【映画『君の名は。』二次創作】My Name ~エピローグ~ 後日談

「そういえば。」
「どうしたの?」
「いやさ、この前話していて、やっぱりあの仮説はある程度正しいかもしれない、っていう結論に達しただろ?」
「そうね、どう考えてもありえない、突拍子もない話だけど、どう考えても真実であるように思えてならないから、細かいこと抜きに、実際にあったことだったんだとして認めようって、そう話したわね。」
「だとしたら、俺たちはこうやって会えたけどさ。あの時お互いを必死に探しあっていたあの日の瀧と、あの日の二葉は、結局出会えたのかなぁっていうのが気になってきちゃったんだよな。だって、『俺』には、その記憶も、それに近い記憶もさっぱり見当がつかないからさ。なんかそれって……」
「さびしい?」
「ああ。もちろん俺自身も二葉と出会えてよかったと思ってるし、今この瞬間だって十分幸せさ。ただだからこそ、あの時の……今の俺とはちょっと、下手したら全く違う別な俺は、最後までこの気持ちを感じずじまいだったんじゃないかと思うと、な。」
「瀧君も、いい感じに私の友達のオカルトに染まってきたね?」
「ああー。まあ、否定はしないかな。最近、SFとか読むことも増えたし。……って、こういう言い方だとオカルト好きにもSF好きにも怒られそうだけど」
「ふふ。……うん、でも、私は……そうだな。何となく大丈夫かも、っていう気もしてる」
「なんで?」
「それはね、私たちが、こうして一緒にいるから。きっと何か私たちをつなげる何かがあったんだと思うから。だからきっと大丈夫じゃないかなって思うの。そりゃ、完璧なハッピーエンドとはなってないのかもしれないけど……でも、きっと会えてる、触れ合えてるって思うの。あの時の私たちも。」
「ふーん、まぁ、確かに言われて見ればそうかもな。……じゃあ、いったいどういう『ふれあい』があったのかなぁ」
「例えば……間接キス、とか」
俺はえぇー、と、彼女の回答につい素っ頓狂な声を上げてしまう。彼女は不満げだ。
「なんでそんな反応なの。高校生同士の甘酸っぱい体験といえば定番じゃない、間接キス」
「いや、それはまぁそうかもしれないけど……二葉って、偶にやや一昔前の価値観で話す時あるよな……」
「しょうがないじゃない。田舎の出なんだから。都会っ子の誰かさんとは違うんですー」
「ごめん、ごめん、怒るなって!」

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