主催者と一緒に「WHAT」や「HOW」を考える

私は現在、瀬戸内市役所の危機管理課に所属し、防災対策の担当をしています。

着任してから3年が経過しましたが、昨年度は特に、コロナ禍が明けたことで地域活動が再開され、防災出前講座を依頼していただく機会が非常に多かったです。

主な依頼主としては、自治会・自主防災組織が中心ですが、瀬戸内市の場合は、ふれあいサロン(高齢者中心のサロン)、老人クラブ、子ども食堂、学校・園、地区社協、福祉事業所など、様々な団体から防災について学びたいとのご相談を受けることがあります。

年明けには能登半島地震が発生しましたが、近年の災害の頻発化・激甚化により、住民の不安感・関心は高まっていると感じています。


なぜ防災?防災を学んでどうなりたい?

防災出前講座を実施する際には、できるだけ主催者の意向に沿った形で講座ができればと考えています。

そのため、事前に代表の方に電話や面談にて、講座を依頼するに至った経緯やねらい、普段の活動の様子、対象者層・人数などについて確認をさせてもらっています。

ただ、中には「防災全般について教えてほしい」「防災をテーマに何でもいいので1時間話してほしい」といった依頼もあります。

それはそれで好きに喋らせてもらうし、ひとまず防災に関心を持ってもらうという点では効果があると思いますが、せっかくなのでもう一歩踏み込んで「なぜ防災を学ぶのか?(WAHT)」「防災を学んでどうなりたいのか?(HOW)」などといったねらいを持ってもらいたいなと思っています。


「防災」をうまく使う

たとえば、災害は誰にでも突然降りかかるおそれがあります。

「防災」は老若男女問わずみんなに関係があるので、地域の共通言語となり得ます。

ですので、コロナ禍で停滞してしまった活動を再開したい自治会が、「防災」を呼び水として地域住民を集め、再び繋がりをつくるきっかけにすることができると思います。


また、地区社協のように福祉の面で地域づくりを行う団体だと、防災を切り口に地域を観察することで、日頃から気にかけておくべき要配慮者をみんなで共有しておくことに繋がります。


介護予防に携わる団体なら、介護予防そのものが災害時の避難行動に役立つことを確認し、日頃の取り組みの積み重ねが災害時に誰かの命を救うことを理解することで、より自分たちの活動が意義深いものであることを実感してもらえると思います。


「もしも」に備えることは重要なことであり、「防災について学びたい」と思ってもらえることは非常にありがたいことです。

だからこそ、せっかくだからもう一歩進んで「なぜ防災を学ぶのか?(WAHT)」「防災を学んでどうなりたいのか?(HOW)」を考え、防災をうまく使って次の活動に繋げてもらえたらいいなと思います。


今日の話は、一人ひとりの防災意識そのものを高めていかなければならないという大前提の上で、プラスαで考えてもらえたら嬉しいなというものです。

なかなか最初からそこまで掘り下げて考えることは難しいと思うので、その辺りは一緒に考えていけたらなと思います。

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