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飲食店大進化論Ⅱ・X投稿集

【2024年分1,000回までの投稿履歴】
 
[1月]
明けましておめでとうございます。 第四次産業革命が進展する中で飲食業は大転換期を迎えています。従来のままでは陳腐化を免れず、変化の波に乗れないレストランは淘汰され思いを持たないオーナーは退散せざるを得ないでしょう。時代感覚に合わせて仕切り直しすべき時期に来ています。
 
紅白での伊藤蘭「キャンディ ーズ50周年紅白スペシャルメドレー」はステージを囲む150人以上の親衛隊が圧巻だった。 推しと50年の人生を共にしていて今もなお現役で声援を送る姿には絆を感じる。こういうお客様が飲食店に欲しい。これからの時代は顧客生涯価値から店づくりを考えたい。
「オタクの理想すぎて泣ける」伊藤蘭の親衛隊に囲まれたステージにネット上にはリスペクトの声 (msn.com)

進化には同一種内で変容していくシリアルな小進化と、別系統が生まれて種の流れを変えてしまうパラレルな大進化がある。 人類史で久しく訪れていなかった大進化がコロナ禍によって出現してしまった。これまでのやり方を踏襲していては飲食店のビジネスを変容できても変化させられない。
 
おもてなしやホスピタリティは飲食店で当たり前のように使われている言葉だが、核とされる心があいまいで捉えどころないために言葉遊びに終始し、言い訳をするための免罪符に使われてきた面も否定できない。 今こそ見直すチャンスではないだろうか。ふれあい欲求の高まる中では武器になる。
 
バブルショックを境にデフレ経済期が到来し、インフレ経済期のアンチテーゼになった。 コロナショックを契機に大きく時代が動いたから今はジンテーゼと捉えてコロナ経済期とでも呼ぶべきだろう。2020年以降は年頭に弁証法を用いてこれからの時代を考えてきており、今年も手を加えてみた。

ネクストサステナブル食品として今年注目したい食材が日本ハムの グラフォア だ。 冬季需要が落ち込む鶏レバーを有効活用したフォアグラの代替品で、世界的なフォアグラ提供禁止の流れの中で新たな需要が見込めそうだ。今年は居酒屋業態を中心に広がるだろう。
世界三大珍味フォアグラを鶏レバーが変える サステナブル発想を商品化した「グラフォア」エイプリルフールに向けて3月29日(水)新発売 | 日本ハム株式会社 (nipponham.co.jp)

米を使ったエスニック料理が動いており昨年はビリヤニが目立っていた。ガチ中華の流れは東南アジア料理に拡大しているから今年はベトナム料理に注目したい。香味醤油をかける炒飯のコムチン/ブロークンライスのコムタム/蒸し春巻き/おこわ/お粥などアレンジでお洒落になる料理が多い。

外食の方向性としてお酒を飲まないソバーキュリアスの動向が気になっている。ソバーキュリアスはsober(しらふ)とcur ious(好奇心)を組み合わせた造語だ。コロナ禍以降増えているノンアル専門店だけではなく一般店でも食事メインでお酒を控えたい客層への対応が重要になるだろう。

去年TikTokで気になった飲料にダーティソーダがある。ダーティソーダは炭酸飲料にフレーバーシロップやクリーム、果汁を加えたアレンジ飲料。セントジョージで創業し、全米展開を目指すSwigがダーティソーダ発祥の店を名乗っている。今年は日本でも混濁ソーダに火がつくかも。
Swig Drinks - お近くのソーダショップで爽やかな飲み物を

料理もサービスも売るためには客目線で考える事が重要なのは今も昔も変わらない。ただそれが「モノ自体の魅力」から「買ったときに感じる心地よさ」に移っている。 物理的な仕様や売価など売る側が伝えたい内容は買う理由にならない。自分をどんな気持ちにしてくれるかが重要になった。
 
近未来を予感させる没入体験で秀逸なレストランは昨年シドニーにオープンした3Dジャーニー-スルー-タイム(3D時空の旅)だ。 3コースあるディナーを没入感のあるプロジェクションマッピングの中で楽しむことができる。映像と料理を融合させた演出が素晴らしい。

