今日は武川さんのことを語る時間。同じく過去ログが残っていたので(読むと面白いので)ここに残します。
ここからはリアルタイムテキスト。自分は劇場版に不満はない方だが、それでもやっぱり武川さんがどうしてああなった?!という気持ちは多分にある。連ドラから猟奇的なヤンデレキャラではあったが、決して色モノではなかった。全ては牧を想う愛が暴走したに過ぎず、キワモノと色モノでは全く意味合いが変わって来る。これには眞島さんも困惑したに違いない。
連ドラの最大の魅力は、それぞれに誰かを想い、その想いが何かしらの形で昇華されていたことだ。だから誰もがそれぞれの形で収まり、本当に綺麗に終わったなぁという感じだった。例え武川さんの恋が実らなくても、牧を想う気持ちは大切にされていたし、部長と春田の恋と同じく、武川さんと牧の恋も決して無駄ではなかったと思えるラストだった。
それが劇場版では部長にもう一度恋をしてもらうために、無理やり記憶喪失という設定にして、それだけならまだしもその部長に想いをよせる(ん?んん?)というチンチクリンな方向へと武川さんの想いを歪め、ただの変人へと成り下げてしまった。まったくもってとんだ茶番である。これには正直なところがっかりした。なんなら自分のSSをテンプレにして、ヤクザモノの映画を作ってくれと言いたいところだ。その方が何百倍も面白い(自分だけが笑)。※このSSでは武川さんと牧の関係性が6割くらい占めています。春田は4割笑。そのくらい武川さんと牧の関係性を深く掘り下げて書いた。
今にして思えばすでに綻びが出ていたのかもしれない。
少なくとも武川さんは牧が春田と一緒に住んでいると知って動揺するくらい牧のことを忘れられないでいて、自分の立場やなりふりもかまわず牧のために土下座してしまうほど愛が深く、そう簡単に部長へ心変わりするような人ではないはずだ。その傷心を癒す存在が現れても、頑なな心はなかなか解けない人だと自分は思っている(だからうちの高村は旧友設定で気心が知れている仲にしている)。
まして上司、しかも春田に想いを寄せていた部長に、恋情を抱くなどあり得ない(敬愛や親愛といったものならまだわからなくはないが)。牧との恋がものの見事に抜け落ちていることにも驚いた。彼の中で昇華される場面があるのなら納得もするが、牧との恋は無駄ではなかったという描写が一切なかったのが本当に残念でならない。
自分はSSの中ですべて拾い上げている。そうしなければ武川さんは次のステップに進めないと思っていたし、牧との恋が無になってしまうからだ。眞島さんが言うように二人は互いに素晴らしいパートナーだったろうから、たとえその形が変わったとしても、牧との関係性も大切に描いて欲しかった。武川さんがあまりにも雑な扱い過ぎる。
どうしてひとつの物語を深く掘り下げることが出来なかったのだろう。複数の人間が多面的な価値観を寄せ集め、ひとつのものに仕上げて行くにしても、絶対にブレてはいけないものはあったはずだ。コメディなどという逃げ道を設けず、そこは真摯に向き合って欲しかった。