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文化の極み 精霊馬

Amazonには、とてつもなく意味が分からないアホなもの文化の極みに至った謎のものが置いてある。なぜそうなったのかをあほくさく考えていきたいそういうエブリデイ。
気になったものを特に調べもせず思いのまま書いていくコーナーだよ。

精霊馬

 精霊馬 ――ナスとキュウリに割り箸を差して牛と馬にしたアレである。
 ご存じの通り、ナスが牛、キュウリが馬。先祖がお盆でこっちに帰ってくるときはキュウリの馬に急いで帰ってきて、あっちに帰るときはナスの牛に載ってゆっくり帰ってねということらしい。諸説ある。
 これを聞くたびに、「なんで行き来の動物を変えるんだ。あと、なんで移動時間の心配をするんだ。帰りが牛は疲れるだろ。両方とも馬でいいだろ。あと、もう駅でバスとかでてへんのか。先祖も馬と牛の置き場所考えろやぃ」と思っていた。
 個人的にはナスが大好物ので割り箸を差すなど言語道断である。。黒田硫黄の茄子を愛読し、夏場は茄子柄のタオルを肩に掛け、無水ナスカレーを作って、ナスのピクルスを添えて食べるほどである。
 キュウリ……? 食ったらかゆくなるから、あいつはいいよ。ポリポリしてるし。

 そもそも我が家ではまったく重要なポジションではなかったので、そもそも作らなかった記憶があり、関東かどっかの風習だろうと思っていた。
 そんな精霊馬であるが、我々は8/16にはすでに存在を忘れており、あのナスとキュウリがどこに行ったのか作った本人もよくわからないまま、どこかに行っている。(たいていは胃袋)

 お盆の象徴のように語られる精霊馬であるが、大体高校野球とビールと枝豆よりも格落ち感がある。上書き保存のフロッピーディスクのアイコンレベルの存在である。
 確かにフォルムは面白いのだけど、実用性(なんの?)はなさそうであるので、そもそも毎年飾っている人いるのだろうか。

 ウェザーニュースの記事によると、どうやら、日本全体で2割程度らしい。山梨県はダントツで多く、精霊馬先進県らしい。あと、精霊馬を川に流す風習があるところで川からキュウリとナスを回収し、漬物にして売って大儲けした人がいるらしい。なんだそれ!
 あと、割り箸じゃなくて苧殻らしい。割り箸はインスタント精霊馬だったんだね。

精霊馬もクリスタルの時代。

 先日小説の設定を練るのにAmazonでフィギュアスタンドを見ていたところ、なぜか仏壇が候補に挙がってきた。
 仏壇にフィギュアを飾る人がいるの!? 推しが死んだときに飾るのだろうか?とラオウのフィギュアが仏壇で天に拳突き上げている様子を想像する。……悪趣味だな!
 どうやら、モダン仏壇というカテゴリーもあるらしく、そっちは階段や引き出しが付いた台みたいになっていて、主にペット用の仏壇や居間用のサブ仏壇らしいが、たしかにフィギュアのステージみたいに使えそうなものがあった。なあんだ、仏壇にラオウではなさそうである。

 こんなのとか。スタイル:ナポリ、色:ウォールナット調らしい。
 段差を使ってアクションフィギュアとか飾れそう。観葉植物とかにもいいね。

 そうこうしている内にワシはつい面白くなって、仏壇を見ていると、仏具も調べたくなりAmazonの奥地に侵入していったのであった。
 そして、これが出てきて飲んでいた紅茶を噴き出した。

 そんなもんあんの!? と思って笑ったが、結構出来がいい。ちょっとほしい。デスクにおいてやろうかと思うぐらいかわいいが、精霊馬としてはどうなの?
 こっちの方が下手な野菜よりも仏壇映えするかもしれないがそれはどうなの? 
 
