見出し画像

親の老いに向き合う - お菓子!お菓子!お菓子!

 お正月からまた90歳の老母の様子見に一人帰省。バタバタしていてnoteからも疎遠になっていた。
実家は昨年生花教室を閉じたので、今までは毎年家のあちこちに飾っていた豪華な正月花はナシ。
もう重い水盤や壺、うねる松の枝を扱う体力も気力も失せたそう。
お花なくて寂しくない?と聞いたら、お鏡餅飾るだけだったからラクだった〜、と意外にもサバサバしていた。
玄関と床の間の、サトウの小さな鏡餅の下には裏白と半紙を敷き、てっぺんには葉っぱ付きの本物のミニミニミカンを載せていた。
生活を楽しむ気持ちはまだ忘れていないとわかって、ちょっと安心。

 さて、帰省の度に恒例となった母の化粧品やサプリメントの購入チェック。
これまでのお話はこちら↓


昨年11月後半の帰省時には4件発見し、その後解約の電話をしたのだったが、2ヶ月も経たないうちにまた新たに3社から買っていた。その内1件は注文履歴を見ると、私が東京に戻った3日後に電話していた。
去年の1月に解約した会社にも、またまた注文している。
段ボールに詰まった何種類もの未開封の化粧品を母の前に置き、「こんなにたくさんあるんだから、もう断っていいよね?これからは新しいのを電話で注文しないでね」と一応確認。また買うんだろうけど。
「死ぬまで使っても使い切れない」と付け加えたいところだが、その言葉は飲み込む。

前に解約の電話をかけた際に、何社かは「お母様のご判断力が衰えていらっしゃるなら、今後また注文された場合は、娘さんの方にご連絡差し上げるということもできますが」と提案され、是非!とお願いしたのだった。
今回4社にはこちらから頼んでみたら、どこも了承してくれた。
通販会社、判断力の鈍った老人がホイホイ注文してはその家族が困って解約するというケースには慣れているのだろうな。

今回は、新たに母のある変化に驚いた。
甘い物をやたらと食べるようになった。それも大量に。
認知症の人が甘い物を欲しがるというのは聞いていた。グループホームに母親が入っている友人も、しょっちゅう「お菓子持ってきて」と差し入れを要求されると言っていた。

これまで母が甘い物をつまむのは、3時と夕食後のお茶の時だった。1回にクッキー2枚とかお饅頭1つ程度。
私が子どもの頃は、お菓子は手作り派で袋菓子は家にはほとんど無く、駄菓子好きの父は自分で買ったゼリービーンズなどを自室に置いて一人で食べていた。

私が家を出、父も死に、お菓子を手作りすることもなくなって、食品庫に袋菓子やチョコレートを常備するようにはなったが、その数や種類がここ数年で増えてきた。
「運動すると甘い物がおいしい」と言うし、買っていくと喜ぶので、私も帰省のたびに沢山お菓子のお土産を持って行くようにしている。
問題はその消費の早さだ。

貰ったお菓子はまず仏壇にあげる。あげきれない分は仏壇前に積み上げられる。
それが数日で母の胃の中に消えていっている。
見ていると、しょっちゅう仏間に行っては「今度はこれ食べよう」と嬉しそうに箱や袋ごとお菓子を選んでキッチンに持ってきて食べている。
母はもともと痩せ型で、水泳やダンスなど日常的に運動もしているので体型は昔からあまり変わらず太ってはいないのだが、それにしても食べすぎだ。

夕方5時ごろに食べている時に「今そんなにお菓子食べたら夕飯入らなくなるよ」と、昔母に言われたセリフを私が言っても
「大丈夫!ご飯はご飯でちゃんと食べられるから」とすましている。そして、その言葉通り夕飯は完食し、その後またデザートだ。
食後のデザートも今まではお茶を淹れていたが、今では時々Swiss Missなどの激甘ホットチョコレートを飲んでいる(そしてさらに甘いお菓子ももちろん食べる)。

母の朝食はパンだが、以前は食パンだったのが「朝は甘いパンがいい」と、今ではデニッシュやドーナツなど菓子パンに変わった。私は菓子パンではなくトーストが食べたいので、帰省中は食パンを焼く。
見ていると、母はトーストにジャムをてんこ盛りにしている。小さな瓶1/3くらいの量だ。
私ならその1瓶、2週間はもつけど…。
お土産に買って行った箱入りの和菓子もチョコレートも、夫の母が持たせてくれた箱入りかりんとう詰め合わせも、三が日には空になった。

一応私にも「これ、すごくおいしい。○ちゃんも、ほら食べて」と勧めてはくれるのだが、「今はいいや。後で食べる」と言ってテーブルに置いておくと、いつの間にか消えている。
そこにお菓子があれば、娘の分だということも忘れて食べてしまう。

90歳に、甘い物の食べすぎは体に悪いなんて言うのも今さらだよなぁと思う。
ダイエットの必要もないんだし、食べて幸せな気持ちになるのなら思う存分お食べなさいな、と言ってあげたい。
でも、今の母の暴走っぷりはちょっと怖い。
次回脳神経外科を受診する時に相談してみよう。

   *****************

タイトルの写真は、東京国立博物館本館の郷コレクションの根付。目当ては高円宮コレクションの方で、昨年会期終了間際にすべり込み。

故高円宮蒐集の根付は常設でも以前見ていたが、今回は二十年式年祭記念で新しい物や海外の作家の作品もたくさん。
ビデオで生前の高円宮が自身のコレクション熱について「病い膏肓に入りまして…」と笑いながら語っていた。ほんとにすごい数とバリエーション!
高円宮妃のアクセサリーのセンスは独特でいいなぁと前にも思っていたけれど、根付の趣味にもどこか通じるところがあるのかな。

ペンギンの子や
ツバメの子
チェシャ猫に
イクラ軍艦も

斬新!と思ったのは

ハンバーガーとシェイクとポテト

ハンバーガー部分はバンズを剥がしてパティとチーズが出てくる仕掛けの根付。シェイクが緒締で、ポテト部分はとんこつという煙草入れ。

平成館の小さな企画展示室だったが、とても楽しく充実した内容だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?