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#5 INTJ(建築家)の女


INTJ(建築家)の女性は全人口の0.8%しかいないらしい。


mbti診断なるものが流行っている。

初めてやったのが数年前。それから誰かと話題になる度に診断テストをやってみているのだが、INTJ(建築家)以外になった試しがない。
つい先日も同じ結果だったので、もうそろそろ違う結果を求めるのは諦めようと思う。


INTJ(建築家)は、紫色をした堅物らの一員である。内向的で直感型、論理的、そして計画的。顎に手をやり何か思考していそうな奴がそれだ。


INTJ、と検索をかけると、「社会不適合」「友達がいない」などの言葉が出てくる。

まあ、間違っていないと思う。

私は人間関係を広く築くことをあまり好まない。基本的に1人で過ごすのが気楽だし、ちゃんと連絡を取り合ったり定期的に会ったりする友達は両手に数えるくらいしかいない。

何か物事を進めるにも自分のやり方で自分のペースで進めたいし、それを誰かに邪魔されるのは気に障る。


だからといって、コミュニケーション能力がないわけではない。人とそつなく関わるための基礎的な力は備えていて、初対面の人とでも目上の人とでも、どんな人ともちゃんと会話はできる。

ただその力を使うかどうかは自分が決めることだ。
普段は人と一緒にいすぎると疲れるから、適度に距離を置く。人と関わる能力をあえて使わないという選択をしている。

コミュニケーションが必要なときには臆せず人に話しかけに行くし、そのために普段から少しずつ関係は築いておくようにしているから、特段仲良しこよししなくたってあまり問題はないだろう(と自分では思っている)。


けれど、コミュニケーションを取るまでの過程にはやはり問題がある。

私はよく、顔が怖い、話しかけにくい、と人に言われる。「話してみたら全然そんなことなかったけどね〜!」までが大体セットだ。

1人でいることが多いから当然真顔でいる時間も増えるわけだが、私は真顔でいるだけであって怖い顔をしているつもりはない。逆に、1人でいるのにニコニコしている方が怖くない?と思う。

話しかけにくいのは、何となくわかる気がする。
というのは、私はきっと他人にあまり興味がない。だから、例えば自分が今座っている場所、その半径1mくらいの空間の安全が脅かされなければ、その外側に誰がいてどんなことをしているかは割とどうでもいい。自分の世界を作って完結させてしまう。


もう1つコミュニケーションにおいて問題になり得るのは、心を開くまでに非常に時間がかかることだ。

相手がどんな人か、どんなことを考えている人か、信頼して良い人か、私のことを理解してくれる人か、それがある程度わかるまでは決して自分の心の内を明かさない。というか、明かせない。

分厚い壁を築き、私の中のものが外から簡単に見えないように、相手が外から簡単に入ってこられないようにする。壁面の表面のところだけ見せて、慎重に相手を窺う。

私が心を開ける人は、自分の考えがあって、人の話を聞くことができて、深く対話ができる人で、私のことを受け入れて面白がってくれる人たちだと思う。
ただ、そういう人だとわかってきても、本当に彼らに心を許せるのには半年とか1年とかそういうスパンの深い関わりを要する。

しかし一度壁が崩れてしまえば、私の中のものは向こう側へ流れ出ていく。
心を開いた相手に対しては、基本的に何をしても自分は許されると思っている(良い意味で)。気遣いこそすれど、構ってほしくて甘えたり、ぽろっと本音を言ってみたりする。


ツンデレの自覚がある。


高校生のとき、昼休みに友達に売店に行こうと誘われることが多々あったが、私はいつも断っていた。

私は毎日母が作ってくれるお弁当を持ってきていたから何かを買う必要はなかったし、売店は毎日激混みなのでそんな空間に何も買わない人が行っても人混みから外れたところで何もせず立っているだけだし、何しろ一緒に売店に行かなくたって私は彼女のことをちゃんと大切に思っていた(ちなみに私はこのことを彼女にそのまま伝えたことがある)。
要は、一緒に行く必要がないと思っていたのだけれど。

私が何度行かないと言おうと「でも、あなたにも行きたいときがあるかもしれないのに誘わないのは自分が嫌だから」と、卒業まで根気強く私を誘い続けてくれた彼女には、本当に感謝している。


普段は内向的な性格ゆえに周りから見れば塩対応であろう接し方をしてしまう私であるが、私が大切に思っている人たちに対しては、こんなつまらない人間と一緒にいてくれて私のことをよく理解してくれて本当にありがたいと思う。ずっと一緒にいなくたっていつも大切に思っている。一緒にいるときの口数が多くなくても、同じ時間を共有できているだけでとても満足している。

一応、言葉や行動に表さなければ伝わらないこともわかっているから、ときどき気が向いたときに、大切に思う気持ちや日々の感謝を綴ったりハグをしたり贈り物をしたりしている。
ツンデレだね、と言われる。
そうだね、と思う。


一匹狼で合理的なINTJ(建築家)は、社会で生きていくには生きづらい性格をしていると思う。

でも、それも私を形作るもののひとつである。
そして私の周りには、この性格に面白みや魅力を見い出してくれる人たちがいる。こういう私を好きだと言ってくれる人たちがいる。


だから、ありのままで生きていこう。
魅力を内に秘めた堅物のままこれからも社会を生き抜いていくつもりだ。


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