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形あるものは 思い出の引き出し

そろそろわたしの本棚に物が入り切らなくなるな、と ここまで書いたところで思い出した そういえばクローゼットの中にも本がある もうすでにわたしの本棚に物は入り切っていない

それもそのはずで わたしの本棚には小説に限らず CD、DVD、漫画、雑誌、写真集、辞書、参考書、映画のパンフレット あと他には何があったかな 引っ越したときに捨てた大量の少女漫画を処分してしまったことは未だに後悔しているし 大好きな作家のサイン本はクローゼットのなか 枕元と机の上にも読みかけの小説が数冊あるし 人に貸している本もある 完全なるキャパオーバーだ


今のおうちに住むことが決まった中学生の頃 初めて自分の部屋ができることになったわたしはこの上なく胸を躍らせて 親と家具屋さんに行ったわけだけれど 帰る頃には滅茶苦茶機嫌が悪かった、店員さんの気まずそうな顔も未だに覚えているくらいだ

わたしは大人になってもまだ お店に入って店員さんに話しかけられるとびっくりして 欲しかったものも買わず 店内を見て回ることもできず 思わずすぐにお店を出てしまうときがある 中学生だった当時からわたしは店員さんと話すことが苦手で 家具のコーナーに入るなりすぐ近寄ってきて頼んでもいない商品の解説を始める店員さんに せっかくわたしはこの日を楽しみにしてきたのに!と嫌悪感を抱いてしまった、なんて腹の立つ中学生だ、と今では思えるのだけれど

結局散々薦められた家具には目も暮れず 自分が一番気に入った家具たちを選んだ 一番安いのにそれでいいのかと 店員さんにも親にも言われたのだけれど そんなこと関係ないじゃない、わたしはこれが気に入ったんだから、高いものを買わせようとしているのか、そうは行かないぞ、とそっぽを向いて 白い木目の艶のないものを揃えてもらった


そのおかげもあって 案の定未だにすごく気に入っている、わたしの本棚。もちろん入れている本たちはどれも思い入れがあって思い出があって大好きで大切なものたちなのだけれど 何より気に入っているのは『本棚の上』だ。

CDが5枚入るコンポ 洋書のかたちの収納ケース 母親が中学生のときに貯金をして買ったという宝箱のオルゴール お兄ちゃんがくれた大きくて綺麗なオルゴール ウイスキーの瓶と そこに挿したドライフラワー 好きなバンドのワンマンライブが終わったとき 2列目にいたわたしにドラマーの方がくれたその日使ったボロボロのスティック 一度も使ったことのないランタン 高校の軽音楽部の部室で拾ったフェンダーのピック プレゼントでいただいた羽のペン キャンドル 月のライト 百均のアクセサリースタンドにコウモリのリング きらきらの石 小学生のときにどうしても欲しくて買ってもらったアメジスト ほかにもたくさん

わたしの小さな部屋の中で いちばんお気に入りの場所 

本棚そのものもそこにあるものも 視界に入ると手に取ると その思い出を思い出させてくれる デジタル化社会でも失いたくない感覚


誰に何を言われても自分の感性を信じてやまないのは、生まれ持った性格なのかもしれない


#わたしの本棚

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