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蕾にも満たぬ両想い


甘噛みされた人差し指の跡が恋しい。

確かに僕と君を繋ぐのはただのセックスかもしれないし、あるいは実らない両想いなのかもしれない。
でもどちらにせよ、僕たちは恋人にはならない。君が決めたことじゃないか。あぁ、もちろん争う気はないからその爪を隠しておくれよ。

なあ、そうなんだろう、
恋人だからするセックスは至極当然でありきたりだろう?だったらいいよ。この名もない関係で、意味も責任もないのにするセックスの方が気持ちがいいんだよ。

なあ、そうなんだろう、
君の少し透けたあばらも、丸まった背中も、薄い一重も、そこから覗く三白眼も、君を纏う弛んだタバコと香木の混ざった香りも、明日の朝起きる時には、跡形もないんだろう。

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