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2020年 ベスト50

2020年マイベスト。順位は1位から思いついた順番そのままなので、ほとんど意味がない。なるべく今年のコンテンツだが、とても面白かったものは無関係にランクインしている。

50位. Pet Shop Boys - Wedding in Berlin
どういうタイプのふざけ方なのだろうと思ったから。

49位. 十三機兵防衛圏
戦闘パートが面白かった。無数の敵をミサイルレインで殲滅していくのが爽快。ストーリーは迂闊だが、それも可愛げがある。何より大人と子供を行き来するのが思ったより背徳的に感じたから。

48位. 紛争でしたら八田まで
勧められて読んだが、本当にリサーチがしっかりしている。ウクライナ回など、かつてゲンロンで専門家の方々が話していた内容と同じことがしっかりと書かれていたのでびっくりしたから。

47位. ピノキオピー - セカイはまだ始まってすらいない feat. 初音ミク
コロナ禍が始まったときに聴いて染みいったから。

46位. 【太田上田#118】地元について語りました
ンゴロンゴロ自然保護区だから。

45位. Chobani - Fruit on the Bottom
もともとおなかが緩い人間だったのだが、アメリカに来てから腹の調子がさらに悪かった。しかし、Greek yogurtを食べるようにしたらみるみるうちに調子が良くなって、いまやほとんど完璧ってわけ。そのなかでも Chobaniは今まで試したなかでもっとも買いやすく、おいしいものだから。

44位. ベルリンうわの空
海外に住む著者の気持ちに共感できるところもあり、国が違うので違うところもあり。これをきっかけに、ファウストを読み返したりしたから。

43位. Amelia Watson
HololiveENのなかでは一番よく配信を観ていたから。

42位. The Killers - Dying Breed
The Killersというバンド名、懐かしいです。最初に聴いたときは、今風のスタイルに仕上げているな程度に思っていたのだが、結果的に振り返ると頻繁に聴いていたから。

41位. イド:インヴェイデッド
このときちょうど精神分析にハマっていたから。

40位. TATTE café
コーヒーやラテがおいしいから。しかし最近は寒くなってきて、職場から徒歩15分ほどかかるTATTEまで行くことはなくなってさみしい。ここでカフェラテを買うときは必ず一緒にApple croissantを買うのが楽しみなのだが、どうみてもクロワッサンではなくアップルパイだから。

39位. チャンスの時間 #99  クイズ王回
タバコの銘柄を当てる逆再生クイズが凄い発想だったから。

38位. イップ・マン 完結
尊敬するドニー師父が素晴らしいのはもちろんのこと、スコット・アドキンスがかなり動けたし、リー・アーメイにそっくりで笑ったから。

37位. ウッドフォード・リザーブ
アメリカ紀行を読み、影響されて飲んでみたらとても美味だった。まったく関係ない話だけど、先崎彰容さんが、アメリカという国はあまりに多くの民族が集まっており、日本のように民族の紐帯が存在しないため、国旗を毎週掲げたりして社会契約を主張し続けなければすぐに崩壊してしまうだろう、というニュアンスのことを言っていてすごく共感したから。

36位. 【無料生配信】2020.6/20 20:00〜 韻シストpresents NeighborFood@CONPASS
ライブの途中、配信のコメントをリズムにのせて読んでいくところが最高に「チル」だったから。

35位. 古代戦士ハニワット
変身ヒーローの定石に従いながら、展開がまったく予測不能なのがとても面白い。土偶の不気味さが群を抜いているから。

34位. 言語の七番目の機能
著作でしか知らなかったフーコーがこれだけワイルドだったということに驚いた。亜インテリである私には、教養がないせいで意味が分からないところもたくさんある。しかし、実在の哲学者への皮肉と言語の持つ謎の機能という部分で引っ張るミステリーのおかげで最後まで楽しく読めたから。

33位. 魔界ノりりむが 積分の問題を解けるまで おわれません 【にじさんじ】
企業型Vtuberのコンテンツは限られているなかで、新たな可能性を提示した。単なるエンタメに留まらず、企業所属のある程度有名なVが知や興味を含めたコンテンツを潜ませることが痛快である。重要なのは普段の配信と地続きなことであり、それこそが観客にとって「誤配」の場となっていくだろうから。

