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大学の授業のゲスト講義をclusterでやってみました!

この記事はCluster Creator #2 Advent Calendar 2023の24日目の記事です。


教育機関での利用の無償化!

2023年7月20日に授業や部活など教育機関でのclusterの利用の無償化の発表がありました。大学や高校の授業でメタバースやVRの活用を試みている私にとっては、大きく背中を押してもらえたような、とてもうれしい発表です。このエントリーでは、非常勤講師をさせてもらっている青山学院大学の総合文化政策学部で今年度の後期に行った、clusterのワールドやイベントを用いたゲスト講義について簡単にまとめてみました。

メタバースで活躍している方による現在進行形のストーリーを

大学では学部の専門共通科目「ネットワーク社会と文化」を担当しています。そこで授業のテーマと関わる活動をclusterなどでされているめたらいおんさん、猫日和きゃりこさん、てつじんさんのお三方に、ゲスト講師としてご登壇していただきました。
メタバースで社会や文化的な活動がどう変わっていくのか?
こうした問いかけに、ワールド制作、クリエイターの生存戦略、イベント運営論など、それぞれの視点から具体的な体験にもとづいたお話をしていただくことで、これからの可能性や課題について語っていただくことができました。

ワールド作成のアイデアは好きなストーリーからというメタらいおんさん

ワールドにみんなで入るための事前準備

講義の会場は、ゲストのみなさんが普段からclusterで使用しているワールドやイベント会場です。
実は「ネットワーク社会と文化」では昨年度(2022年度)の授業でも、clusterやVRChatでVR演劇やアバターワークなどで活躍されているききょうぱんださんにゲスト講義を行っていただきました。
そのときはゲストの方が設定してくださったワールドを訪れたのは教員(のアバター)のみ。そこでお話を聞いたりワールド探索したりする様子を、教室のスクリーンに配信する形です。
このときは、チャンネルでの配信にライブ感あるゲスト講義としてとても盛り上がりました。
今年度はclusterの教育機関での利用無償化のリリースにも後押しされて、履修する学生さんたちもワールドに入れるように、授業で事前に準備を行ってからゲスト講義に臨みました。
学生さんには、自分のノートPCを使って、clusterのアカウントの作成から、初心者ツアーや、VRoidを使ったアバターの作成とアップなどを、メタバースを体験するために必要な事前ステップとして位置付けました。
その過程で、普段、使用している教室のWi-Fiで、一斉に学生さんたちがclusterを使っても大きな問題がなさそうなことも確認することができました。
ゲスト講師のみなさんには、講義内容の打ち合わせのほかに、当日の集合方法を相談させてもらいました。当日、プライベートスペースを開いて知らせてもらったり、事前に集合場所として限定公開のイベントを作成してもらったりしました。

ゲスト講義の事前準備で学生さんたちが作成したアバターとロビーで集合

教室やZoomとは異なるメタバースの”距離感”

授業開始の少し前になると、ゲスト講義が行われるワールドに学生さんたちが集まってきます。はじめてのワールドにとまどいながら、ゲスト講師の方の誘導でスクリーンの前にたどり着く人もいれば、入ってきて早々目新しいワールドを探索したりする様子を見ていると、デスクトップでの参加であっても、そこに空間があり、距離感が立ち上がっているところに、動画配信やZoomでのリモート授業とは異なる可能性があるのではないかと私は感じています。
その空間や距離感は、対面授業が行われる教室とも異なり、改変や編集が比較的かんたんにできます。後ろの席から埋まっていくことが多い物理空間の教室に学生さんたちが、メタバースのワールドでは、思い思い自分の場所を見つけていきます。教室と同じように、後ろから埋まっていくわけではなかったりします。
アバターの匿名性があったり、イベントの経験豊富なゲスト講師の方の巧みな誘導があったり、スクリーンやイスの配置も大きく異なったりと、さまざまな理由がありそうです(この記事ではそういったテーマは手に余るのですが、いつか機会があれば取り上げてみたいと思います……)。
空間が拡張されて、もうひとつ別の(オルタナティブな)関係性のなかで、学びや学習が繰り広げられる場が、clusterをはじめとしてメタバースには生まれつつあるじゃないでしょうか?!

猫日和きゃりこさんには文化的な活動を支えるお金のお話もしていただきました

clusterを使ってみようするときに参考になりそうなこと

いろいろと準備や確認を行っていても、実際にやってみると意外にスムーズにできたところや、思ったより困ったこともいくつかありました。実際にやってみようと思ったときに参考になりそうなことも挙げてみます。

IDの作成には調整や準備に時間がかかるケースもありそう

clusterのID作成は、今回は大学生対象の選択科目ということもあり、各自のSNSやGmailのアカウントと紐づけるかたちで問題なくできました。ただし、公立の小中校の授業で初めて使用しようとする場合にはいろいろな調整が必要になりそうなので注意が必要です。まとまった数のアカウントを学校側で作成することになると、そのために必要なSNSの作成やその認証に使用できるメールアドレスの確保や、それ以前に運用ルールの作成などで、予想外の時間が必要になるケースもあると思います。

