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ふるさと納税で、あんずが届いたから、蜂蜜でつけるの巻。

前回までのあらすじ
狼と香辛料(いまだに読んだことがない)に感化された男は、去年5月に白桃ではちみつ漬けを行って、目ン玉飛び出るほどうまさに感激した。
すぐさま、次のものを蜂蜜に漬けようと思ったのだが、ところが、男の心はあんずにとらわれてしまっていた。
あんずの旬は初夏から夏にかけて。すでに8月になっていた季節では新鮮な生あんずなど手に入るわけがない。
そして、男は10か月の雌伏のときを経て、欲望のままに動き始めるのであった――。

「豊かな暮らしと安心スープレックスホールド」より


イヒヒィーッ!(おはようございます)

うぉれは、あんずダイスキ。あんずの悪魔!
干しあんずウマすぎて、一キロあっても一週間持たないぃ、糖尿病怖くて故に買うのに躊躇することもあるゥ……。
あれ絶対へんなもん入ってるぅ。食べるのノンストップ、中毒性。
お菓子にもよく入れる。タルトのカスタードの中にみじん切りをインサイド、ぱーとしゅくれにアクセントにいれるニクイ演出よくする! それ、ゼンブ、ひとりで食う。うれしみ! おまえにはやらない、イヒーッ!
ウォォン、デモ、いままでトルコ産干しあんずをむさぼりクッタことしかないィ。
シンセンなあんずを食べたくて探しに探した三年間、イヒヒー! 
わしの地域にはほとんど売ってないィ。どのにも見当たらナイィ。
じじばばとの戦いにいつも敗北、うぉれ毎年かなしィ!
でも、うぉれIQ134!
AUのふるさと納税で加工用生あんず、ハッケン! ハッケン! サトミハッケンデン! 
直ちに注文、イヒヒィー!
あんず、6月中旬ぐらいからの発送。
6月中旬に入ってからの注文。
注文遅かったから届くの時間かかるぅ。農家さん、大変。
でも届くの楽しみィ! ゲヒャヒャヒャ!
届いたら、蜂蜜にどぼどぼにつけこんでやるぅ! イヒヒィ!


二日後、届いた。

 ――7月半ばに届くだろう。
 あてずっぽうな推理をして、能天気に構えていた私にとって、それは全くの想定外であった。

 ヤマト運輸から「明日、荷物が届く」という通知は、男に保存瓶の準備をさせる行動を促すのには十分だった。たちまち足はバネとなって弾けるように外を駆け出した。蜂蜜と保存瓶の準備をせねばならなかった。

 蜂蜜は少しづつ料理で使っていたこともあって、現在ある分で足りるかどうか、男はしきりに心配がった。追加でいくらか買う必要に駆られたのだ。

 保存瓶はなくはなかったのだが、この時、1Lの取っ手付き保存用瓶には大量の生姜紅茶リキュールが入っていた。

 これを直ちに退去させなければならなかった。しかし、このリキュール、漬け込みが甘い。少なくとも一か月ぐらいは経過を観察しながら様子を見ていこうと思っていたのだが、あんずが来るならしょうがない。

 加工用とはいえ、新鮮な生あんずである。できるだけ早く加工する必要があるのだ。漬け込んだ生姜をかじってみると舌を指す辛みがあった。辛みがまだ十分に抽出されていなかった。男は己の計画性のなさにあきれ果てる。適当なボトルの中にリキュールを移した。

 これであんずを迎え入れる準備ができたと安堵したが、ここで男はあの瓶の大きさで足りるのだろうかという疑念が生じた。今回届く生あんずは約1キロである。ここに蜂蜜をいれるのだから、当然、容積の問題がある。
 ――あぁ、なんと急に来ることになったのだろうか。
 人を出迎えることにも慣れぬのに、新鮮なあんずともなれば気苦労がたえない。

 結局、仕事終わりにあちこち探し回ったが、気に入る保存瓶はなかった。買うのであれば家にある保存瓶と同じ型のものがいいだろうと妥協し、Amazonで保存瓶を買うことになった。

 思わぬことに惑うことになったが、これで準備はできた。
 後は瓶が届き次第、あんずを蜂蜜に漬ければことは終わる。労が報われることを信じてその日は眠りについた。

イヒヒヒーッ!(あんずを蜂蜜に漬けます)

イヒーッ! ズンドコ♪ ズンドコ♪ (あんずの舞)
おら、俺様のお通りだ、悪い奴は許せん、正義のパンチだ! わはは、どうだまいったか! ひひひー! 正義の悪魔だ俺は、ひひー!
ついにあんずが届いたし、保存瓶もやってきたからつけていくゾォ!