32位. ジャンプ+ 週刊少年ジャンプ電子書籍
高校生以来、週刊少年ジャンプを買うようになった。それも、呪術廻戦とチェンソーマンのせいである。チェンソーマンは終わったが、呪術廻戦はまだ続くのでこれからも買わなければならなくなったから。

31位. Jacob Collier - In My Bones (feat. Kimbra & Tank and The Bangas)
何かを言う前に、まずこの曲を聴いてみれば分かるから。

30位. Better Than Bouillon - Organic Roasted Chicken Base
アメリカにはあまり良いコンソメがないと悩んでいたのだが、これは非常に濃厚で日本人の舌にも合う。スプーン一杯程度入れるだけでかなりうま味を補強することができる。スープを作るときにはおすすめだから。

29位. 現実性の問題
様相(?)は現前、反実仮想、可能性、潜在性再び現前という円環構造をとっているという。様相論理を扱った本は初めて読んだので、とても面白かった。これは読書会でも話したことだが、この構造を頭に入れているだけでも議論のときに円環構造のどこで話しているか把握できるから便利だし、何かを思考するときにその基礎として使えるのではないかと思ったから。あと本の厚さのわりにやたら重い。

28位. ジャック・デリダ —死後の生を与える
ジャック・デリダの名前は知っていても、それが実際にどのような哲学だったのか把握していなかったのだが、これでその基本的な部分を掴むことができた。「差延」についての説明もとても分かりやすい。これを読んでから再び「存在論的、郵便的」を読み返してみて、納得度がとても上がったような気がするから。

27位. 鵞鳥湖の夜
前作の薄氷の殺人は本当に素晴らしかったが、今回も天才的だった。もちろんカラックス、あるいはまったく関係ないだろうが木下惠介監督版の楢山節考を思い出した。あれはオールセットなんだろうけれども。ともかく予告編だけでも観てほしいから。カラックスの新作まだ?

26位. アニメ 映像研には手を出すな!
湯浅監督との組み合わせであれば、おそらく素晴らしいものになるに違いないと思っていたら、予想を超えて大興奮だった。監督、アニメーター、プロデューサーからなる3人のチーム、これらは大学生ではなく、高校生の設定でなければならない。高校生は、純粋な制作活動を信じているが、他方でプロデューサー的な行為も必要なあいまいな年齢だからだ。高校生だからこそ、ある意味でごっこ遊びだからこそ描かれるモノづくりの本質があるのではないかと思ったから。

25位. ピーナッツくん - Drippin' Life
VTuberを「キャラからその中身へ」という方向で捉えるから話がややこしくなるのではないだろうか。むしろ、アイドルやプロレス、あるいはヒップホップなどと同じように、人間からキャラへという方向で考えてみたほうが分かりやすくなる部分もある。そう思うようになったのは、荘子itのトークから。要するにどちらもキャラ化という意味では、Vがヒップホップをすることは相性良さげだと思うわけだが、そういう意味からでもこのDrippin' Lifeが素晴らしい。初めてApple musicでヘビロテするVの楽曲になったから。

24位. あーとかうーしか言えない
こちらもモノづくりを描いた一作。4巻がとても良かったから。

23位. ゲンロン戦記
大学の事務仕事をやりたくなかったり、うっとおしいものだと思って辟易していた自分に別の視点を与えてくれたから。

22位. 銀河の片隅で科学夜話
詳しい感想はこちら。科学の不思議を思い出したから。

21位. ReseachatLT
科学系Podcast、Reseachatが新しいコンテンツ形式を発明した。やはり「視聴者がガッツリと話している」ということが新鮮である。あまりにもトークの時間が長いとハードルが上がるし、短いと話したいことが十分に話せない。結果的に5分という長さも絶妙だったわけだ。この世界にはチャンネルやラジオを持つほどでないが話してみたい、あるいは面白い話を持っているという人が無数にいるのだから。

20位. 親密さ
2012年以来ずっと観たかったが、地方住みにはキツかった本作。しかし、ミニシアターエイドの特典によって今年ストリーミングで観ることができた。次回こそ、劇場で観ることが出来ればと思うから。


