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どんな過去があるか、意外とわからないもの

20歳年上の友達がいる。
彼女は、とてもかわいい。

20歳も歳の差があるけど、いつも対等に、
私が偉そうなだけかもしれないけど、
仲良くしてくれる。

彼女はバリバリ働いている。
仕事に前向きで、バイタリティがある。
旦那さんとは死別して、
大学生の息子がいて、息子の彼女とも仲良くて、
いつもケラケラと笑う。
明るくて元気な、普通の女性だと思っていた。

出会って3年くらいたった、ある日。
私は衝撃の事実を知った。

彼女は若かりし頃、
大好きな人と別れざるをえなくて、
その人を忘れるためにアメリカでの仕事を得て、
日本を飛び出した。
アメリカへ行っていたことは知ってたけど、
そんな熱い恋の果てだとは知らず、驚いた。

そして、日本に戻って、
また別の人と出会い、結婚して、息子を出産した。

だけど、気づいた頃には、
旦那さんとはうまくいかず、離婚。
息子を一人で育て始めた。

そして、息子が小学生になる前に、
友人から求婚され、息子と自分を大事にしてくれる人と再婚。

恋愛感情はあまりなくても、
家族として、かけがえのない日常を過ごした。
旦那さんは、息子の少年野球にも付き合ってくれて、仲良く過ごした

息子が高校3年生のある日。
朝、「いってらっしゃい」と送り出して、出かけていった旦那さん。
旦那さんは、二度と家に帰ることはなかった。

交通事故だった。

彼女は、たんたんとその過去を語る。

私は、その姿を見ていて、
彼女はそんなに旦那さんを好きじゃなかったのか、
もしくは、心の整理がついているのか、
それとも、すごく心が強いのか、
なんなんだろうと思っていた。

けど、ある時、
「事故の加害者の裁判にどうしても行けない」
と言った。

旦那さんの交通事故が、どう裁かれるのか、
見ることができないという。

彼女の心は全然整理できていなかった。
旦那さんの死を受け入れることさえ拒んでいた。
心にフタをして。

人が一人亡くなっている。
なぜその命を無くさざるえなかったのか、ちゃんと知ろう。
息子にそう言われて、ハッとしたという。

ちゃんと向き合おう。
ちゃんと悲しもう。
そして、前に進もう。

そう思った、と彼女は言う。

彼女にこんな過去があるなんて
全く想像していなかった。

深く付き合わない限り、
彼女の思いもよらない過去を知ることはなかったと思う。

一人一人の人生、その背景は深い。
彼女のような大きな事故や出来事でなくても
想像を超える過去をどんな人も持っている。

一緒に仕事をしたり、
飲み友達だったり、
遊び仲間だったり。
近くにいても、
実は知らない一面があるかもしれない。

もちろん、
全てを知ることなんてできない。

でも、だからこそ
そのことをわかっていたい。
そして、
人を簡単に判断したくないなぁ
と思う。

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