赤坂&四ツ谷、おやつの散歩道 - 技巧も素朴も
母がやたらと甘いものを食べたがるようになったので、実家に帰る時はお菓子のお土産をたくさん用意する。そのために、お菓子を買う機会が以前より増えてきた。
母に買って行く時は日持ちするものでないといけないのだが、赤坂のとらや地下ギャラリーでやっている生和菓子の展示にふらふらと吸い寄せられた。
さすがに実物展示ではなく全て写真だけれど、壁面いっぱいの和菓子はほんとうにきれいでうっとり。名前もいい。
春
夏
秋
冬
他にもたくさん。
推し活用?ミニチュアのフォトスポットもあり。ここの展示はいつも素敵。
それにしても芸術品のような和菓子は、さすが老舗の技。
通りを挟んだとらやの斜向かいは、赤坂御用地。
青山通りを渡って御用地の外壁に沿い、紀伊国坂を上がって迎賓館横を通り、若葉公園を抜けると四ツ谷。ランニングコースとしても散歩コースとしても、人通りが少なく大きな街路樹が緑陰を作り、起伏のある楽しい道。
四ツ谷のおやつといえば、わかばのたい焼き。
無印銀座の6階で日本のお菓子展があった時に、真っ先に解説用紙が品切れになったのがここのたい焼きだった。
四ツ谷には上智のイグナチオ教会をはじめ、キリスト教の施設が集中している。
プロテスタント教会もあるけれど、イエズス会、サレジオ、聖パウロ修道会などカトリックの修道院系が多い。隣りの千代田区番町にはローマ法王庁大使館もあるし、歴史的に何か関係があるのだろうか。
たい焼きが日本の素朴菓子の代表(の一つ)だとすると、修道院のお菓子は西の素朴菓子の代表みたいな感じ?
クッキー、ガレット、ポルボロンとかの、シンプルな焼き菓子が多い。
『ゴッドファーザーIII』に出てくるカンノーリは修道女特製という設定だった。
たい焼きわかばのすぐ近くのサンパオリーノは、修道院菓子の専門店。
オリーブオイルやワイン、ロザリオ、革サンダル等のキリスト教関連雑貨も扱っている。
聖歌が流れる店内で、日本各地の修道院で作っている焼き菓子を選ぶのが楽しい。
「ほっぺたが落っこちるくらいおいしい!」というわけではないが、どれも飽きのこない安定の味わい。
一番好きで必ず買うのは、鹿児島県霧島市の聖血礼拝修道会聖ヨセフ修道院で作っている「ショートブレード」。
母は一袋あっという間に食べてしまう。
もっとゆっくり味わって〜。
お土産のトラピストクッキーやトラピストバターのイメージが強かったせいか、修道院というと北海道に多いと思っていた。サンパオリーノに並ぶお菓子を見ると、日本のあちこちに修道院が存在していることがわかる。
家の近くにも女子修道院があり、年に一度秋のバザーで手作りパウンドケーキを買うのが楽しみだったが、もう何年もバザーは開催されていない。シスターたちはご高齢の方が多く、負担も大きいのかも。
修道院の坂を下りた先の小さな内科クリニック、たまに健診やインフルエンザ予防接種で訪れると、必ず長椅子にシスターたちが数名腰掛けて診察を待っている。
お揃いのグレーの服を着てちんまり静かに並んでいる様子は、文鳥のようで可愛い。
赤坂に戻って、とらやからちょっと下った一ツ木通りには西洋菓子しろたえ。
赤坂も和洋お菓子屋さんはたくさんあるが、ここは格別。
シンプルな佇まいのチーズケーキやシュークリームで有名だけれど、
焼き菓子もおいしい。
ケーキのガラスケース上に並んでいるのを、小さな籠に一つ、二つ選んで入れる。
最近はいつも長い行列ができていて、前を通った時にちょっとと気軽には買えなくなってしまった。予約すればいいのだが、数個しか買わない身には気が引ける。
とらやの茶寮でしろたえの紙袋を横に置いて楽しそうにおしゃべりしているおばあちゃんグループを見ると、お菓子屋さんのハシゴなのね〜と微笑ましく思ってしまう。
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