ソナミアラエ

そこいら辺にいる読書子。福岡在住。

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最近の記事

アブドゥラザク・グルナ

大晦日の夜に、アブドゥラザク・グルナの新刊と、ボン・ジョヴィのドーナツ盤を買った。グルナはザンジバルの、ボン・ジョヴィはニュージャージーの出身だ。ザンジバルというと、『機動戦士ガンダム』や、フレディー・マーキュリーの出身地程程の認識しか持たない遠隔の地。 グルナの本は、2021年にノーベル文学賞受以後、白水社が翻訳書を出すという話があったものの幾度か刊行日が延期されていた。ようやく今日手にする事が出来たと喜んでいると、今後も『グルナ・コレクション』として、"By the S

    • ナヴァー・エブラーヒーミー『十六の言葉』(駒井組)

      海外文学編集者のトークイベントを拝聴してきた。 【古典新訳から21世紀の世界文学へ】(書肆侃侃房 藤枝大 × 駒井組 駒井稔) 会場には海外文学を愛する聴衆が集まっており、温かな雰囲気の中で楽しい時間を過ごせた。熱をもらった。 主役となるのは駒井組から出版された1冊。 ナヴァー・エブラーヒーミー Nava Ebrahimi 十六の言葉 Sechzehn Wörter 訳:酒寄進一 イラン出身者の、ドイツ語作品。 ペルシャの系譜で[革命前夜の子どもたち]世代を想起すると、

      • 月曜日に老いたる父は

        丑満時に老いた父の足音で目が覚める。御手水かなと思っていると、玄関を開け外に出て、すぐに戻ってきた。何事かと起き出して来た私と目が合うと「誰も居らんやった」と言う。怪訝そうな私の表情に気付き「ピンポン(呼鈴)鳴ったろ?」と言い、「寝惚けとっちゃろうね」と謝して寝床に戻っていった。 数ヶ月後、ふと目が覚めたまま布団の上に転がって寝付かれずにいた。時計を見ると丑満時。しばらくして父の足音がして玄関を開ける。すぐ戻ってきて「ピンポン鳴ったろ?」と言うので、今回は「い

        • かなびら(金平)

          友人に「一つかなびら買いたいんだけど何処かな」と言うと、怪訝な顔をされた。近くに居た店員さんに「かなびらって何処ですか」と訊ねると、「あー、はいはい。こっちですね」と案内してくださった。あったあったと喜んでいる私を、友人が「これはカラビナって言うんだよ」と優しく諭してくれたが、思わず息を呑んだ。 カラビナ(独:Karabinerhaken) Karabinerはカービン銃(騎兵銃)を指す語で、カハビーナハーケンは、銃をベルトに下げる為の固定具だったそうな。カービンの語源は古

        アブドゥラザク・グルナ