19位. 眉村ちあき「冒険隊 〜森の勇者〜」
なんかすごい領域までいったなと思ったから。

18位. 享楽社会論: 現代ラカン派の展開
ラカン派精神分析の現在について。毎ページ面白い話がもりだくさん。特に「統計的超自我」は生権力とつながりがあるし、また後述する官僚制のユートピアとも関連していると思う。つまり、全体で算出した統計を個人にそのまま適用してしまうという”誤まった使い方”についての話である。コロナ禍もあり、この分野の勉強を始めるきっかけになったから。

本来、特定の学術雑誌の掲載論文の全体の被引用回数(≒ その雑誌の影力) の指標であったインパクトファクターを、研究者個人の評価に流用してしまうとき、それは事実上、研究者が執筆してきた論文の価値を大学や研究機関 が主体となって評価することを諦め、アルゴリズムによる評価に任せるということにほかならない。これを、「数字」をフェティッシュとする倒錯的システムと呼ばずにいられようか。アンドリアセンが「意図せざる結果」と呼んだ、均質化とアルゴリズム化の欲望が引き起こす破滅的退廃を、現代の私 たちはいたるところで眼にしているのである。巨大資本と結託したこのよう な数字の専制は、ラカン派の精神分析家が近頃「統計学的超自我」(Brousse 2009)と呼んでいるものに相当すると考えてよいだろう。

松本 卓也. 享楽社会論: 現代ラカン派の展開 (Kindle Locations 1969-1976). 人文書院. Kindle Edition.

17位. PUNPEE - Wonder Wall feat. 5lack
兄弟がいる人間にとって、やはりこの曲はどうしても刺さる。それは兄弟がいる人間にとって、リバー・ランズ・スルー・イットが刺さる理由とまったく同じものだから。

16位. アウトライナーのアプリ
読書の記録がスムーズにできるようになったから。

15位. エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告【新版】
帰ってきたヒトラージョジョ・ラビットハンナ・アーレントアイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男スペシャリスト 自覚なき殺戮者など、今年はいくつかナチスドイツ関連のものを観た。ショアは挑戦してみたが、あまりに長くて家で観ることはできなかった(10時間!)。そんななか、やはりアーレントのこの本は読まざるを得なかったし、結果としてこの虐殺の輪郭を把握することができたから。

14位. tofubeats' record collection ONAIR RADIO 20200531
tofubeats本人があげている。仕事のお供として、今年最も聴いたのはこれだと思うから。

13位. 官僚制のユートピア
ブルシットジョブのグレーバーが書いた官僚制についての本。「手続きを透明化する」という要請は、その根本から矛盾を含んでいる。なぜなら、透明化は必ず例外が伴うからだ。生じた例外は不透明なので、さらにそれをつぶすための透明化が実行される。しかし、2回目の透明化でも必ず例外が生まれてしまう。例外というのは無数に存在するので、これらを完璧に除外することは論理的に不可能だからだ。この最悪の循環によって、官僚的な手続きはどんどん複雑で、だれも理解することができない難解なものになっていく。結果として、透明化や数値による管理を徹底することが最悪の手続きを生み出すから。

12位. 第二回異世界分子生物学会
参加してよかったと思える場があった。投稿することをきっかけとして色々な縁が出来たから。

11位. チリコンカン (栗原はるみ)
チリコンカンは、アジアマーケットで買い物する必要もなく、近所のスーパーの食材だけで日持ちする美味しい料理の最高峰として屹立している。料理をするときに重要なのは、今作っている料理がどのジャンルに属するかを考え、ジャンルに適した調理法を身体(しんたい)で把握しておくことだ。チリコンカンの場合、カレーの変種であることを意識して調理することが料理の「味」に大きくかかわってくるから。

10位. 【公式】 ニューヨーク コント「女上司」
今年は芸人のyoutube移行があり、TVとは違う多様なお笑いを楽しめた。しかし、これは今だけのものだろう。多様化の現象は移行の黎明期のみで起こるもので、数年後にはスケールし、ほとんど一様なものになってしまうのかもしれない。悲観な予想はともかく、なかでもニューヨークのニューラジオや、野田クリスタルのゲーム制作実況、さらば青春の光の動画はすごく面白かった(とはいえニューヨークは去年からやっていたが)。彼らが公開しているコントのなかでは、この「女上司」が最も狂っていて面白いから。

