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香りが味わいに及ぼす影響


今回は、「香りが味わいに及ぼす影響」について書いていきます。
日本酒における永遠のテーマである「辛口論争」の話にもつながるかなと思います。

日本酒の味わいを形成しているのはなんだと思いますか?
原料である米なのか。水なのか。
酒蔵のHPなんかを観ると「地元さんの米を使ってます!」とか、「地元の天然の湧き水を使用して日本酒を造っています!」というような文言を見かけることが多いです。

こういうのを観ると、やっぱり日本酒造りには米や水ってすごい重要なんだだなと思います。
でも、酒蔵さんと話したり、日本酒に詳しい人と話したりしていると
「実は日本酒の味わいを形成するのに米や水ってそこまで大きい影響は与えない」ということを良く聞きます。

日本酒の味わい形成に大きく作用しているのは酵母

なぬ!日本酒の味わいを造るのに米や水ってそんなに大きな役割を果たしていないなんて驚きですよね。
僕も初めて聞いた時には驚きました。

では、何が日本酒の味わい形成において重要な役割を果たしているのか?
「酵母」らしいんです。

素人の僕からすると「酵母」って味すんの?です。
色々と調べてみると、酵母はアルコール発酵をしているときに「味の成分」や「香り成分」を作り出しているんです。
これによって日本酒の味わいの多くが形成されるようです。

日本酒の味わい形成において、7割ぐらいが酵母によって決まると聞いたこともあります。
これがどこまで正しいのかはわかりませんが、酒蔵さんも酵母が日本酒の味わいに大きく影響を与えると言っています。

「酵母」についての詳しい説明はまた今度にしたいと思います。
酵母が日本酒の味わいの形成に多くの影響を及ぼしているらしいけど、実際のところ酵母がつくり出しているのは「味の成分」もつくり出しますが、「香り成分」の方が多く作り出されているようです。

そして、その香りが日本酒の味わいに大きく関係しているんですね。
なので、今回は「香りが味わいに及ぼす影響」について書いていきます。

僕たちは香りに騙されている

僕たちの嗅覚の経路は2つありマス。
1つ目は、鼻から香りを嗅ぐ経路(オルソネーザル又は鼻先香)
2つ目は、人類にしか備わっていない、喉から込み上げる香りを嗅ぐ経路(レトロネイザル又は口中香)
そして、この「レトロネイザル」が「味」を大きく左右していて、
最近の脳科学では味の判断の80%は嗅覚によって支配されているという。
舌からの味は20%に過ぎないそう。
なぬ。

ある実験で、中に液体が入っている黒い蓋のついた紙コップ4つを配り、それぞれをテイスティングしてもらって、中の液体は何かを答えてもらう
ということをやった。
実はカップの中身は全て「水」であり、蓋の飲み口の裏側に匂いを含ませたコットンが貼り付けてあるという仕組みになっている。
それぞれの香りは「レモン」「桜」「ミント」「コーヒー」
被験者に飲ませてみると、それぞれ同様に「レモン」「桜」「ミント」「コーヒー」と答えた人が多かった。
「全て【水】」と答えた人は40人中1人だけだったという。
この実験からは「味覚」よりも「嗅覚」に強い影響を受けることがわかるかと思います。

また、ある実験で、2つの透明の小さなカップに片方は緑色の液体ともう片方は赤の液体が入っている容器を被験者に渡して、それを一口づつ飲んでもらい、それぞれ、何味かを答える。

赤を「いちご」、緑を「メロン」と答えた人が多かった。
一方で「メロン、メロン」「いちご、いちご」と答えた人も中にはいたという。
実はこれ、両方とも同じ味で色だけ違う液体だったという。https://wired.jp/2013/08/07/psychologytaste-and-smell/

この実験の結果からもわかるように、人間は「味覚」よりも「視覚」による判断にも大きく影響されているのがわかります。

また、香り同士の相乗効果は口中香で現れやすいそう。
つまり、マリアージュってやつですね。
口中香の方が温度が上がったりして、香りの分子が多く帰化することにより香りがより強く感じられる。
また、唾液の酵素と反応して、新たな香りが口の中で作られることもある。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/45/8/45_8_564/_pdf

「味」を感じる上で
「香り」というのはすごく大事な要素だということがわかりました。
なんとなく、感覚ではわかっていましたが、このような実験結果や文献を読んでさらに腹落ちした感じがします。
http://liaj.lin.gr.jp/uploads/161-10.pdf

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