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艦これ二次創作

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#小説

夜間航路 -時雨降る薔薇の丘-

――嵐。

隊列を率いる少女の姿をした影が、荒れ狂う嵐の中を放り出されたように漂っていた。『それ』の数は、少数。波に対する影の小ささもさることながら、人数の少なさが、一層状況の過酷さを物語る。

『それ』……『彼女たち』艦娘の隊列の先頭は険しい顔で海面をにらんでいた。少人数での任務中であった上にこの嵐では索敵も満足にできず、旗艦の肉眼観測だけが危険回避の唯一の手段だ。1時の方角、はるか彼方に渦潮と

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不知火

「今朝提出してもらった遠征艦隊の報告、読み終わったところだ。上々な結果だな」

「は。ありがというございます」

「まぁ、そう固くならなくてもいいぞ。」

「うーん……」

陽も傾きかけた昼過ぎ頃。提督をはじめとした面々は昼食後の予定組と、報告を着ていた。

「報告と一緒に要望されていた、艦隊内の何人かの近代化改装の件は進めておく。それから、錬度の均衡化もな。そっちの方は少し待ってくれ。別な作戦の

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