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余滴 法学編

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余滴とは、ペン先に残ったインクのこと。むかし書いた法学に関する短文などをここにまとめようと思います。
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2022年11月の記事一覧

たちぎれ線香

桂米朝が生前大切に語っていた「たちぎれ線香」という上方落語の古典。以前は「大師匠」の格で…

園田寿
1年前
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決闘裁判

かつてイギリスには、殺人事件の被害者遺族が犯人を起訴できる「殺人私訴」の制度があった。た…

園田寿
1年前
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明法寮ー近代日本の礎ー

初代司法卿江藤新平の肝入りで、当時の司法省内に「明法寮」(司法省法学校)が設置されたのが…

園田寿
1年前
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賭け碁

今はほとんどないと思われるが、むかしは商家の旦那衆が碁打ち同士を闘わせ、その勝敗に大金を…

園田寿
1年前
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アルカトラズ監獄島

アルカトラズ島は、サンフランシスコ湾内に浮かぶ小島である。昔はここに灯台があり、そして軍…

園田寿
1年前
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正義の柱 ギロチン

フランス革命以前は、斬首刑が科されるのは特権階級だけで、庶民には車刑(車輪を手足に打ち下…

園田寿
1年前
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食卓に置かれた靴について

2018年5月に故安倍晋三首相(当時)がイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相の私邸でフォーマルな晩餐会が催された。イスラエルの著名なシェフが最後に出したデザートは、(金属製の)靴に入った「チョコレート・プラリーヌ」だった。これには内外のメディアが驚きをもって報じ、失礼を通り越して侮辱だといった批判がネットでも流れた。食卓に靴を置くことが許される文化は、世界中のどこにもない。 しかし、改めて旧約聖書を読むと、次のような文章があるのを発見した。 これは、古代イスラエルでは、贖罪