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04.目覚めの歌

目覚めの歌
solesのファーストアルバム「I don't want you to be dyed like that shining black」の4曲目。

最後のレコーディングが差し迫った夏に、ユウスケ君がデモを送ってきた曲。
この曲の誕生の背景はユウスケ君の記事に書いてあります。今までの曲はどんな意味があるのか聞いてアレンジを進めてきてたのですが、この曲は一切そういった話はしませんでした。
やっぱり言わずとしても分かるし、自分が同じ立場だったら細かく聞かれるのは嫌だし。(今までは曲について面倒なくらい、かなり細かく聞いてた)

それにデモを聞いた段階でほぼ完成してたし、僕の仕事はそれを忠実に再現するだけと思ったから。

ベースは入ってないし、楽器はアコギのみ。
シンセの音とタンバリン?鈴?の音とアクセント程度にバスドラが入ってるだけ。
solesの他の曲と比べると、かなりシンプル。

その中でもこだわった部分があって、目覚め感というか夢の中というか、そういう雰囲気を音で表現しました。
アコギの音もユウスケ君の歌も、あんまりクリアになりすぎないようにしてみたのですが、特別難しいことはしてませんね。
最後の方に入ってる僕のコーラスは、こもった音にしてます。これには目指した質感があって、柴崎友香さんの「きょうのできごと」という小説に出てくる、あるやり取りです。

「お酒に酔った時、卵の殻の中に入っているような感覚になる。」

そのようなニュアンスの会話があるのですが、昔から心に残っていて、酔った時によく思い出します。

この曲の歌ってることとは少し違いますが、夢の中の浮遊感やぼやけた映像なんかは、僕の中のイメージに近くて、この表現を目指してみました。

音で情景を作るのって難しいけど、面白いなとsolesを始めてからよく思います。
数年前の僕じゃ上手く表現できなかった。

僕らはこんなことを日々考えながら音楽を作ってて、曲解説も散々書いてますが、音楽を受け取る人は好きに解釈してくれたらいいと思います。

それも正解だし、人の数だけ音楽があるから。
作り手の思いも受け手の感じ方もそれぞれ。

色んな楽しみ方をしてくださいね。

(いしつかねこ)

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