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夏至の頃に思い出すこと

幼い頃、私は人見知りをしない女の子でした。いつの間にか近所の名前すらわからない子達と遊んでいるようなそんな子です。

小学校の夏休みはとても長く感じていて、暇さえあれば、近所の児童館に行って遊んでいました。
母は朝が弱く昼まで寝ていますし、父は時間が不規則な仕事をしていたので、一人でいることが多かったのです。それに当時は妹はまだ生まれておらず、私一人きりでした。
妹が生まれても一人きりであることは変わりませんでしたが。

どこに住んでいるかもわからない、車で来たという知らない子と遊んでいるような毎日。ですが、その児童館は17:00で閉まってしまいます。
さすがに17:00には母も起きていますが、帰っても何の会話をしていたかなんて覚えていません。誰と遊んでいた、こんなことをした、そんな話をした記憶はありません。目の前のテレビやご飯の話をしていたように思います。
記憶が失われているだけかもしれません。

児童館が休みの日は、駅まで歩いてそこら辺を歩き回っていました。
もしかしたら父がスケジュール的に帰ってくるかもしれない。すれ違うかもしれない。そんな僅かな望みにかけて。
父のスケジュールは家族のカレンダーにマークが書いてあるのですが、その頃の私はそれを理解することができませんでした。
駅に行って待ってても父は帰ってこない。そんなときは仕方なく、自分の家に帰ります。

夏至が近づくと、マンションの目の前の公園で近所の男の子たちと冒険ごっこをして遊んでいたことを思い出します。
入ってはいけないところに侵入したり、マンションの管理人さんとこにいたずらしに行ったり(さすがに今はごめんと思っている)、マンションの塀を越えてかくれんぼをしたりと、公園の水道の水をブシャーと撒いたり、そんなことをしていました。
そんな遊びをしていたら、いつのまには17時…18時…19時…と過ぎていきます。さすがに19時を過ぎたときは母に怒られましたが、私は楽しかったので特に気にしませんでした。

あの頃、遊んでいた少年たちは今は大人でしょうが、元気なのでしょうか。名前すら覚えていないけれど。
日が長いなと感じると、無垢だった、そんな楽しかった日々を思い出します。


May the wind be ever at your back

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