見出し画像

花束のかわりに伝えたくて、書いた


人恋しくなって、何かをしたくなった。親しい人とハグしたくなった。

山川咲さんの「Close Contact」に行った後の素直な感想。

アートは、その人がオリジナリティを表現している事が価値だ。そして、それが多くの人、時代の流れに触れるところが多ければ評価されるのだろう。

そういう意味で、自分が受けた感覚は、山川咲のオリジナルと重なった自分の共鳴だ。作品を見て、感じて、人とのつながりのありがたさが心に染み込んでくる様だった。


いくつもの作品がある中で、自分が強く共鳴したのは2つ。

「使者は夜の海と」と名付けられた作品ではポツンとある一つの窓からさす光を頼りに、ごうごうと音が鳴る真っ暗な礼拝堂の中で過ごす。最初はお産の感覚なのかなと思い、自分の感覚には無い体験くらいの気持ちで席に座っていた。
暗い静か中でごうごうとなる音を聞いていると、寂しく、孤独である事を思い出す。誰もが持つ孤独の感覚だ。それは、どこか落ち着く感覚でもある。これまでの人生の局面で感じた馴染みがある孤独の感覚だ。
そのまま暗い部屋の中で座り、後からくる観覧者が少し離れて座るさまを見てると、自分だけでなく誰もが孤独だと思う。そして、同じ孤独の中で連帯した気持ちになる。

孤独である事を思い出して、それゆえに1人じゃ無い事を確認する。

2階にあがり、「思考の海」と名付けられた作品の中で過ごす。会場の中にながれる家族の暖かな会話と、違う場面での娘との日々の映像、そして座った席の周りには思考を書き連ねた布が一面に敷かれている。まさに、いつもの自分の多動の頭の中そのものだと感じる。
いつもあれこれ考え事をしては勝手に不安に囚われている思考の中で、見逃してしまった風景、そして目の前の光景に囚われて聞き逃してしまった記憶のことを思い返す。
失ってきたさまざまな事を思い出した。大切な人とたいせつな時間を過ごす事の大切さを思って、人恋しさが募る。


彼女がどう思っていたかはわからない。あくまで、これは自分の中にあるオリジナルが作品に共鳴した感覚。自分の中に深く深く根ざしたことを感じることができた。


タイトルの「濃厚接触(Close Contact)」という名付けに腹落ちして、頭が心が感じるだけでたまらなく人恋しくなった。人とつながるために、何かがしたくなった。

初対面だけど勇気を出して、山川さんに一言youtubeを見て来たと告げてお礼を告げてから会場を出る。会場を出てすぐ、SNSに展覧会を訪れた事を投稿した。

帰り道、表参道から渋谷まで歩いて帰る。久しぶりの外出で物珍しさに周りをみるのもそこそこに、誰かに何かを言葉で伝えたかった。


自分の中の表現する熱が外に出るのを欲していた。心が動かされて、身体を動かしたかった。この文を書こうと思ったのは、自分が文章で表現したい人だからなんだろう。自分を表現して、人とつながりたかった。

ここに心動かされた人がいると伝えたかった。それが表現した人への感謝だと思った。だから、なるべく早く、この感動を伝えるためにnoteを1つ書いた。


書こうと決めて、少し落ち着いた。帰り道の渋谷で、青いソフトクリームを食べた。


おわり。


「Close Contact」開演にあたっての山川さんの想いが綴られたnote、一部の作品の写真も載っています。書いてある事に驚くほどシンクロできていてなんだか嬉しい。
https://note.com/sakiyamakawa/n/n4841ec882327


#毎日出す 2020 100DAYS

この記事が参加している募集

イベントレポ

読んでいて幸せになれたら、僕にも教えてください。きっと、僕も飛び上がるほど幸せです。 感謝の気持ちを、あなたの居るほうへ送ります💌