レストラン3Dジャーニー・スルー・タイム(3D時空の旅)
シックスセンスエージェンシー社ホームページ掲載画像

https://www.youtube.com/watch?v=SGKnmkqy8Yg3D

近年プロジェクションマッピングを活用したレストランが増えている。 大がかりに劇場的な空間演出が施されたホールでの食事がイメージだが、東京焼肉黒木のように店全体ではなく特別個室を設えた店もある。あるいはスポットでテーブルや皿に映像を投影してもダイナミックな演出になる。

東京焼肉黒木公式画像より

プロジェクションマッピングは実物と映像をシンクロさせる映像手法だ。 映像を立体の投射面に合わせて加工し張り合わせるだけだからテーブル演出のようなものであればプロジェクターとPCと加工ソフトの用意だけで自作できたりする。店を仮想空間に投影すればVRゴーグルなしで楽しめる。

TREE by NAKED 代々木公園のプロジェクションマッピング
レッツエンジョイ東京公式画像より

この週末は飲み客がけっこう出ている印象だ。昨年の忘年会需要は思ったほど盛り上がらなかったが、それでも少人数会食が動いてくれているのはありがたいことだと思う。飲食店集客では店の個性が重要なファクターだ。実際にコンセプトがしっかりして売りの見える店に客足が集中している。1/13
 
これからの商売はプロダクト(提供内容)ではなくプログレス(生活向上)が重要だ。 お客様は料理やサービスを買うのではなく、食生活をより豊かなものとするためにお店が提供する食事を自分自身のライフスタイルに組み込もうとしているからだ。言いかえれば課題解決が目的で来店している。
 
料理を芸術品と考える調理人には受入れがたいと思うが、PCメーカーの自由にパーツ換えをオーダーできるBTO生産のように食材や調理を組み替えるBTO料理の提供も大真面目に考えてみたい。裏メニューとしては以前より存在しているけれど飲食業はセル生産だから個別ニーズ対応を売りにしたい。

日本の飲食業は勤勉だから食材は豊富だし調理技術の水準は満足できるレベルに達していると思う。だから店の魅力化ではモノとしてのメニューが占める割合は縮小傾向にならざるを得ない。 料理が美味いだけでは勝てないということだ。コトとしての食事つまり食べ方の訴求力が重要になる。
 
ビジネスには会社利益の追求よりも社会利益への貢献が求められ始めており飲食店も社会的な存在価値が問われている。 店としても衝動来店のフリー客よりも店の姿勢に共感して継続来店してくれるストック客の方がありがたいから、店の意味性を高めてお客様一人一人の顧客生涯価値を高めたい。
 
コロナ禍で生まれた意識変化やお客様の行動変容に適応させるには、飲食店がものづくりビジネスからよりそいビジネスに変わる必要がある。食でのよりそいビジネスは外食の動機づくりから出発する。市場統計でお客様を集団属性で捉えるのではなくペインポイントで市場が求めている感覚を捉える。
 
ペインポイント(痛点)は医療用語だがビジネス上では"お金をかけてでも解決したい問題や悩み"になる。「悩みが解消されるのであれば惜しみなくお金を投入したい」気持ちが店を繁盛させる。ペインの対極の拡大欲求がゲインだ。ペインポイントで誘客しゲインポイントで店に定着させる。
 
飲食店は食事提供が目的だから店に来てもらうことに力を注いできた。QSCAで食事を魅力化し、OP効率で利益を確保するビジネスモデルだと考えてきたが、コロナ禍を経て勝手が違ってきている。物理的な客数減に対処するには、外食の必然性を高めて取りこぼしなく集客しなければならない。
 
外食重要の矮小化に対応するには料理へのこだわりを捨ててこれからの時代に必要とされている飲食店の役割を煮詰め直す必要がある。お客様の望むものをしっかりつかまないと状況変化に対応できない。そのためには誰彼となく全方向に向かって愛想をふりまく従来のやり方を改めるべきだ。
 
