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有名温泉地は「ソロ温泉」には向いていない

「ソロ温泉(=ひとりでの温泉旅)」の目的地として、まず候補に挙がるのは、誰もが知っているような有名温泉地だろう。

だが、ソロ温泉と有名温泉地は相性があまりよくない。ソロ温泉に向いている温泉地はどこだろうか?

ひとり旅で行きたい温泉地ランキング

先月、旅行サイト『じゃらんnet』会員1万3961人を対象にした温泉地利用に関するアンケートの結果が発表された。

同アンケートの「じゃらん人気温泉地ランキング」は16年も続く、恒例のランキングであるが、今回から「ひとり旅で行きたい温泉地ランキング」が 新設された。

近年、密を避けるための「ソロ温泉」が注目されていることも背景にあるのだろう。

「ひとり旅で行きたい温泉地ランキング」のベスト10は以下の通り。

1位:箱根温泉(神奈川県)1,292票
2位:草津温泉(群馬県) 814票
3位:道後温泉(愛媛県)782票                    4位:熱海温泉(静岡県) 644
5位:有馬温泉(兵庫県) 607
6位:別府温泉郷(大分県) 526
7位:登別温泉(北海道) 520
8位:黒川温泉(熊本県) 508
9位:由布院温泉(大分県) 468
10 位:下呂温泉(岐阜県) 450

見事なまでに、全国的に有名な温泉地が占めている。本家の「全国人気温泉地ランキング」のラインナップと比べても、順位が変わっているだけでランクインしている温泉地の顔ぶれは同じである。

「じゃらん」という媒体自体が、「温泉好き」というより「旅行好き」の利用者や読者が多いのも、有名な温泉地がランクインしやすい理由のひとつだと考えられる。

もちろん、これらの温泉地はどこも独自の歴史や文化、環境をもち、湯力もある。日本を代表する温泉地ばかりである。

ただ、「ソロ温泉」に向いているかという観点からいうと、少々疑問が残る。

大温泉地だからこそ感じる「孤独」

せっかく温泉に出かけるのだから、温泉旅ならではの情緒を感じたい・・・という人は多い。トップ10にランクインしている温泉地は、いずれも温泉街が形成されていて情緒もある。

ソロ温泉は温泉そのものを堪能するのが重要な目的であるが、雰囲気のよい温泉街を散策すれば旅の充実度は倍増する。入浴後に浴衣と下駄で温泉街を歩けば非日常感を味わえる。ソ温泉の魅力を多面的に感じられるという点で適している。

トップ10にランクインしているのは、どこも見どころの多い日本を代表する温泉地であるが、温泉街が充実し、観光客が多い温泉地は、ソロ温泉の舞台としては少々にぎやかすぎる

ちなみに、先のアンケート結果において、ひとり旅で行きたい温泉を選んだ理由については、ほとんどの温泉地で「静かな環境でゆっくり過ごせるから」がトップに挙がっている。

たしかに都心に比べれば、静かな環境かもしれないが、週末の温泉地はかなりにぎやかである。トップ10に入っている温泉地は、ひとりになるというよりも、家族や友人といっしょに訪ねると楽しい温泉だといえる。

ひとり旅に慣れている人であれば、少々にぎわかな温泉地でもまわりのことはさほど気にならないかもしれないが、旅に慣れていない人は、どこに行ってもカップルやグループばかりが目につくと、かえってさびしさを募らせてしまうかもしれない。

特に食事の際にわびしさを感じる恐れがある。大温泉地の大型旅館だと、大きな広間で他の宿泊客といっせいに食事をとるパターンもある。会話で盛り上がっているグループが近くにいると気まずい。特にビュッフェ形式だと、孤独を感じやすい。

外で食事をするにしても、大きな温泉街の人気店だと外に客が並んでいることもあり、やはり一人だと入りづらい。

有名温泉地は、一見華やかでひとりでも楽しめそうな気がするが、案外、孤独を感じる機会が多いのだ。

「ソロ温泉」に向いている温泉地

狙い目は、それなりに街並は充実しているけれど、観光客がそれほど殺到しない、落ち着いた温泉街である。

たとえば、草津温泉よりも「四万温泉」、箱根温泉よりも「湯河原温泉」、熱海温泉よりも「伊東温泉」、由布院温泉よりも「長湯温泉」のほうがソロ温泉には向いている。

ちょうどいい塩梅なのは、野沢温泉や渋温泉などである(ともに長野県)。温泉地の情緒を感じられるが、にぎわいもほどほどの温泉地である。

これらの温泉地については、別の記事でもくわしく述べているので参考にしてほしい。






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