげ)

このゲームの癒しは間違いなくこの方。
鈍感王である主人公に「屠られろ」と罵り、時には殴り、時には刀で切りかかり、この世の全ての人の代弁者になってくれている。

そしてシリアスになりがちな展開に下ネタをぶち込みまくる彼女の優しさが僕には染みた。
避難訓練の大事な標語【おかし】を「押し込まない」「掻き回さない」「舌を入れない」と卑猥な感じに変えるセンスの良さは素晴らしい。

基本エロエロの変態でひよに罵られる事を悦んでいる。
でも実は皆の姉貴的存在で、仲間達を見守り、支え、背中を押すカッコいい存在。
アララギの恋が破れてしまった時に胸を貸してあげるシーンや、暴走した人 玲人(じん れいじ)を主人公の代わりに止めるシーンはめちゃ好き。
主人公の鈍感っぷりを貶すのも、ひよやアララギのことを思っての優しい行動なのがわかる。

ってか巨乳キャラなのにおっぱいシーンがないのは何でですか!!!


生徒会という名の黒幕 若(わか)

悲劇のヒロイン。
優しい人に囲まれながら、その優しさ故に回りの人が悲しい結末を迎えてしまった人生を歩んできた彼女。
だから心という存在を疑った。
そして学園に心が枯れてしまう呪いをかけた張本人。

祖父は母の為に死に、祖母は祖父を想い心を病んだ。
母は家族の事を想うが為に殺された。

みんな優しさがあったからこそ悲劇だったけど、逆に優しさのない人生を送っていたらそれは幸せだったのかなと少し思う。

そもそも不幸だったかどうかなんてのは本人が決めることであって、傍からみた人がどうこういうことではないのかもしれない。

若さんの中に優しさが確かにあったのは事実だったし、それは確かに家族から引き出された優しさだと思う。

ひよが思い込みで幸せになれる、みたいなこと言ってたけど、不幸だと思えば不幸になるし、幸せだと思えば幸せになれると自分も思う。

だからこそ若さんには不幸だったって思うより、少しだけでも幸せだったって思って欲しいなと思った。


このゲームの良かったところ

・優しさとは何かを考えさせられる物語

優しさとは何か。
優しさと、甘やかしとの違い何なのか。
偽善とは何か。
優しさとは本来、人に備わっているものなのか。
など色々な場面で問答がある。

痛みを知っているからこそ優しくなれる。
優しさには痛みが伴う。

漠然と思っていたことを言語化し、色んな角度から優しさについて考えさせてくれた。

・主人公とひよの関係

この二人の関係が素敵過ぎる。
幼い頃、主人公はひよをイジメから救い、ひよは主人公に心と居場所と与えた。
その居場所という仲間4人を【四君子】と呼ぶことで、虐待されていた主人公を闇から光の世界に連れ出し、救うこととなった。
だから二人はお互いのことを尊敬しあい、少しでも近づけるよう切磋琢磨する姿が尊い。
けれどもそれはお互い相手には届かないと一歩引いた関係でなかなか恋愛には発展しないのが切ない。
幾度の時を重ね、お互いの想いを知り、好きを確かめ合った後の隣を歩くと決心した二人を見て凄く嬉しくなった。
最後の主人公の告白のシーンはかっこよくて好き。

・男1人、女3人で過ごす学園物

主人公が羨ましすぎる。
難関芸術の学園という設定の為生徒数がめちゃ少ない。
その関係上クラスは4人で男は主人公のみ。
そして寮もクラスと同じメンバー。
4人で川の字で寝たり、着替え姿をみてしまったり、身体測定が一緒に行われたりとエロゲーらしいシーンがあり、そういえばエロゲーやってたんだねと途中で気づかされる。
特にお気に入りのシーンは寝ている主人公の勃起を見て騒ぐ3人の姿。
がんばって鎮めるひよの姿と恥ずかしそうかつ、楽しそうに見る春告とアララギの3人の姿は見ていて性的にくるものがあった。

評価(10点満点)

シナリオ・・・6点
キャラ・・・4点
音楽・・・5点

あとがき的な何か

ぶっちゃけよく物語を理解できなかった部分もあり、感想を書くのに非常に苦労したし、魅力をあまり書けなかったと思う。
けどこの作品は綺麗で美しくて、秋を少し好きにさせてくれる。
そして何よりも人に優しくしようと思わせてくれた。
頭のあまり良くない自分にもそんな気持ちにさせてくれたいい作品だった。

ゲーム情報(Wikipediaより引用)

※この記事の画像は全て【きっと、澄みわたる朝色よりも、/propeller】より引用

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