見出し画像

親の老いに向き合う - ヒアルロン酸とコラーゲンとプラセンタは90歳にもパワーワード

老母の様子見を兼ねて誕生日を祝いに、実家に帰省中。

美容に並々ならぬ関心を持つ母が化粧品や美容・健康サプリメントを注文しまくって、私が片っ端から解約手続きをした事は以前こちらに書いた。

その後も未開封の美容商品やサプリはまだ段ボールにたんまり残っている。
にも関わらず、私の洗顔料(スーパーで売っている数百円のお安いやつ)を、ちゃっかり使っているところを目撃!
「お金と手間ひまかけた分だけ効果が出る」が信条で、昔はデパートで(今はデパコスと言うそうですね、つい最近知った言葉。使わないけど)、その後は通販で高額な物を買い、ドラッグストアやスーパーで売ってるような安いのは怖くて使えないと言っていたのに。

なぜか?
その理由は、「私のは種類がいっぱいあって、朝とかボーっとしてどれだかわからなくなっちゃうんだけど、そんな時に目の前に『洗顔』って大きく書いたのがあると、つい使ってしまうのね〜」
だそう。

洗面台の棚は母の基礎化粧品が何種類も何本も占拠している。スポイトのついた実験器具みたいな、何だかよくわからない液体入り小瓶とかも。ドライヤーを使う際など、林立するそれらスリムでスタイリッシュなボトルどもをコードに引っ掛けてなぎ倒してしまうたびにイライラする。
お高い化粧品はパッケージもお高くとまっていて、ボトルやチューブには見えにくい金や銀のアルファベットで商品名が小さく印字され、パッと見クレンジングなのか洗顔なのか化粧水なのかクリームなのか日焼け止めなのか判別できない。裏面の表示も老眼鏡必須の米粒みたいな文字。何も表示が無い物も。
そりゃ分からなくなるわ。
さらに、母の洗顔クリームはいちいち専用のネット(?)みたいなのを使って泡立てる必要がある。面倒。
一方、洗面台横の端っこに置かせてもらっている私のお安いずんぐりしたボトルには、でっかく「泡洗顔」のラベル。ポンプ一押しでふわふわの泡が出る。
明快。実用的。清々しい。自然に手が伸びる。

「私の洗顔フォーム使ってお肌は大丈夫なの?」と尋ねたら、
「安いのは洗いあがりがやっぱり肌がつっぱる感じするけど、そのあとすぐに化粧水とか導入液なんかで保湿するから大丈夫」と言う。
じゃあ別に高い洗顔料なんか使わなくてもいいんじゃん!と突っ込みたくなるが、「ふぅ〜ん」と言うだけにしておく。

どのボトルが何だかわからなくなるんだったら、それぞれ「クレンジング」とか「洗顔」ってマジックで書いておけば?と言ったのだが、ちゃんと裏を見ればわかるんだからステキなおしゃれボトルにそんな無粋な事はしたくないそう。
はいはい、そうですか。

洗顔フォームを使われるのは別にいい。
問題は未だに新たな化粧品を買っていること。
今回も、以降の配送停止や今後DMも送らないで下さいと断りの電話を既に3件かけた。
でも、CMや広告を見てはメモしたり切り抜いたりして注文しようとするのでまだまだ油断できない。
「目元ピーン」「お肌にハリと潤い」「美白」とかが宣伝文句にあると吸い寄せられ、「ヒアルロン酸配合」「コラーゲンたっぷり」「プラセンタぐんぐん浸透」なんて書いてあったらもうまっしぐらだ。

断りの電話をかけた後も、カレンダーの12月のある日の欄に「コラーゲン午後届く予定」と書き込みを発見。また別の会社のだ。
バッグからは、折り込みチラシと一緒にそこから切り取った専用ハガキがのぞいていたので見てみたら、BBクリーム注文しようとしていた。
あぁ〜…。

卒寿バースデー。

自分の写真を見て、「いや〜ね。シワシワ!」と言っていたが、シワシワじゃない90歳のおばあさんがいたら、それは人間ではない。
先日行ったピカソ展のビデオに元恋人のフランソワーズ・ジローのインタビュー映像もあったが、その時たぶん90越えでそれなりにシワシワ。でもすごくカッコよかった。

90歳でも母の美肌への執念は衰えない。
その61歳の娘は、身体にも顔にもニベアの青缶を愛用。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?