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バイエルからソナチネに変わり

朔。 

この曲を作った時、絶対にアルバムの一曲目にしようと思った。

タイトルの「朔」には色々な意味がある。 まず、その月(カレンダー)の第一日目、という意味。まあ一般的には一日(ついたち)っ て言いますよね。スマホとかで変換すれば分かるけど、【ついたち】って入れるとおそらく 《朔日》ってのも出てくると思う。

また、英語になおすと new moon となる。新月だ。新月っていうのは実際には見えないらし い。でもそれは存在している。僕は思うのだけど、何かをゼロから創造する時って、頭の中 でまず想像しますよね。それは目に見えているわけではない。自分だけしか知らないわけで す。そういうトコロも良いなと思って。 

さらに、「物事のはじまり」という意味でも使うらしい。うん。まさに一曲目にピッタリの タイトルです。

そして、このタイトルに決めた一番の理由は、モデルがいるからだ。

朔という名前の猫がいるのです。

その猫は僕の親しい人物の愛猫で、サビ柄(黒やオレンジや赤色が混ざった毛柄)をしてい る。【べっこう猫】とか【錆び猫】とも言うらしい。ググればすぐどんなのか分かるので良 かったら調べてみてください。

ある日。僕がその人物と電話する用事があった。僕は自室のピアノの前に座り、アイフォン をスピーカーにしてその人物と話をしていた。主要な案件を話し終えると、何気なく曲作り の話になった。僕は今ピアノで曲を作っている途中だった事を相手に伝えた。でも良いメロ ディが思いつかないと。

「じゃあさ、サクの曲作ってよ」とその人。
「え?サクって何ですか?」と僕。 
「あ、ごめんごめん、飼っている猫の名前なんだ。見てみる?」 
「お、見たいですね」と電話をビデオ通話に切り替えた。 
朔は結構大きな猫だった。急に飼い主に持ち上げられて、少し不機嫌そうな顔をしていた。 目を細めてこちらを見ている。ジーっと。僕と目が合った。
ニャア。
「どうかな?」とその人は微笑んで言った。

電話を切ってすぐに最初のピアノのリフが思い付いた。そのまま歌メロも順調に完成した よ。曲の全体のイメージも、30 分くらいで出来たんじゃないかな。 歌詞に関しても、そんなに悩まなかったな。ちょこちょこ書き直した部分はあるけど、この 曲にはしっかりとした方向性があったから、曲のメロディが歌詞を導いてくれた感じ。

嬉しくなって、その人に電話を掛けたよ。曲が出来ましたって。

へえ、良かったじゃん!聴かせてよ!というので、出来立てほやほやの曲をピアノ弾き語り で歌った。
「すごく良い曲だね。朔も聴いてたよ。ね、朔」とその人は嬉しそうに言った。 

こうして「朔」が出来ました。

その後はスタジオでいしつか君とアレンジを考えたけど、サウンドアレンジはほとんどい しつか君がやってくれました。僕のイメージ通りの曲になったと思う。

タイトル、歌詞、曲調、すべてがアルバムの一曲目に相応しい曲。 

朔。大事に聴いてほしいです。

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