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デジェネレーション進化論

「ダーウィンよ、お前もこちらに来てから長いな。そろそろ地上の様子が気になる頃だろう」

「はあ、そうですね私が死んでから100年以上経ちました。進化論が受け入れられたか非常に気になります」

「そうであろう、そんな頃合いだと思ってな。霊体として地上に戻ることを許そうでは無いか」

「おお主さま。まことでありますか。なんと有難い」

かくしてダーウィンは霊として地上へと戻った。

「さて地上に帰ったとはいえ我が故郷のイギリスで進化論が受け入れられていなかったらショックでおかしくなってしまう。まずは極東の異国にて調査をしようではないか」

ダーウィンは主からもらった霊体の懐かしきビーグル号に乗り込みマッハ6でジャパンに到着した。

「さてやはり見に行くべきは教育の現場だろう。あそこに学校らしきものがあるな入ってみよう」

ダーヴィンが学校へ入り込むとどうやら教室の中で本を読み上げているようだった。

「どれどれ西暦2020年では何を教えているのか聞いてみようではないか」

ダーウィンはその内容に聞き耳を立てた。

「・・・・・・『その声は、我が友、李徴子ではないか?』・・・・・ややあって、低い声が答えた。『如何にも自分は隴西の李徴である』と。・・・・・・」

話を聞いてるうちにダーウィンはみるみる青ざめていった。

「なんと人が虎になってしまうとは一体どういう教育をしているのだ。やはり私の進化論は後世に認められなかったのだ!」

まだ読み上げは途中であったがダーウィンは絶望のあまり教室を飛び出した。

走り続けるダーウィンはいつしか山林へ入り左右の手で地を攫つかんで駆けていた。

何か身体からだ中に力が充みち満ちたような感じで、軽々と岩石を跳び越えて行った。

気が付くと、手先や肱ひじのあたりに毛を生じているらしい。

少し明るくなってから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となっていた。

ダウィンの行方は、誰も知らない。



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