悪い夢

小・中学校時代、いじめを受けていた。

新聞に載ったりニュースで報道されるくらいの命が脅かされる過激ないじめではないが、暴力、暴言、差別、仲間外れ、物を奪われる・隠されるetc、いじめのスタンプラリーはコンプリートしたんじゃないかと思う。学校に行きたくないと泣きながら親に懇願した記憶がある。

大人になってからは、過去の事だと割り切って過ごしていたし、むしろそういう経験をしたからこそ、直感的に「ヤバい人」から距離を置ける自己防衛もできるようになったとポジティブに捉えていたつもりだった。

つい昨日、夢を見た。普段は全く夢を覚えていないのだが、数年振りに鮮明に思い出せる。中学生の記憶に紐付いた夢。

学校の教室にのような部屋に入ろうとしているところから夢は始まる。廊下の窓から見える教室には、中学生の時に僕をいじめていたA君がいる。

A君の周りや、その他にも仲の良い人同士で各々集まっていたが、どれも顔のパーツが描かれていないモブキャラになっている。

A君だけがはっきりと認識できる。

A君の風貌と扉を開けようとする自分の手で、大人になっているとわかった。恐らく、同窓会が開かれているのだろう。

教室に入ると、突然主観で見ていた景色から自分の顔や動きがわかるアニメのような構図に切り替わる。

扉近くにいたモブ1とあいさつするのと同時に、A君は僕に向かって「陰キャが来た」と取り巻きと一緒に嘲笑する。

僕は「大人になってまでまだそんな事を言っているのか」とわざとらしくモブ1に呆れ顔を見せて鼻で笑い、無視した。

自分の名札が置かれた机に向かうのだが、A君が陣取っている席を横切らないと行けない。横切る際に「シカトすんな、陰キャが調子乗んなよ」とヘラヘラしながら顔を近づけて来たが、いちいち反応すると逆に面白がられるとわかっているので、適当な愛想笑いだけ返して通りすぎた。

その瞬間、ぐるんと景色が回転した。肩を掴まれ、無理やり体をA君の方向に向けさせられた。

僕の体を掴んでいる手と反対の手は、拳が握られ今にも振り下ろされようとしている。


というところで、夢が終わった。

ハッと目が覚めた訳ではなく、視界が真っ暗になり、現実に意識が戻ったような感覚。体は冷えていた。


自分では割り切っていたつもりでいたが、心の奥深くでは、今も当時の理不尽に怯えているのだと思う。

これからいじめられるであろう終わり方の夢を見たことも、当時のことを思い出してしまったことも、そしてそのことを今でも心のどこかで重たく引きずっている自分にも、かなりショックを受けた。


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