ほい!

ネットの情報をうのみにして、あんずの仕事をしていく、ふっふー!
洗ったら、あんずを二つに割って、種を取り出す。
アボカドみたいにとろうとしたらなかなか取れないので、結局力業で引っぺがすことに。工場勤めのパワーを思い知れ。くたばれ。

この種が意地を張った老人みたいでなかなか取れない。
種は回収。あの杏仁豆腐の杏仁が入っているやつです。
タネマシンガンできるぐらい固い。

割った後、これ。結構量があるなあ。ぐへへ。

かたい奴。このあたりから疲労感が出ている。

たっぷりのお湯で一分ぐらい湯がけって書いてあったから、湯がく。

割とすぐ柔らかくなるので、あんずと応相談。

冷水にさらす。

ちょっと茹ですぎた感がある。

さらせたら、皮をむいていくよ。皮と種には灰汁があるらしいので、できるだけ除去せよ。包丁で削いでいきます。

だれだ、湯剥きできるといったやつは。全然湯剥けないじゃないか!
でも、包丁で仕事するのは好きだから、ヨシ、ヨシ、YOSHI、YOSHI、YOSHI! あぁ~真夏のジャンボリー! レゲエ砂浜ビッグウェイブ!
(血走った目でもくもくと作業しながら)

あんずの皮をうすーく削いでいく。この仕事をしているときが一番生を実感できるんや。人生最後の日はモスバーガー食べながら杏子を剥いていたいとせつに願います。

夕映えはあんず色~のあんず色
初恋の色やで。ワシはしらんけど。

瓶に入れます。瓶は熱湯加熱殺菌できないっぽいので、ブランデーを回して一応殺菌しておく。酢でしようと思ったら、2Lのらっきょ酢しかなかった。オカンよ、ワシの酢はどこにやった。
あんずを中に入れると、セラーメイトの1Lの瓶2本に8割ぐらい。
あ~、なんか丁寧なことしているきがするぅ~。

このあと、蜂蜜に付け込まれるともしらないあわれなあんず

これを蜂蜜につけていきます。
あんずを丁寧に手仕事して蜂蜜につけると聞くと、丁寧な暮らしをしているロハス系女子のように聞こえるが、実際は醜悪な面で蜂蜜を瓶の中にぶち込むという悪辣極まりない行為である。実質犯罪を犯していることに近い。

あんずを蜂蜜で漬ける。
この世でもっとも犯罪に近い合法の行為。
下卑た本性を現せ、それがあんずのはちみつ漬けに必要だ。

「さて、蜂蜜をあんずにつけたザマスよ、皆さん、おいしくなるようにおまじないをしましょう(しゃらんら)」よりも、
「ゲヒヒヒィー! あんずに蜂蜜をぶちまけてやるぜぇ! 日頃のストレスもこれで発散ってコトよ! グヒィー! お前ら儀式のダンスだ! ヒヒィー! (ずんどこずんどこ)」というメンタリティであると思う。

我々は梅やあんずを漬けるとき、丁寧な暮らしをしているというプライドを盾にしている。こういうことをしているとき、人は決して人に見せられる顔をしていないのだ。漬けている人を見なさい。決まって山道をいく通行人を襲う山姥か山賊の顔をしている。漬け物とはそういうものだ。

2本あるから、1本はブランデーを入れる。
ティーロワイアル用に買ったレミーマルタンVSOP、お前の出番だ。
日和って、ちょっとしか入れられなかった。犯罪レベルが高すぎる。所詮、小悪党にしか過ぎなかった。
ブランデーで漬けている人、歴史に残る極悪人じゃない? 
あの人たち石川五右衛門?

レミーマルタン、200mlで2000円以上した気がする。
怖気が奮うぜ!

さあ、後はこれを1週間放置するらしい。
楽しみで仕方ないぜぇ!



それはそうとて、肉を食いに行く。

それはおいといて、今日は肉の日だから、肉を食ってくるぜ。
焼肉か、バーガーキングかどっちかにいってくるぜ。
所詮この世は肉。
わたし、肉だーいすき。肉もわたしが好き。

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