対面授業でclusterを使用するときの音声をどうするか問題

それまでの事前準備で教室のWi-Fiからみんなでclusterを使って問題がなかったのに、ゲスト講義の本番当日に、授業が始まってから、音声が途切れてしまってうまく聞こえないケースがありました。(当日にそんなことが起きると焦りますよね!)回避策として、教員のモニターの音声を教室の音響卓から教室に流すことで対応しました。
これはclusterに限らないのですが、Zoomや動画の配信でも画像が多少乱れても耐えられますが、話している人の声が安定しないとストレスが大きくて、授業や会議を続けられません。
当初は画面も音声も各自のノートPCから視聴してもらうことを想定していましたが、初回の音声不具合もあって、その後も、イヤフォンで聞くよりも教室のスピーカーで聞きたいという要望が多かったです。
すると、今度はゲストの方の話す声がループバックするので、こまめにマイクのミュートとミュート解除を行う必要がでてきます。まとまった内容を一方向で話してもらう講義スタイルの時間はあまり問題を感じませんでしたが、普段のから操作になれていないと、自然に会話を行うハードルが上がってしまいました。
こうした音声の課題は、全員がリモート講義で自宅などからアクセスしていれば問題になりにくいので、対面授業でかつ、clusterも併用するスタイルが、今後、洗練されていくといいなと感じました。
ちなみに、てつじんさんがゲストの回では、学生さんに積極的に発言を促すインタラクティブな授業にしたいということで、教員のclusterのマイクをミュートにしたり解除したりしながら、教室のワイヤレスマイクをもって学生さんの席を行ったり来たりしました。ちょっと忙しくてときどきミュートしわすれて、てつじんさん側でループバックしてしまったのですが、どうにか切り抜けることができました。

バラエティー番組感覚で学生さんを巻き込んでいくてつじんさん

ワールドクラフトのマルチプレイができるのは今のところフレンドのみ

Unityを使わずにワールド作成を気軽に体験できるclusterのワールドクラフトは、授業で活用してみたいと思われる先生方が多いのではないでしょうか。ワールドクラフト特化VTuberのメタらいおんさんにゲスト講義をお願いしたのも、ワールドクラフトの魅力を学生さんたちに伝えてもらいたいと思ったから。
そんなワールドクラフトの魅力のひとつに、マルチプレイがあります。複数人でいっしょにひとつのワールド作りに取り組めるので、講義スタイルではないワークショップ型のゲスト講義をしてもらったり、グループワークでワールド作りに取り組んだりと、授業と関連付けて使ってみたくなります。メタらいおんさんのゲスト講義の後半では、みんなでワールドクラフトを体験するワークショップとして、このマルチプレイ機能を活用しました。前もって、みんなでワールドクラフトするための下地となるワールドをメタらいおんにご用意いただいて、そちらで移動して、みんなでわいわいとワールドを改変していきました。
マルチプレイをするためには、ワールドオーナーが、メンバーの追加を行う必要があります。また、メンバーに追加できるのはフレンドのみなので、事前にメタらいおんさんと学生さんたちにフレンドになっておいてもらう必要があります。作業自体は難しいものではありませんし、学生さんたちのIDのリストを事前にお渡しましたが、数が多いとやはり煩雑になるので、このあたりもよりスムーズにできるようになるといいですね(cluster公式FAQのワールドクラフトの項目を見ると、とフレンド以外のIDの追加できるように拡張が予定されているようです!)。

仕掛けがいっぱいワールドクラフト体験用ワールド(メタらいおんさん作)

誰もが3Dで考えて表現できる未来に向けて……

メタらいおんさんのワールドクラフト体験の感想では、子供時代に遊んだMinecraftと比べてclusterの特徴を挙げてくれた学生さんが何人もいました。XRデバイスや空間コンピューティングが当たり前になる前に、デスクトップメタファーではなく、3Dモデルやゲームプレイを物心ついたときから体験してきた、3Dネイティブ世代が大学生になってきています。
とはいえ、いまはまだ過渡期なので、ノートPCやスマートフォンから利用できて、比較的安全のメタバースのプラットフォームが、さまざまな教育現場で利用できるようになることは重要なステップだと思います。そうしたプラットフォームを代表するサービスであるCluster社がメタバース教育に注力する姿勢を機会があることに発信していることは、心強い限りです。

この記事はCluster Creator #2 Advent Calendar 2023の24日目、クリスマスイブの公開となりました(エントリーに出遅れたのですが、みなさん遠慮されていたのか、ぽっかりと空いていたので僭越ながら書かせていただきました。)。2023年度の授業を履修する学生さんたちも冬休みですが、年明けには、clusterのイベント会場でショート・プレゼンテーションを行ったり、自分でテーマを決めてワールドクラフトで作成たワールドを案内したりする最終発表があるので、その準備に忙しかもしれません。少し大変かもしれませんが、学生さんたちには、自分から学ぶことを楽しんでもらえて、これからの将来に役に立つような時間を過ごせてもらえたら幸いです。
来年度(2024年度)の授業のシラバスを準備すする季節がやってきますが、来年度はさらに踏み込んでclusterを授業に取り入れることもできるのではないかと考えています。
clusterをはじめとしてメタバースで活躍する方々にも協力していただきながら、学びや教育のアップデートを加速していく流れを生み出していくお手伝いを、微力ながら続けてていけたらうれしいです。

ゲスト講義の最後の掲げれたてつじんさんの熱いメッセージ

ゲスト講義の内容や感想は【clusterで描く未来教育 第3回】でチェック!

それぞれのゲスト講義の内容や講師のみなさんの感想などを知りたい方は、今月(2023年12月15日)clusterで開催された「clusterで描く未来教育 第3回」のまとめ動画を、ぜひ、ご覧ください。
今年度、登壇いただいたお三方の発表と、進行のvinsさんを交えたディスカッションで、ゲスト講義についてのわかりやすいまとめ動画になっています。私も参加させてもらっています。
こちらのイベントを企画をしてくださったvinsさんとメタらいおんさん、ありがとうございました!!

超短縮版(4分)

全体版(72分)

謝辞

授業のテーマにそったお話やワークショップをしてくださったゲスト講師のみなさま、「clusterで描く未来教育」で振り返りイベントを企画・運営・動画編集してくださったみなさま、この場を借りてあらためてお礼申し上げます! ありがとうございました!!


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