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ビジネスディベロップメント×デザイナー協業あるある!? PoC企画で見えた脳内の違い

こんにちは。SOMPO Digital Lab サービスデザイナーの野添です。
ビジネスパーソンと一緒にお仕事をされるデザイナーのみなさん、デザイナーと一緒にお仕事をされるビジネスパーソンのみなさん、お互い噛み合わなくてやりづらいなと感じた経験はありませんか??
私たちSOMPO Digital Labのデザイナーも、日々ビジネスディベロップメント(以下ビズ)の方々とお仕事をしているわけですが、今回は、そもそもの関わり方や、今年度から協業し始めた「PoC企画フェーズのテーマ探索」について、お話ししたいと思います。
また、その中で見えたデザイナーとビズとの観点や思考の違いがどう言ったところにあり、どう協力しているかも、ご紹介していきます。

SOMPO Digital Labの構成

SOMPO Digital Labのメンバー構成

現在、SOMPO Digital Labには約100名のメンバーが在籍し、うちSprintチームメンバーは約1/4程です。他には、マネジメント、データサイエンティスト、ビズや他の職種で構成されています。ビズの方々はいわゆるビジネス企画人材で、SOMPOグループの各社事業における既存事業の変革と新規事業の創出に向けた企画・開発を支援しています。

私たちデザイナーが関わる案件はビズの方がテーマを持ち込むことが多いので、実はエンジニアと同じくらい濃密に協業することが多いです。
つまり、SOMPO Digital LabにはIDEOが提唱する「イノベーションに不可欠な3要素」Desirability (Human):デザイナー、Viability (Business):ビズ、Feasibility (Technology):エンジニアといった人材が常に身近に存在し、調和しやすい恵まれた環境にあると言えます!

PoCの流れとビズとの関わり

SOMPO Digital LabのSprintチームが関わるPoC・検証の流れはざっくり下記のようになります。

PoC・検証の流れ

図のとおり、ビジネス企画を開発へとつなぐのがデザイナーの役割になる訳ですが、デザインフェーズの詳細については氷室さんの記事「二人三脚でなめらかなグラデーションを作り出す!SOMPO流デザインワークのご紹介」をご覧頂くとして、今回は上記の図、一番上のビジネス企画・調査フェーズにフォーカスしたいと思います。

昨年度まで、企画・調査フェーズは主にビジネスオーナーである各社事業部門と、SOMPO Digital Labのビズがメインで行っていました。デザイナーはあくまで「企画支援」という形での介入だったのですが、今年度からはより事業の核心に踏み込み、ビジネス課題を的確に捉えた上で課題解決を進めることを目的に、PoCとしてテーマ化される初期段階の探索から関わる方向になりました。
それゆえ、ビズの皆さんとより密接に動くことになったわけです。

PoCテーマの探索

ここからは、PoCテーマとなる事業課題の掘り起こし方と、その中での気づきについてご紹介したいと思います。

まずは事業への深い理解から

新しいサービスを考える時に、顧客やユーザーへの深い理解から始めるのと同様に、既存事業において何が起きているのか、何が現場の課題となっているのかを深く知る必要がありました。今回は営業領域でテーマアップしたいとの要望が事業部門からあったので、以下の流れで課題探索を行っていきました。

課題探索の流れ

STEPSTEP1〜5までは、営業経験のある企画担当者と数回のワークショップ(以下WS)を実施し、シェアが大きく施策効果のありそうなチャネルやターゲットを対象に、担当者の経験則からいくつかの課題仮説を設定しました。そして、その仮説の確からしさを検証するため、STEP6~7で数名の現役担当者にインタビューを行い再定義を行いました。この先のPoCのテーマ化については、現在絶賛検討中となります。

ビジネスとデザインの観点の違い

上記のような流れは、いわゆるデザイン思考的な考え方でありますが、ビズの方と同じワークに取り組むことで、双方の観点や思考に大きな違いがあることがわかってきました。特にSTEP5〜7の分析・仮説フェーズで顕著に違いが現れました。
ビジネス観点では、課題の深掘りの過程で至極ロジカルな思考を重視しているということ。顕在化している事実や事象をMECEに洗い出し、因果関係をロジカルに整理する傾向にありました。
一方デザイン観点では、事象はあくまで仮説立ての材料であり、事象を様々な角度から解釈することで複雑な問題を推察し紐解いていきます。また事象の水面下に潜む対象者の内面に目を向けるといったことを重視します。ビジネス観点としては、組織内での意思決定をするためにロジカルな説明が求められますから、腑に落ちない状況が続いていたことでしょう。

ビジネスとデザインの観点の違い

ビズ担当者からのコメント

今回のプロジェクトで協業したビズ担当者からも、以下のようなコメントを頂きました。

  • 「何となく知っているけど実は重要なこと」は偏見もあり軽視しがちだった。そこを言語化し、重要度を再定義し、他の要素と構造的に整理できるデザイナーと協業できるのはビズ側にとっても有難い。

  • 最初はフワッとした整理もあるため、一定の形になるまではどこか違和感が残っていたが、ビズ×デザイナー間で目的と成果物のイメージさえ共有できれば、より深いインサイトを伴った成果に繋がると感じた。

  • 一方で、協業開始時点でビズとデザイナー間で情報格差が大きいこともよくある。成果物がビズ側にとって既知の情報ばかりになるという事態を回避するためにも、事前にビズからデザイナーへ十分な情報共有を行う重要性・必要性を感じた。

ワークを進める中で噛み合わないこともありましたが、こうしたメタな視点を持つことで新たな気づきを得て、違いを認識し対話を重ねることで、建設的に前に進めることができたと感じています。
どちらが正しいということではなく、双方の観点を尊重し合いながら、目的に応じて使い分けたり組み合わせることで、協業することの相乗効果が生まれるのだと改めて実感しました。

おわりに

SOMPO Digital Labにおけるデザイナーの役割は、どんどん広がってきています。私はSOMPOにジョインしてまもなく2年半になりますが、PoCプロジェクトをデザイナー視点・ユーザー視点で支援する立場から、事業へ深く入り込み、より主体的に提案できる立ち位置への移り変わりを感じ、責任の重みとともに刺激的な面白さを体感しています。
発足してまだ6年目のSprintチームは、これから益々成長します。このようなチャレンジングな組織で自身の引き出しを増やしながらキャリアアップを目指したい方、また事業の核心に踏み込みデザイン的視点や観点を根付かせていきたい方、ご応募をお待ちしています!