9位. ハーゲンダッツ スピリッツ バーボン・プラライン・ピーカン
北米限定の酒入りハーゲンダッツ、ハーゲンダッツ スピリッツである。4種類ほど試したが、一番おいしいのはバーボン・プラライン・ピーカンだったから。

8位. シラス
作業中によく聴いているゲンロンカフェだが、シラスという新しい配信プラットフォームの登場により、すべての作業時間をカバーできるほどコンテンツが充実してゆくだろう。そう考えるだけでワクワクする。それにしても、一番最初の配信に立ち会ったとき、まさに伝説の始まり感があって高揚した。将来、これを伝説として自慢できるようになればすごくうれしいから。

7位. Medr
今年も文春に寄稿するなど、精力的に活動していた。去年から順位が一つ下がっていることに特に深い意図はないから。

6位. 國分功一郎×東浩紀「哲学にとって愚かさとはなにか――原子力と中動態をめぐって」【『ゲンロン11』刊行記念】 @lethal_notion @hazuma #ゲンロン201027
これこれなど、今年もゲンロンカフェの神回はたくさんあるが、これを選んだのはゲンロン11の論考(悪の愚かさ2)と、中動態の世界を併せて。始まる前はどうなってしまうのかとヒリヒリしていたが、いざ始まってみるとお互いの論考を擦り合わせていくように議論しており、とても建設的で議論のお手本のようなものになっていったから。後半は國分さんがどんどん変になっていったから。

5位. 言葉と物
2020年に新版が発売されたので、とくに問題はない。初めて読んだが、価値観を揺るがすとはこういうことである。非常に難しく、コロナ禍のなかで一日数時間、約一か月かけて読み切った。フーコーは近代の知を生物学、経済学、文献学の3つに代表させている。これらは歴史的にどのように発展してきて、さらに近代ではどのような特徴を持っているのか。生物学専攻としても、読んでよかったと思うから。

4位. COVID-test
コロナ禍以降、週2回PCR検査を受けないと職場に入れなくなった。最初は時間に間に合わずに職場に入れなくなったり、検査時間が急に変わったりといろいろ面倒だったが、いまや毎回専用のアプリにNegativeの文字が追加されていくことが妙な快感に変わりつつある。はてさて、いつまでNegativeの記録を更新できるのか、個人的にも注目しているから。



3位. 社会契約論
250年前に書かれた本が3位にランクイン。この本を読むと、一冊でタメになる知識がひとつやふたつでは満足できなくなった。ルソーみたいに、一段落に一文くらいは唸ってしまうほど面白いことが書かれていない限り、250年も読まれ続けないのではないだろうか。しかも、内容は平易で、すごく読みやすいのだから。

国事について、誰かが「それがわたしに何の関係があるのか」と言いだすようになったら、すでに国は滅んだと考えるべきなのである。
ルソー. 社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫) (Kindle Locations 2122-2123). 光文社. Kindle Edition.
もしも神々からなる人民であれば、この人民は民主政を選択するだろう。これほどに完璧な政体は人間にはふさわしくない。
ルソー. 社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫) (Kindle Locations 1527-1529). 光文社. Kindle Edition.



2位. サイバーパンク2077(PC版)
ジュディがかわいいから。



1位. マンダロリアン
子連れ狼・イン・スペースウエスト。詳細はこちらでも語っている。シーズン2の最終話は、観る前から手が震えた。いやはや、これほど緊張感をもってコンテンツを追ったのはいつぶりだろう。サイバーパンク2077でもそうだが、ベタでステレオタイプなキャラクターと物語を設定したうえで、それらをじっくり語っていくという手法を完璧にやったわけだ。スターウォーズを知らなくても十分楽しめる一話完結の面白さ、だがスターウォーズファンを楽しませる細部も充実している。我々はマンダロリアンを観るために、スターウォーズを好きになったのかもしれない。そして私は、これを楽しむためだけにDisney+に入っているのだ。


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