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「この会社で一生働くんだろうか?」という疑問が湧くほうが自然だという話

世の中には疑問に思ってもなんとなく言い出しづらいというか、「言ったところで何か変わるの?」といった雰囲気の話題があります。

たとえば「この会社で一生働くんだろうか?」という疑問は、就職してしばらく経った若者がふと考えても不思議ではありません。でも就職戦線を乗り越えてやっと社会に出たばかりの若者がそんなことを口にしたら、「他の会社がよかったの?苦笑」と上司に思われるかもしれないし、「まず一人前に稼げるようになってから言えよ!」と同期にドヤされるかもしれないし、なんとなくモヤっとするけど口には出しづらいでしょう。

僕が初めて就職した時は就職「超」氷河期と呼ばれていて、なんとか滑り込みで正社員(とはいえアウトソーシング企業だったので限りなく派遣に近い)になれただけでその時は大満足だったのですが、数ヶ月働いただけで「これを一生やっていくのかな… なんか嫌だな」と感じていました。

決定的だったのは1年後に昇給があって給与明細を見ると昇給額がわかるわけです。僕の場合5,000円でした。ものすごい残業をして活躍した同期は10,000円アップでした。「待てよ、これで大体の将来の収入がわかるんじゃ…」と思うわけです。その仕事に対して秀でた能力もやる気も特になかった僕は、5,000円 × 40年 = 200,000円 に現在の給与約20万円を足して、60歳を超えても40万円前後か… とまず考えました。

想像して何よりキツかったのは、毎年5,000円アップでは10年後に32歳になっていても給与25万くらいにしかなっていないことでした。おれ結婚とかできんのかな… と漠然とした不安がよぎります。

こういった疑問や不安はいろんなものがあります。

  • みんな当たり前に高校や大学に行こうとするけどなぜなんだろう

  • 「将来の夢は?」って聞くけど10代で決まってる人なんているのか?

  • 中学や高校に入ったらなんで急に競走しなきゃならないんだろう

  • なんで何をやるにしてもお金がかかるの?

  • 学校に行って、企業に就職するしか生きる道ってないの?

きっとみんなどこかで感じている疑問なのだけど、声を大にして言い出しにくい雰囲気、「空気」が立ち込めています。

多くの人がやっているからといって、自分もそれで良いとは限らない

ちょっとたとえ話をしましょう。

学校でクラスが決まり、クラスメイトが決定した後に「はい、では君たちは今後一生、この人たちとだけ付き合っていくように!」と言われたらどう思いますか?

あるいは図書館に行ってなんとなく一冊借りようと受付に持っていったら「はい、あなたは今後この本しか読まないように!」と言われたり、部活動でなんとなくテニス部に入ったら「はい、あなたは今後スポーツはテニスしかしないように!」と言われたらどう感じますか?

「いやいや、他のクラスの人とも付き合いたいし、学校の外の人とも知り合いになりたいに決まってるだろ!」とか「は?他の本も読みたいし、他のスポーツもやりたいんですけど!」と抗議しますよね。

「一生同じ会社で働く」というのは、これらと同じおかしさがあります。むしろ他社の仕事ができる人に憧れたり、他の会社に転職したり、職業そのものが変わったりするほうが自然です。

僕のようにフリーランスになれ、と気軽に誘いたいわけではありませんが、「一社で長く働かないとおかしい」とか「ずっとこの会社にいなきゃいけないんだなぁ」と思うようなマインドのほうが異様です。

もちろん1つの会社で1つの職能に従事してこそ身に付くスキルや社会人マナーなどはあります。とにかく転々とすれば良いというわけではありません。それにその仕事がとても楽しいのなら無理に辞める必要もないわけです。

問題なのは「なんかおかしい…」と薄々感じながらも、なんとなく周りの空気に流されて我慢することが通常運転になってしまうことです。

違和感は大体合ってると言われます。

これは僕自身も長くフリーランスをしてきた中で何度も経験しました。打ち合わせをしているときに(ん?なんか変な会話になってるような… 核心はそこなんだろうか…)と違和感を感じることがありましたが、まだ遠慮のあった当初は何も言わずにいたら、後になってその点が大問題になることを何度も、何度も、何度も経験して(そしてそのツケも回ってきて)、いい加減口を出さずにはいられなくなりました。

違和感はとても大事にした方がよいです。別の言い方をすると、自分の違和感を無視し続けると、そのうちそのセンサーが働かなくなるということです。案件の失敗はまだ人ごとにできるかもしれませんが、自分の人生の重要な選択を安易に「空気」に合わせて選ぶのはおすすめできません。

自然体で生きるには

では「この会社で一生働く」のに違和感を感じるなら、どういう行動がより良いのか?について具体的な例を示すと、

  • その会社で身につける能力を決める

  • その会社で耐える年数を決める

などが考えられます。要するに終了条件を決めておくということです。

たとえば「今は上司にくっついて真似するしかできないが、クライアントから指名が入るくらい能力と信用がついたら転職しよう」だったり、「きついけど1年は耐えてお金を貯めよう」などと決めるわけです。

こうすると「じゃあ次はどこで働こうか?」「次こそは面談でもっと質問して仕事内容を詳細に聞き出そう」といった事前準備や改善行動につながっていきます。

重要なのは、あなたにとって自然なのはどういう働き方か? 心地いい状況というのはどういう仕事か? といったイメージに素直になることです。会社の上司、友人、世間の「空気」があなたの人生を自動的にデザインしてくれることはありません。あなたが自分で「どういったのが良い」「こういうのは避けたい」と決めていかなければ事態が好転していくことはありません。

たまたますごく楽しい職場、能力を活かせる仕事、尊敬できるメンバーに恵まれたならそれを思いっきり享受すればいいし、どうしても違和感が拭えないなら期限を決めて次の手を考えればいいのです。

どちらかといえば変化が起こるほうが自然なのです。ずっと同じ本を読んだりサッカーだけをしたいわけないですよね。いろんな興味、好奇心があるはずです。

自分の違和感、気持ちを素直に認めてあげることで初めて、次の行動が思い浮かぶのです。

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