安定収益のリカーリングレベニューは技と経験のものづくりで発展してきた飲食業にとって魅力的に映るが、本質を捉えて正しく使いこなさなければ取返しのつかないことになりかねない劇薬だ。的確な未来予測が求められるので、お客様データの蓄積があってこそ設計できる経営手法だから。
 
コロナ禍の最中サブスクにチャレンジした飲食店の失敗を調べていくと定額課金モデルさえ採用すれば売上が担保されると考えてサブスクの課金方法を表面的にマネしたところが多い。課金システムの裏側にあるべきお客様との関係性をないがしろにしているから、やればやるほど赤字になった。

厨房で作った集計データを見せてもらうと、大抵の飲食店がExcelを活用している。 今はビッグデータやデジタル解析があり様々な情報を組み合わせて高度分析のできるオンラインサービスも増えているから二次元テーブルで終わらせず立体的なキューブ構造の多次元データベースを構築したい。

コロナ禍の非接触生活でデジタル体験を余儀なくされてからお客様はリアルとデジタルの間を行き来することに慣れ始めている。 あの時は大手チェーン中心でタブレットによる客席注文が急速に普及していったが、更に今では小さな店でもスマホ注文主体の運営に違和感がなくなってきている。

コロナ禍が契機になり世の中全体の情報リテラシーが急上昇しているからお客様も高レベルでの対応に慣れてきている。飲食業はスタッフ頼みの属人的対応で発展してきたがアナログ対応だけではデジタルに慣れたお客様を満足させられない場面が出てくる。もっとオンライン活用を進めたい。 

インターネットが情報活用を公平にしたと言うが実態は逆であり情報格差を広げている。アナログ経営でデジタルネイティブなお客様に対応できない飲食店は、オンライン生活が日本人のライフスタイルに定着すればするほどうまく立ち回っているデジタル経営の店とは格差が広がってしまう。 

インターネット第四世代の5G通信は産業革命に匹敵する変化をもたらす。 ビックデータにAI解析が結びつきIoTであらゆる電装設備がネットにつながるWeb3.0は分散アプリケーションの世界だ。5Gがもたらす空間的な広がりによって様々なビジネスが結びつき新しいサービスを生み出している。

データに基づく飲食店経営はレジ情報に店内センサー類の計測情報とネット情報を組み合わせて商品軸/顧客軸/店舗軸の3方向から問題点を明らかにする。飲食店が活用できるオンライン処理サービスを活用して様々な視点から集計すれば多元的な切り口で分析結果を得られるしAI予測も可能だ。
 
リアル店舗であってもオンライン上に複数の顧客接点を持つことで店舗運営に役立つ多くの市場データを蓄積できるようになり、さまざまな切り口で分析した情報を組み合わせることで店に求められる真の利用動機や食事シーンを確認でき、お財布シェアも獲得できるという好循環が生まれる。
 
飲食店のSNS活用で誤解しやすいのは、ソーシャルメディアがPR手段に見えて実はそうではないことだ。売り込みは役割が違うから嫌われるし、知ってください来てくださいはTVに軍配が上がる。リアルな感触でお客様とのコミュニケーションを活性化させて店のファンを増やすために使いたい。
 
[2月]
顧客第一主義の店づくりとはお客様から寄せられた要望事項を単に取り入れることではない。 お客様から実現して欲しいと言われた内容はそのままでは答えにならないからだ。お客様が抱える問題を抽象化しまだ気づいていない課題の本質を取り出し汎用的な解決策を提案する力が求められる。
 
コロナ禍を契機に店を取りまく環境の様変わりに戸惑うことが増えている。これは日本人の生活様式が、これまではシリアルに変容してきたものが感染対策の圧力によりパラレルに変化してしまったからだ。過去のやり方にしがみついていては先が見えない。成功体験を捨てれば身軽になれる。
 
ビジネスとは課題解決によって社会貢献することに他ならない。飲食店は食の提供を目的としているから、今の時代にどんな食の課題があるのかを見い出す必要がある。何をどのように提供するかが先にあってはならない。問題や課題は刻々と変化していくからゴールを固定するから失敗する。
 
