温泉ワーケーションの成果を決める「ワークスペース問題」#前編
温泉地でのワーケーション(=温泉ワーケーション)は、温泉宿を拠点に仕事ができるのが魅力といえる。仕事をしたあと、すぐに温泉につかれる環境は最高である。
だが、温泉宿でのワーケーションには必ずつきまとう問題がある。ワークスペースについてだ。仕事をするスペースをどう確保するかは、ワーケーションの成果を左右するテーマといえる。
旅館の部屋でのPC作業はつらい!?
もともと温泉宿は、仕事とは対極に位置する施設である。宿泊客は仕事で疲弊した心身を休めるために温泉に入りにくるのであって、館内はリラックスできる環境となっているのが普通だ。
そもそもビジネスをする場として想定していないので、いざPCを開いて仕事をしようと不便に感じることが多い。
最も悩ましいのが、部屋の中にオフィスで使うようなテーブルやイスがないことだ。温泉旅館の部屋の多くは和室なので、畳の部屋に座卓と座椅子(座布団)が基本である。
短時間であれば、PC作業も十分に可能だが、姿勢を保つのが意外と大変だ。私の場合、30分もすると腰が悲鳴をあげて、集中力が落ちてしまう。
部屋によっては広縁にローテーブルとイスが置かれているケースもある。座卓よりはいくぶんましだが、どうしても前かがみの姿勢になるので、これも長時間の作業はきびしい。
また、電源の問題もある。古い旅館だとコンセントの数が極端に少なかったり、アダプターコードが届かなかったりする。
さらには、Wi-Fiの問題もある。ここ数年で部屋の中にもWi-Fiが飛んでいる旅館は増えている印象はあるが、データ容量が小さくてオンラインミーティングに適さない場合もある。
現状、温泉宿でワーケーションをしようとしたら、こうした問題にぶち当たることになる。
デスクワークやPC作業はほとんどせずに、アイデア出しなどの「脳内作業」が目的であれば、オーソドックスな温泉旅館でも十分だが、PC作業やオンラインミーティングを伴うようであれば、「ワークスペース」の問題は出発前にある程度クリアしておくべきだろう。
5つのワークスペース
温泉宿でワーケーションをする場合、「ワークスペース」の候補として、次の5つが考えられる。
①宿泊する部屋 ②宿内の共有スペース ③近場のコワーキングスペース ④カフェや公共スペース ⑤屋外
①宿泊する部屋
前述したような問題はあるが、Wi-Fiが飛んでいれば、とりあえずPC作業をこなすことはできる。また、オンラインミーティングなどは人の目がある公共スペースでは支障があるので、個室という環境はかえってメリットになる。
「半日くらいなら座卓などでも乗り切れる」という人であれば、部屋にこもって仕事をするのもありだろう。実際私も、ほかに選択肢がなく、腰の痛みをごまかしながら自室で作業をすることが多い。
洋室であれば、作業に適したデスクやイスが備え付けられている可能性があるので、宿探しの段階で、洋室のある温泉宿を選ぶという選択肢もある。
②宿内の共有スペース
代表的なのはロビーであるが、ソファセットが中心でPC作業などには向いていない。また、人の目もあるので、オンラインミーティングはしにくいし、長時間の利用は迷惑にもなる。
宿によっては宿泊客が寛げるラウンジやライブラリーを備えているケースもあるので、他の宿泊客の迷惑にならない範囲で作業をすることも可能だろう。最近では、ワーケーションの受け入れに積極的な宿の中には、ワーキングスペースを設置する動きもある。
昔ながらの旅館や小規模な温泉施設では、そのような設備投資は難しいだろうが、連泊をするなら宿の人に率直に相談してみてもいいだろう。
ある小規模の宿に滞在したとき、座卓でのPC作業がつらかったので、食事処のスペースを借りたことがある。「昼間は誰も使っていないからどうぞ」と快諾していただいた。やはりテーブルとイスがあるだけで、集中力も作業量もアップする。
残りの3つについては次回の記事で検討していくこととしよう。
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