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トウキョウ、捨てます

「東京」を歌った歌は日本中に昔から沢山あって今もどんどん作られているしこれからもどんどん歌われていくだろう。わたしの(そしておそらく多くの90年代生まれの)骨髄にまで沁み込んだ青春のバイブルであるところの漫画「NANA」はそもそも典型的な「上京もの」であるし、JUDY AND MARY「POWER OF LOVE」、YUKIちゃんは度々故郷の北海道から東京に出てきた時のことを文章や歌にしているし、そのどれもが切なくてすてきです、サニーデイ・サービスの「東京」とかわたしの大好きな忘れらんねえよの柴田が歌う「東京」とか、チャットモンチーにも「東京ハチミツオーケストラ」、そしてなによりこの手の話題で自動的に脳内再生されるのはsads「TOKYO」(TOKYO、狂った街〜)である。なんだかこのリストだけでわたしの趣味・嗜好・人間性その他もろもろなんとなく察されてしまいそうであるがわたしは1990年代、東京は自由が丘で生まれ成人するまで世田谷区の高級住宅街で育ち何かと東急東横線沿いで人生のイベントを過ごしてきた、はっきり言っていけ好かない、性格の悪いオーセンティック・シティ・ガールである。これは客観的な事実であるし自負するところでもあり、でも逆説的に言えばわたしにはこれ以外なんにもない。デザイナーズの奇抜なカッコイイ家で幼少期を過ごしても、レコードと映画マニアの父に偏狭的なカルチャー指南をされて育っても、アーティストの名付け親と変な展示と古い喫茶店を巡るデートを習慣的にしていても、それでも、わたしは24歳の今まで「何者にもなれなかった」。それはひとえにわたしのカリスマ性の無さや努力の欠如や抜きん出るセンスを持っているわけではなかったことが原因かもしれないけれど、それでもまあ、こんなわたしのトホホな片道人生もひとつの証左にはなるだろう。それはつまり東京に生まれ育ったくらいじゃアドバンテージとして全然足りないってこと。それは喜ばしいことであるけれど決定打ではないんだ。もちろん地方に生まれた方の、実際的・物理的な情報へのアクセスの悪さやあらゆる機会・チャンスの圧倒的な少なさというハンデは想像すればわかるし実際恵まれてきたと思う、そもそも前提としてわたしは、東京がだいすきだ。

わたしは・東京が・好きだ

村上春樹風に区切って言ってみただけである。ついでに自己紹介がてらに好きなものを列挙してみたい。個人的に人となりを知りたければ人物伝的なプロフィールや学歴・職歴なんかより選んでいる服や本や食べ物その他を教えてもらう方がよほど手っ取り早いと思っているので。人生は選択の羅列であり選択にはその人の哲学・生活・人柄が顕著に反映される。これは持論です。

わたしは村上春樹の熱心なファンでそのほかには倉橋由美子や太宰治や吉本ばななや川上弘美やミヒャエル・エンデや角野栄子や森見登美彦や舞城王太郎や川上未映子やサリンジャーやフィツジェラルドが好きで、漫画はもっと好きな作家が多くてとりとめもないが我慢して最近新刊が出たら買っているものを挙げるに留める(漫画の好きな人なら、この情報だけでもだいたいの雰囲気がわかると思うので)。「北北西に雲と往け」「A子さんの恋人」「プリンセスメゾン」「違国日記」「ドリフターズ」作家買いは宮崎夏次系先生・九井諒子先生・そして殿堂入りはもちろん岡崎京子先生・手塚治虫先生・矢沢あい先生である(結局、我慢できずに羅列してしまった)。興味のない人はごめんなさい、読み飛ばしてください。
服はTOGAやsacaiやVivienne・Westwood、そしてもちろんCOMME des GARÇONS(特に最近はNoir kei ninomiyaが好きだ)、agnès b、ANN DEMEULEMEESTER、Maison Martin Margiela、ここまで読んで貰えばファッション好きの人はわかると思うが主に黒い服ばかり着ている。それはなぜかと言えばわたしが魔女だからであり、ご存知魔女の宅急便の世界では魔女は黒しか着てはいけない、とキキのお母さんであるコキリさんがはっきり明言している(そしてキキはそんなの古臭い、と折に触れて反抗している)。わたしはキキと違って「あなたは魔女よ」と言われて育ったわけではなく、魔女の血も残念ながら流れていないけれど、後天的に選択的に自分で自分を魔女であると決めたので、キキとは反対にこの「古臭い」戒律を積極的に守っている。あと単純に黒い服と黒いレースと黒いリボン、フリル、刺繍その他がただ単に大好きだ。偏執的に好きだ。平野耕太先生の名作「HELLTHING」を読まれたことはありますか?諸君、わたしは黒い服が好きだ。そして好きなことに大した理由なんて本当はあまりないのかもしれない。(未読でしたら是非折に触れて読んでみてください)

さて、話がそれにそれていつになったら東京の話になるんだよって感じだと思うけれどつまり、わたしはいけ好かないシティ・ガールで、ファッションとカルチャーと東京がすきで、東京で生まれ育って実家を出ても東京に住んでいて、いるんだけど、この度この愛しくて憎い街「トウキョウ」を脱出しようと目論んで、どうせならその過程・ありさま・結果を全部コンテンツにしようと思って、こうして東京で借りている六畳1Kの狭い部屋からぽちぽち誰に読まれるあてもない文章をしたためているわけである。

読んでくれている人がいたらありがとうね。


#東京 #東京脱出 #人生 #女 #女の一生 #断捨離 #エッセイ


本を買います。たまにおいしいものも食べます。