星 健一

星 健一

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連載「私の好きなミニコミ」第三回

 先日、池之端の古書ほうろうに久しぶりに赴いた。調子に乗って10冊以上購入してしまったのだが、中でも面白かったのが「行けない店」(岡本 仁/パピエラボ刊)だ。今回も前回同様、新刊ではなく2012年に発売になった60Pのミニコミを選んでしまったが、今はもう閉店してしまったお気に入りの飲食店について書かれた好エッセイ集である。発行されてから既に10年以上経っているが、今となっては、そこで食べることは永遠に出来ないという事実だけが残るのみだ。 岡本仁という名前を見て、ピンときた方も

    • 連載「私の好きなミニコミ」第二回

       自費出版メディア、ミニコミ。最近はZINE(ジン)と言うらしいが、おそらく中年諸氏の方にはミニコミという言葉がしっくりくるのではないか。文字情報がネット・メディアに移行した昨今だが、まだまだミニコミは生き永らえて、独自の文化を発信し続けている。  1970年代からある超老舗の新宿『模索舎』、トーク・イベントも活発な下北沢の『B&B』、3年まえに千駄木から池之端に移転した『古書ほうろう』、数年前に蔵前に出来た『Readin’ Writin’ BOOK STORE』などなど、

      • 連載「私の好きなミニコミ」第一回

        はじめに 「月刊てりとりぃ」について  アンソロジストの濱田髙志氏が編集・発行人を務める「月刊てりとりぃ」というミニコミ誌がある。フリーペーパーで毎号限定150部発行という希少数から、配布場所によってはその日のうちに無くなることもあるという。     同ミニコミは、2010年3月に創刊し、2018年6月まで通算で100号発行されていた。主な寄稿者を挙げれば、泉麻人/伊藤アキラ/井上鑑/宇野亞喜良/鷺巣詩郎/桜井順/鈴木慶一/中江有里/林哲司/古川タク/細野晴臣/松尾潔/松

      連載「私の好きなミニコミ」第三回