 

 調べてみると水引版もある。
 これはアートの領域。モダン空間でも映えそうです。水引特有の透け感もあって、涼し気である。

現代お盆事情にフィットするなんとなくクリスタル。

 改めて、見てみると、クリスタル精霊馬、よくできた商品である。
 精霊馬はナスとキュウリという野菜をつかった置物であるので、野菜が傷んだり、野菜の汁で周りが汚れるというデメリットがある。
 子供が遊んでその辺でべちゃあとつぶすと目も当てられない事態になる。キュウリは知らないが、茄子の汁はシミになるのだ。白Tとか無垢材についたらOMGになる。さらに茄子もキュウリも痛むので、クーラーガンガン効かせておかないと近年の酷暑に耐えきれないだろう。
 かといって、これを模型にすると、ナスとキュウリに足を生やしただけのスペースを取る。野菜であるがゆえに数日間飾っても胃袋かゴミ箱に消えていたものが来年まで残り続ける。
 となれば、収納性がキーワードになってくる。しかし、野菜の部分が分割してあって組み立てるような精霊馬はありがたみがないし、そのままスケールダウンしたような精霊馬の模型も味気がない。プラスチック製ならなおさらである。
 クリスタル精霊馬は場所がない家庭でも台の上にでもチョンと置いておけば、それでおしまいである。透明なので、存在感がありつつもどんな空間にも合う。
 精霊馬を普段作らなさそうな家庭でも、うっかり買いそうな商品である。クリスタル精霊馬は少なくとも嫌なところがなく現代のお盆需要にフィットする商品だったのではないだろうか。

 メンテナンスフリーでインテリア性も高く、モダンなスタイルにもクラシックなスタイルにも使えるクリスタル精霊馬。
 クリスタルというところもスピリチュアルな感じもするし、置物としてもしっかりしているし、意外といいところをついてくる。
 最近はナスもキュウリも高い。10年もあれば元とれると思えばリーズナブルな商品なのではないか。東京の方なら三年あれば元を取れるのではないか。
 これをお出しされると、精霊馬ガチ勢以外は「あ~これなんとなくクリスタルでいいじゃん」とはなりそうである。
 

日本の精霊馬の極み

 感心しきっていたが、クリスタル精霊馬はもはや、「クリスタル」の部分が暴走してきて、クリスタルに乗っ取られている気がする。もはや精霊馬らしさがなくなっている。
 みなさい。ハーバリウムとのセットもある。

 
 なにそれ! とおもったけど、……あれ、なんかありだぞ? 
 いや、なんか違うな! 
 思えば、すでに霊体の先祖はモノを飲み食いできるわけではない。仏教の考え的には香りを食べていると表現されがちなので、物体としてのテクスチャーよりも、香りを優先するのはわかる。いや、でもハーバリウムはアリなんだろうか? 走馬灯の役割を兼ねているんだろうけど。
 線香やろうそくにはコーヒーの香りやラムネの香りもあるので、その延長線上ではあるのか? それにしてもハーバリウムから香りをちゅうちゅうする羽目になった天国のジジババのこと考えたことある?

 そしてこれが文化の極み、レインボークリスタル精霊馬である。
 もう何も言うまい。なにがなんだかわからないが完成度だけは高い。なんなら、ナスの紫とキュウリの緑より、らしいとさえ思ってしまう。そして、なんかいいやつそう。

 女児にも売れそうだし、外国人に売れそうである。
「これはジャパンに伝わるトラディショナル置物で~す。キューカンバーホースとエッグプラントオックスにのって先祖の霊が返ってくるので~す。」
「WOW! ジャパンのトラディショナルスピリットホース、インタレスティングでKAWAIIですね~!」
「ダディ、ミーはこのレインボーが欲しいでーす!」
「じゃあ、これを1ダースくださーい! お土産にしまーす!」
 世界が誇る日本のKAWAII精霊馬。外国人観光客のお盆インバウンド需要創出。
 ないな。

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