うちのやり方は特別だから/うちの立地は特殊だから/ほかとは条件が違うからというオーナーの諦めが時代の波に乗せるための改革を阻害する。 自分自身が特別であることをやらない理由にしたところで前には進めない。着眼点を切り替えて今必要とされている課題をつかみ解決策を提供する。
 
ひとつのルールの中で勝ち負けを競うのではなくゲームそのものを根本から変えてしまう人や企業をゲームチェンジャーという。今や昔ながらのやり方で優劣をつける時代ではなくなっている。日本人の生活様式が大きく変化したから何が求められているかを理解し最適化された食を提供する。

挽肉と米公式画像より

第三者視点で物事に対する捉え方を再認識することをメタ認知という。自身の経営に関する取り組み方を既存ビジネスの枠外へ移し替えれば今居る業界の中で同業との比較に苦しむのではなく自分がいかに小さな範囲でちょっとした差異に一喜一憂しているのか視野狭窄に気づくことができる。
 
人は余裕をなくすととんでもないミスを起こすものだ。一度失敗すると余裕がなくなりネガティブな感情に捉われて負の連鎖から抜け出すのが難しくなる。情勢の変化で心の余裕を失いかけたら失敗の解釈を変えてみる。思った通りに事は運ばなければ失敗と考えずに違うやり方を試してみる。
 
ネットで店の評判が拡散する時代である。スマホがリアル生活に浸透しているからネットの特性を理解してコミュ力を磨き店の評判管理にうまく使いこなす事が求められる。しかしずっと通い続けてくれる店のファンとクチコミ・ハンターの一見客は違う。グルメサイト頼りからは脱却したい。
 
コスパ重視で便利な店はコロナ禍に苦しんだ。安値品は存在だけで来店ハードルが下がるので衝動来店の可能性は高まるが浮気性のフロー客相手に集客面で苦しむ事になる。経営を安定させる為にはストック客を確保する必要がありお客様の感情を揺さぶるインパクトで特別な存在になりたい。

コロナ禍を経て自社の利益に固執するのではなく社会全体への利益提供が求められるようになり飲食店のあり方も変化している。お客様の以前より減った外食機会に居心地よく食事できる店を探しているから長く通ってもらうためにも物理的な満足感だけでなく心の満足を満たす要素が欲しい。
 
飲食店は仕組みで動かす事が重要で、今の時代は最低限の人数で運営できる様にフードテックやIoT機材を上手に取り入れたい。究極の姿はワンオペ運営だが、キッチンとホールはマルチタスクが可能な様にぜい肉をそぎ落としておく。そのためにも料理やサービスは可能な限りシンプルにする。
 
メイン料理の構成を減らしシンプルにすれば盛りつけが楽になり熱々の料理提供ができる。料理の8割は仕込んでおく様に手順を組み立てておけば手数が減り直ぐに提供できるメニューが多ければ対処の幅が広がるから表に出す数は極限まで絞りこんでおく。裏や味変で柔軟対応の余地も作る。

飲食店がものづくりビジネスであるうちは顧客接点が客席サービスに限定されていた。 店舗/食材/調理/料理をバックエンドとする直線的なバリューチェーンだったのである。 コロナ禍以降は食事を媒体としたよりそいビジネスが求められるようになり柔軟に顧客関係性を築く必要が出ている。

飲食店は統計資料を駆使してマーケットの集団特性からビジネスを組み立てるのではなく お客様のペインポイントから飲食業に求められるものを理解して社会的な必然性に最適化された食事をレコメンドする必要が出てきている。お客様行動を観察して捉えた本音に繁盛のヒントが隠れている。

アフターコロナに役立つ情報を道しるべとして飲食店に提供したいと始めたXも今夜で1,000回目になった。飲食業がクラスター発生の元凶とまで言われて苦しかった悪夢も過去の話になりつつある。
毎晩21時頃に140字の投稿にこだわって続けてきたが当初描いた目的はある程度実現したと思うし、TwitterはXになって仕組みが変わりThreadsも始まったので、これからはもう少し自由にもう少しゆっくりと投稿したいと考えている。まずは1,000回のキリ番まで投稿できたことに感謝申し上げます。



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