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「札幌移住」から半年後の雑感④温泉編

2021年1月の「札幌移住」から半年が経過しました。移住の目的のひとつは北海道の温泉でした。今回は札幌近郊の温泉事情について触れておきましょう。

〈前回までの記事はこちら〉

札幌の至宝・豊平峡温泉

札幌は連日、異例ともいえる真夏日が続いていました。ところが、オリンピックが終了した途端、一気に気温が下がり、今週は20℃を下回る気温を観測しています。北海道ではこうした急激な気温の変化はよくあるようですが、20℃を下回ると、さすがに肌寒く感じます。

そして、温泉が恋しくなる。

札幌に移住してからの半年間は、県境をまたぐ移動が気軽にできないため、札幌近郊の温泉を中心に訪ねました。

この半年間でいちばん通った湯は、豊平峡(ほうへいきょう)温泉です。車やバスで約1時間かかる自然豊かな山の中に位置しますが、住所は札幌市南区です。

半年で10回は通ったので、月に1、2回のペースで足を運んだ計算になります。現時点での、私のホーム温泉です。

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出典:豊平峡温泉公式サイト

豊平峡温泉の最大の魅力は、源泉の質です。黄褐色の湯が100%かけ流し。しかも、札幌市内で唯一貯湯タンクを使用せず、地中からの源泉を直接浴槽に注いでいるため、空気には一切触れていません。

源泉の成分が濃いため、「石灰華」(スケール)と呼ばれる温泉成分の析出物が湯船や床に堆積していて、まるで棚田のような光景をつくりだしています。その上を裸足で歩くと足裏が少々痛いのが玉に瑕ですが、本物の温泉である証拠ですから、温泉マニアにとってはうれしい痛みでもあります。

露天風呂は男女入替制で、いずれも広々とした開放感が自慢の岩風呂です。昼間はまわりの山々、そして抜けるような青空を眺めながら浸かり、夜はライトアップされて幻想的です。

また、ぬるめの温度設定になっているので、多くの人は30分以上ゆっくり浸かっています。ちなみに私は1時間じっくりと。

豊平峡温泉には内湯もあるのですが、露天風呂のレベルが高いため、こちらはあまり人気がありません。しかし、源泉の鮮度は内湯のほうが上。私は内湯にも欠かさず入ります。

館内には広い休憩スペースもあり、一日ゆっくり時間を過ごすことができます。本を読んだり、ごろごろしたり、ビールを飲んだり・・・。そして温泉が恋しくなったら、また湯船に浸かる。もう、天国のような場所なのです。

食事も充実しています。名物はネパール人スタッフがつくる本格的なインドカレー。建物に入るとカレーの香りが漂っているので、食欲がわいてきます。

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温泉とカレーは、じつによく合います。「なぜ温泉でカレー?」と疑問をもつ人もいるでしょうが、じつは経営者がすすきのでインド料理店を始めた際、ネパール人シェフが来日してお店を切り盛りしていましたが、その後、閉店。豊平峡に移ってきたそうです。

何はともあれ、豊平峡では温泉とカレーはセットで、カレーを食べないと帰れない。そのくらいの存在感を放っています。

家族やグループ向きの定山渓温泉

なお、豊平峡温泉に向かう途中には、定山渓温泉と小金湯温泉があります。とくに定山渓は札幌の奥座敷とも呼ばれる人気温泉地。東京の人にとっての箱根や熱海のような存在といえます。アクセスがよいわりに温泉街が形成され、旅館のキャパも大きい。

かつて、いくつかの定山渓の湯に入ったことはありますが、移住後はまだ入浴していません。定山渓は大型の旅館が多く、家族やグループ、カップルに向いている温泉地であることと、豊平峡のほうが圧倒的に泉質がよく、ゆっくりできることが理由です。

ちなみに、豊平峡と定山渓、小金湯にバスで行くなら「温泉日帰りパック」がお得です。札幌駅から各温泉地までの往復バス料金と入浴料金がセットで2200円均一となっています。

北海道は日本一の温泉地数を誇るとはいえ、各温泉地は広大な土地に点在しています。そのため、札幌から訪ねようと思えば、それなりの移動時間が必要になりますが、日帰りなら片道1時間くらいに抑えたいところ。

豊平峡、定山渓以外で、1時間以内に行けて、なおかつ湯の質も高い温泉といえば、丸駒温泉旅館、森林公園温泉「きよら」、ながぬま温泉あたりが該当します。なかでも、丸駒温泉はわざわざ足を運ぶ価値のある貴重な源泉が湧いています。またあらためて紹介しましょう。

いずれにせよ、質の高い温泉は、札幌の中心部から片道1時間くらいかかるのが辛いところです。30分以内でふらっと行ける湯があれば最高なのですが、それは高望みしすぎかもしれません。

強塩化物泉のスーパー銭湯

移住してから豊平峡温泉と同じペースで通っている温泉が、もうひとつあります。札幌市中央区にある「極楽湯さっぽろ弥生店」です。

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仕事帰りなどに、ふっと温泉に入りたくなることがあります。そんなときは帰り道にある、こちらのスーパー銭湯に立ち寄ります。

「極楽湯」は全国に展開する温浴チェーン。私の入浴した限りでは、極楽湯はどこも循環ろ過がデフォルトで、かけ流しの湯船はありません。効率や利便性、回転率、清潔さなどを優先した経営方針なのだと思います。

ですから、これまでの私なら、いくら帰り道にあったとしても選択肢に入らなかった施設ですが、移住後しばらくして、あまりの寒さに耐えられず、ふらっと訪れたことがありました。

さっぽろ弥生店も他の極楽湯と同様に、しっかり循環ろ過されていましたが、泉質が塩化物強塩泉だったのが救いでした。塩化物強温泉とは、古代の海水成分を含んだ湯で、塩辛いのが特徴です。

塩化物強温泉はたいてい地中深く掘削して汲み上げた湯なので、自噴の湯のようなまろやさややさしがないので、あまり好みではないのですが、さっぽろ弥生店の湯は、循環ろ過されても、その源泉の濃さゆえに、個性が消えずに残っていました。うっすら黄色の濁りも見られます。循環ろ過されると普通のお湯と見分けがつかなくなるのが常ですが、よほど源泉が濃いのでしょう。

また、都市部のスーパー銭湯は不特定多数の人がたくさん入るため、湯が汚れやすい傾向があります。そのため循環ろ過する必要があるのですが、それでもなお、「これだけ人が出入りしていたら、循環しても湯は汚れるだろうな」と私は少々嫌悪感をもってしまいます。その点、強塩化物泉だと濃厚な塩分の効果で、そういう不潔感が少々緩和される気になります。あくまで気分の問題ですが・・・。

つまり、スーパー銭湯にしては悪くないという評価なのです(上から目線で申し訳ありません)。なにより帰り道にあるのがありがたい。

そして、意外とポイントが高いのが、食事処のごはんが安くておいしいことです。

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ボリューム感のあるザンタレ定食(670円)は、ピリ辛の味つけでご飯がすすみます。味噌ラーメン(520円)も価格のわりに健闘していて、ローテーション入りしています。

寒さが厳しい日や暑くて汗をかいた日には、帰宅時のオアシスとして重宝していたのですが、残念ながら8月31日に閉店してしまいます。建物の老朽化のため取り壊されるそうです。

せっかく回数券まで買ったのに残念で仕方ありません。9月以降、近場の温泉を開拓するのが当面のミッションになりそうです。

〈移住の経緯はこちらから〉




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