山結び

NPO法人SOMAの自然環境再生事業。自然環境を自治していくために、わたしたちひとりひ…

山結び

NPO法人SOMAの自然環境再生事業。自然環境を自治していくために、わたしたちひとりひとりが自然環境との関係性を新たに紡いでいく機会をお届けします。https://yamamusubi.nposoma.org/

最近の記事

八節ラジオスタートに寄せて

自然の中で土木作業をしていると「なんて順調にいかないんだろう」と思うことばかりです。綿密に計画をし、シュミレーションをして、準備を怠ることなく現場に臨んでも、万事思い通りにいくことはありません。天候も、地形も、体調も、私たちの思い通りになることはありません。大規模な気候変動や異常気象、自然災害、感染症の流行など、私たちの生活が不確実な土台の上にあることを都度思い知らされます。 この世界で全く同じことが繰り返されることはありません。一回限りの出来事を私たちは一つずつ経験します

    • 【御礼】第3回山結びフォーラム

      過去最多のご来場者数で会場には熱気があふれておりました。ロビーには頼りになるボランティアスタッフとして山結び参加者の方々の顔が並び、SOMAと地球守の書籍やグッズ販売、アフターアワーでの歓談、子どもスタッフの募金活動などの新しい試みもフォーラムに花を添えてくれました。あらためて、ご来場の皆様、ボランティアスタッフの皆様、関係者の皆様、そしてご寄付いただいた皆様、支えてくださる全ての方々に心から感謝申し上げます。 フォーラムのテーマは「土木再考〜土と木とひとの関係を再生する〜

      • 第8回 山結び

        寒い、寒い、寒い。 最強寒波の中、雪のちらつく福岡で先週の振り返り。 先週の山結びは、暴風と雨で山中での作業が難しそうでした。2ヶ月連続の座学か…と思っていましたが、宮地嶽神社の名物の大注練縄の掛け替え作業がちょうど重なっていたので、山結びメンバー総出で、日々の宮地山への感謝を込めてお手伝いさせてもらいました。 宮地嶽神社の大しめ縄は、重さ3トン。1.5トンの縄2本を、人力でよっていきます。 もう一度言います、人力でよります。 まずは、太い孟宗竹で組んだ梯子でつる形

        • 【用語】#2 えだそだ

          え、だぁ? そ、だぁ? なんだぁ? なんて、言いたくなるくらい、聞きなれない言葉。 枝粗朶。 『土中環境』の著者の高田宏臣さんがよく使われる言葉。 おそらく意味としては「枝・粗朶」という意味だと思う。なぜなら粗朶という言葉がそもそも「細い木の枝、また、それらを集めて束にしたもの」という意味があるので、枝粗朶という言葉は重複している。ただ、「えだそだ」という言葉は語呂が好きなので、僕も使っている。 粗朶は日本の土木の中では重要な存在だ。特に護岸工事や川の治水に用いられ

        八節ラジオスタートに寄せて

          【道具】#2 剪定バサミ

          自然環境に手を入れるときの動作は、掘る、切る、叩く、が基本になる。僕の腰にぶら下げる道具もこのいづれかだ。 切れ味のいい剪定バサミはストレスがない。ストレスがないから安全、作業効率、仕上がりの良さがあがる、と思う。 僕が愛用しているのは二挺ある。 一挺目が岡恒(おかつね) 剪定鋏 180mm。 剪定バサミは種類が多くて、結局どれを選べばいいのかわからないことも多く、何せ試し切りもできない。まずはこれ!としてお薦め。 僕の手のサイズ(手袋はL)で180mmはとても扱い

          【道具】#2 剪定バサミ

          第6回 山結び in 宮地山 「美しさ」をテーマに

          「育ってきた環境が違うから 好き嫌いはイナメナイ」と山崎まさよしが歌ってから約30年が経つが、一人ひとりが違う人間なのでなかなか共通の感覚を構築するというのは難しい。その点では、自然の美しさというものは、その共感を生みやすい気もするが、やはり一人ひとりが感じている美しさの中身は違う、はず。様々な人々が行き交う山で、共に「美しさ」を守っていくにはどうしたらいいのだろうか。第6回はそんなことを考えながらの作業。 山結びの技術監督でもある造園家の轟まことが冒頭に造作の美しさを意識す

          第6回 山結び in 宮地山 「美しさ」をテーマに

          【用語】#1 段切り

          山の環境改善は、殆どの場合それは斜面で行われる。斜面を相手にしているからこそ、水平、垂直という感覚が重要になる。そこで、今日は「段切り(だんぎり)」という言葉を紹介する。 段切りは一般的な土木用語で、簡単にいうと「勾配のある場所に盛り土を行う際にそれが流れたり滑り落ちたりしないように階段状に土を削ること」。 山の斜面に降ってきた雨は、下層植生(下草)が衰退していると勢いよく流れ、土を削っていってしまう。水は高いところから低いところへ流れる。その摂理を曲げることはできない。

          【用語】#1 段切り

          【道具】#1 グリグリ

          硬いものは柔らかくする。お肉にフォークを刺して、繊維を切って、食感を変えるのと同じように、固くなった土には穴を空ける。樹木の根に空気が足りないとき、芝生が窒息しているときも土に穴を空ける。空気を巡らせるのは、環境の改善をする上で当たり前のこと。 それをするための必須のツール「グリグリ」。 グリグリと名付けたのは高田宏臣さんなのではと思う。いい名前だ。ここで紹介するのは貫通ドライバー。ただ、別に貫通ドライバーじゃなくてもいい。グリグリと土に穴をあけられて、土の中の石を梃子で

          【道具】#1 グリグリ