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[われは死神なり、世界の破壊者なり]ダミアン・ハーストが蝶で描いた地獄絵図

ダミアン・ハーストといえば、蝶の羽を使ったシリーズを思い出す人も多いかと思います。

ダミアン・ハーストは、2001年から、無数の蝶の羽を使って同心円を描く「カレイドスコープ」シリーズを制作し始めました。

そのシリーズの中で最も大きな作品のひとつである『われは死神なり、世界の破壊者なり(I am become death, Shatterer of worlds)』は2006年に作られました。
この作品には、2700匹以上の蝶が使われているそうです。

では、この作品は何を表しているのでしょうか?

「われは死神なり、世界の破壊者なり」という言葉は、原爆の父と呼ばれるロバート・オッペンハイマーの言葉として有名です。
オッペンハイマーはマンハッタン計画のリーダー格で、原爆開発を主導しました。

さらに元を辿ると、この言葉は、古代ヒンドゥー教の聖典である「バガヴァッド・ギーダー」に出てくるセリフです。

原爆の父、オッペンハイマーは「バガヴァッド・ギーダー」のこのセリフ「われは死神なり、世界の破壊者なり」を引用して、核兵器の開発を主導したことを後悔しました。

ハーストは、このタイトルは、オッペンハイマーのこの引用からつけたものだと語っています。

ということは、この作品は原爆をテーマに作られたものだと考えられます。
確かに、赤を基調に黄色や青の蝶の羽でけばけばしく彩られたこの作品は原爆投下による地獄絵図にも見えます。
また、核というものを発明してしまった人間の心の中の悪魔を表しているようでもあります。

と同時に、この作品の前に悠然と立ち、こちらを睨みつけてくるハースト自身が死神に見えてしまうのは気のせいでしょうか。

今回この作品を紹介したのは、原爆が関わっているということで、日本人にとって無縁な作品ではないからです。

著作権の関係で作品写真を貼れないのが残念です。
ぜひ
「I am become death shatterer of worlds damien hirst」
で画像検索してみてくださいね!

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