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2022年相馬野馬追 観戦ツアーレポート3年ぶりの有観客開催、15歳総大将の初陣

先日、相馬野馬追執行委員会より2023年度の相馬野馬追日程が正式に発表されましたね。今年は7月29日(土)・30日(日)・31日(月)の3日開催です。
2019年にはじまった私たちのツアー企画も、現地の人のご協力を仰ぎながら、通常では見られない野馬追のさまざまな一面に迫るツアーになりました。

改めて、相馬野馬追とは?


相馬野馬追は、福島県の相馬地方で3日間にわたって行われる祭典で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。 古くは、相馬国の遠祖である平将門公が野馬を敵兵に見立てて軍事演習に応用したことが始まりとされ、千年余りの歴史を持つお祭りです。

相馬国の時代から現代も続いている相馬家を総大将に、甲冑をまとった約400騎の騎馬武者が、街中を行進。甲冑競馬や神社の旗(御神旗)を奪い合う合戦など、戦国時代そのままの風景が繰り広げられます。
相馬野馬追公式サイト https://soma-nomaoi.jp/  

馬が登場するお祭りは全国に多々ありますが、これだけの騎馬武者が勢揃いし、なおかつ現役の総大将が指揮を執る、というのは全国に例をみません。
そして、2022年はコロナ禍を経て3年ぶりの有観客開催、かつ相馬家第35代、相馬言胤さん(弱冠15歳!)の記念すべき初陣の年でもありました。


1日目 各地で出陣式


09:30 宇多郷 総大将出陣 (相馬市・相馬中村神社)
宇多郷の出陣式は、中村城跡内の相馬中村神社境内で行われ、相馬家33代当主・相馬和胤氏の孫で今年総大将として初陣を飾る言胤(としたね)氏が堂々たる訓示。

その後、総大将が整列した騎馬武者を閲兵し(このための馬の整列がまた大変)、陣螺(じんがい=ほら貝)の音を合図に、中村城跡の大手門から行列が出発した。がんばれ!と周囲から声援が送られた。

総大将訓示
全員で相馬流山を唱和し、いざ、出陣


10:30 北郷 副大将 出陣(南相馬市鹿島区・永田陣屋)
田んぼに囲まれた見晴らしの良い場所に位置する永田陣屋はなんと副大将のご自宅。幔幕が張られ、総勢70人を数える武者が副大将の出陣の儀式を執り行った。その後、相馬中村神社での出陣式を終えた、その後、宇多郷より出陣式を終えた総大将が到着。きゅうりの漬物でしばし休息(といってもほんの一瞬で「飯は済んだか!」と号令がかかる)の後、北郷陣屋に向け進軍していった。


北郷・副大将出陣式の様子
美しい田んぼ道を進軍する

12:00 総大将お迎え/出陣(南相馬市鹿島区・かしま交流センター)
永田陣屋の出陣を見届け、私たちは先回りして北郷陣屋へ。
相馬中村神社を出陣した総大将と宇多郷勢を迎えるため、北郷の武者たちが厳戒態勢を敷いて到着を待つ。宇多郷の進軍状況はすべて伝令騎馬の往来により伝えられ、その堂々たる口上は圧巻である。
総大将と宇多郷勢が本陣に迎え入れられると、北郷勢と合流し、鹿島の街なかの目抜き通りを、100騎にのぼる軍勢が進軍していった。

総大将お迎え前には、伝統舞踊も披露された
駆け足で登場した騎馬武者の口上により、総大将一行の様子が伝えられる

その後野馬追自体は雀ヶ原祭場地での馬場潔式、宵乗り競馬とつづくものの、1日目の観戦はここで終了。戦国時代さながらの風景に圧倒され、狐につままれた表情の私たちは「木音」で蕎麦と地元鹿島の米農家「豊田農園」のおにぎりと日本酒を堪能。ちなみに後の殿ナイト、南相馬ツアーでも必ず登場する「からみ漬け」はここで一同感動したのがはじまりである。
その後はフリータイムで小高のパイオニアヴィレッジやブックカフェなどを観光。夜は地元の肉と魚が中心のBBQを、地元の若者も混ざりながら楽しみ、交流を深めた。

夜のBBQの様子。先の総大将、相馬家第34代 相馬行胤さんもサプライズ登場


2日目 それぞれの家の出陣


野馬追の朝は早い。夜も明け切らぬ頃から宿を出発した私たちは、いくつかのグループに分かれて民家を訪問。それぞれの家での出陣の様子を見学した。

相馬野馬追執行委員長を務める南相馬市長宅では、市長を取り囲み数人が30kg超の甲冑を着付けていく。準備が完了した後、門馬和夫執行委員長は盃に注がれた酒を飲み、それを地面に叩きつけた。一度割れたら、もう後戻りはできない。不退転の覚悟を持っての出陣である。

普段は市民の生活を守る市長も、この日ばかりは武士の姿に

大坪流乗馬術や師範もされている菅野家では、身支度を整えた一家が仏壇前に集合。厳粛な雰囲気の中法螺貝が吹かれ、ご先祖様への挨拶と3日間の無事を祈願した。

一家で7騎も出陣する坂本家には大きな馬小屋があり、納屋には溢れんばかりの馬道具が詰め込まれていた。準備を整えたあと、家族が馬の足元にお浄めの塩を振って出発。このあと、軍者のお迎えに上がり、軍勢を増やして進軍すると言う。

坂本家にて。最後の馬具の調整

おだやかに談笑していた武士の表情が引き締まっていく様子、甲冑を結える紐に無事の想いを込める家族の姿。観光では絶対見られない野馬追の裏舞台間近で見学することができ、野馬追が形式的な観光客に向けたイベントではなく、脈々と続く軍事訓練に端を発するご神事であることを改めて実感した。

参加者も陣羽織を着せてもらい、記念撮影

2日目 本祭り〜お行列、甲冑競馬、御神旗争奪戦〜

出陣を見届けた私たちは、お行列見学のために雲雀ヶ原祭場地近辺で再集合。およそ350騎の行列の先頭を務めるのは先ほど見学した中郷の御先乗・坂本国雄さん!その後小高郷&標葉郷、北郷・総大将を要する宇多郷と行列が進んでいく。列の中で見知った顔がいるとやはり特別感がある。


350騎が列をなすお行列


合戦さながらの神旗争奪戦

その後、雲雀ケ原に移動し、観覧席から甲冑競馬と神旗争奪戦を観戦した。
※本祭りの様子は他の方もたくさんレポートしているので割愛します・・・
というか、朝早すぎてこの時点であまり記憶がないのでこちらをご覧ください!w

福島 相馬野馬追 3年ぶりに「甲冑競馬」や「神旗争奪戦」NHKオンライン
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220724/k10013733941000.html 


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