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#4 汗と息切れ、瞬き


『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を観てきた。

コートの中の臨場感と、緊張感と、汗と、息切れ、苦しさ、視界が眩んでもう倒れてしまいそうな感覚。
高揚した。


大学時代に演劇をやっていたときのことが思い出される。


もう1回がない試合。

勝敗こそつかないけれどそれは演劇も同じ。

同じ人たちで同じ台詞を喋っても、二度と同じものはできない。やる度に微妙に異なる化学反応が起きる。そして観てくれる人たちが違えば、演劇を共有する空間も変わる。
舞台にいる私たちが動く、その瞬間瞬間にしか物語は紡がれない。何も残らないし何も先に続いていかない。その一瞬一瞬を積み重ねて、そこに1つの作品が生まれる。

私たちはその一瞬の積み重ねのために、演劇に情熱を注ぎ込み稽古をし、自分や台詞や役や物語に向き合い、持てる全てのエネルギーを使ってもがく。

そして舞台の上に立ったとき、一瞬一瞬にそれまでの全てを懸ける。胸が熱くなる。一生懸命になる。汗をかいて、息が切れる。


演劇は、私の青春の全て。

私が初めて情熱を注いだもの。私の心の中で今も、淡く熱く光を放ち続けている。いつまでも瞬くような、もう掴むことのできない時間だ。


思い出す度に私の心は熱くなる。舞台の上にいたあの日の、汗や息切れ、その瞬きが眩しくて。


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