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わたしの愛しいご主人さまたち #08 すべ

すべは2009年5月に我が家に仲間入りした。

すべ。
「すべ」って。
変な名前笑。

里子に出した「トカタ」までは、明確な方向性を持って命名していた。
ねこをうちに初めて入れた時に既に「ムジカ」という名前の先住犬がいた。ムジカはMusica。イタリア語で音楽。なので「イタリア語で音楽関連の言葉を、それもしりとりで」と命名方針を決めてみた。非常に安易な発想なんだけどめちゃくちゃハードルは高く、その都度必死になって名前を考えていたのがとても懐かしい。

Musica→Canto(#01カント)→Tono(#02トーノ)→Nota(#05ノータ)→Tace(#03ターチェ)→Celeste(#04チェレステ→チェレ)→Tenuto(テヌート)→Toccata(トッカータ→トカタ)

そう、実は、#06ぎうにうには元々Tenutoと名付けていたのだ!だけども、どうにもこうにもしっくりこず、家族は迷わず安定して「ぎうちゃん」と呼んでいたのでTenutoは早い段階で却下。トカタは里子に出てナルトというかっこいい名前を授かり、トカタも消滅。
そんな訳で、一度その方向性が崩れると、崩れたそれを再構築するのがとても面倒になり、その後はその場の雰囲気と直感で名づけしていくことになる。
つまるところ、テキトー。

すべさんの名づけ由来は「ラスベガス」という地名。二文字拝借して、すべ。ラスでもベガスでもなくスベ。笑

すべは、スーパーボランティアH部さんのお宅近くで未熟児で生まれた子らしい。H部さんが気にかけ、未熟児すべを大事にお世話していたある日。どうもすべのおしっこが出にくいことにH部さんは気づく。獣医に連れていってレントゲンを撮ってびっくり。なんとすべにはふたつ膀胱(状の臓器)があったのだ。このままだとおしっこを出せず死に至る…という診断。そしてさらに驚くことに、この診断をした獣医が、余分な膀胱の摘出手術を行う決断を下した。手術は無事成功し、すべの生命は救われた。

H部さんの早期の気づき、診察した獣医の迅速な決断と手術を成功させる技術、どの要素が抜けてもすべの生命は長らえることはなかったと考えると、すべって奇跡のかたまりだな!と思わずにいられなかった。

奇跡。
実はこの年の3月に、W(息子)が所属しているダンスチームが日本大会3位になり、ギリギリのところで世界大会出場の切符をもぎとった。当時のチームの実力から考えると世界大会に行けるという事実は「奇跡」に近く、チームメイトもその親御さんたちも喜びより驚きの方が上回っていたように思う。この「奇跡」の世界大会の開催場所が、ラスベガスだったのだ。

とても安直なのだけど、すべがつかみとった奇跡をWがもぎとった奇跡に重ね合わせてみた。結果、Wの奇跡の象徴だったラスベガスの地名から名付けをするに至った。

…にしても、何回でも言うけど、ラスでもベガでもなく、すべ…。
すべ、って。
ほんと、変な名前。
なんだけども!名前の変具合に反して、すべはうちにきてからスクスクと育ってくれた。未熟児として生まれたとは思えないほど、しっかりと美しい子に成長してくれた。少しビビりではあるが、性格も穏やかで先住の#01から#07たちと揉めたりすることも皆無だった。

膀胱摘出の手術の際、すべはち◯ことき◯たまも奪われてしまった。(手術で残された方の)膀胱に溜まったおしっこが体外に排出されるとき、体外に出てくるまでのアプローチが短くなってしまったせいなのか、度々おしっこの失敗があった。割とあちこちにされてしまった記憶がある。だがそれも、この数年はほとんどなくなった。よくお布団に粗相されちゃったのだけど、今3ヶ月に一度あるかないか…かな。すべは、生き延びるために改変された自らの肉体に、合わせてなじませて順応させていったのだ。すごいね。身体って。

うちに来たときのすべは、超超超若手に属する子だったのだけど、今や高齢組のトップ3に入ってしまう。幼き頃に「奇跡」が必要なほどに大変な状況に置かれてしまったけど、その後は大したケガも病気もなく……

と書きつつ、もうひとつすべの奇跡があったことを思い出した。

2009年夏、ニンゲン界ではパンデミック茶番が繰り広げられていたのだが、わが家のねこたちも次々に風邪をひきまくっていた。すべはその症状が眼に顕著に出てしまい、かなり腫れてしまっていた。
すべの膀胱摘出をしてくれた獣医のところへ、H部さんが診せに連れて行ってくれたのだが(なぜかH部さんが連れていってくれた記憶。理由は覚えていない)、その獣医は「眼球摘出したほうがよい」と診断した。H部さんは驚き、そんなワケない!そんなことしなくてもいい!と直感的に察知し、即座にすべを連れて帰ってきてくれた。そして、ホメオパシーによる治療をしてくれる獣医、T岡先生をわたしに紹介してくれた。

その後、T岡先生の診察を受け、処方されたレメディをすべに与え続けていった結果、1ヶ月後くらいにはすっかり腫れがなくなり、元通りのすべの眼が戻っていた。
「眼球摘出」を言い渡されいたのに…
こんなにキレイに治るなんて…
H部さんの直感的かつ素早い決断が、またもやすべに奇跡をもたらした。(H部さんの直感力は、なんならうちのねこたちなんかよりずっとずっと動物的)

キレイになったすべの眼を見て、T岡先生が発した言葉がとても印象的だった。
「わぁ!キレイになったねー!治るもんだねーー!」
と。
その言葉を聞いて、わたしは爆笑してしまった。なんて軽やかな人なんだろう!とうれしくなって大笑いしてしまった。

これまた何度でも述べるけど、うちの年寄りトップ3入りのすべ。
その強運力、ミラクル招聘力を武器に生命尽きるまで、このままずっとブイブイ言わせていってね。
このままずっとついていくから。

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