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草子

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#思い出

ちいさなわたしの告白

冷蔵庫にある鶏の玉子。これからひよこが生まれないだろうかと思ったことがある。 ひよこは卵から生まれる。この卵と冷蔵庫の玉子の何が違うのだろうと子どもながらに思った。親に聞いてもきっと答えは返ってこない。なら、辛抱強く冷蔵庫の玉子を育ててみようと思った。 冷蔵庫から玉子を1つ、棚からタオルを数枚拝借する。自室の引き出しの奥にたまごスペースをつくり、そっとしてみた。 その後の流れは皆さんのご想像通りだ。 玉子は引き出しの中で腐った。ひどい臭いがする。流石にまずいと思い、ビニール

「愛してない」のひとことが刺さっていて

今の会社に長く務めているんだけど、何年か前にマルチ紛い商法が会社で流行った。周囲の同僚や後輩がとある社員によって声をかけられ、パーティーや顔合わせに連れて行かれる。 私の周りは勧誘されるのに、自分だけなぜか声をかけられなくてしょぼーん(´・ω・`)となった記憶がある。 当時は今ほど自己主張は強くなく、ガチでずっと話を聞いてるような人だったはずだった。 怖いもの見たさで行ってみたい気持ちはあったんだけどなあ。どんだけ矛盾していて、どろどろしてるんだろうって思って。 会社で流

夏至の頃に思い出すこと

幼い頃、私は人見知りをしない女の子でした。いつの間にか近所の名前すらわからない子達と遊んでいるようなそんな子です。 小学校の夏休みはとても長く感じていて、暇さえあれば、近所の児童館に行って遊んでいました。 母は朝が弱く昼まで寝ていますし、父は時間が不規則な仕事をしていたので、一人でいることが多かったのです。それに当時は妹はまだ生まれておらず、私一人きりでした。 妹が生まれても一人きりであることは変わりませんでしたが。 どこに住んでいるかもわからない、車で来たという知らない