愛着障害は恐怖から逃げるために解離し、愛着不全は甘えられない苦痛から解離(身体化)する

【質問】「愛着障害の人は、解離っぽい話をするし、愛着不全の人は、いつも甘え足りない気配を漂わせています」について質問です。
①解離性障害の解離は完全に解離している(他の人格が肩代わりしている)イメージですが、愛着障害だとどんな状態ですか?意識はあるけど途切れ途切れとか?
②「甘え足りない気配」は、ガマンしてるかガマンしなくちゃと自戒してる雰囲気でしょうか?(優等生)
または穴が空いた水瓶のように受容してるそばから「もっともっと」と甘え足りない話し足りない感じでしょうか?(メンヘラかまってちゃん)

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

【お返事】①については解離の勉強をしましょう。よい本があります。後ほど紹介します。②については、ご指摘の通りです。後ほど補足説明します。その前に、愛着障害と愛着不全の区別をしっかりしておきましょう。

  • 愛着障害とは、親側の原因によって親との愛着が切れている人々

  • 愛着不全とは、親との愛着は存在していたけれど、それが不十分だった人々

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■①愛着障害の解離

まず①の解離についての質問ですが、解離性障害は幅の広い概念です。つまり、「この風景を見ていてもなんかリアルさを感じないな」という違和感から「人格が交代する」までグラデーションがあります。

前者は離人、後者は解離性同一症(多重人格)ですね。さらに、芸術家が芸術を生み出しているときは、この解離状態になっていると言われています。創造的解離ですね。ですから、解離というのはポジティブなものも含まれているのです。創造的→離人→病的、このようなスペクトラムなものなのです。ですから一口には言えません。

次に愛着障害の人の解離ですが、これは世界に対しての「恐怖」が原因です。親との間に基本的信頼感を構築できなかったゆえの恐怖です。ここから逃れるために解離します。愛着障害の解離は、離人感から解離性同一症まで幅広いです。離人は離隔、解離性同一症は区画化ともいいます。ソレアの記事もご覧ください。幽体離脱と解離性障害(愛着障害)

柴山先生の本がおススメです▼。新書ですがかなりの専門的内容です。心理士の方は、解離については、この程度は理解しておきましょう。解離は不思議な現象で、医者もよく理解していない人が少なからずいます。幻聴や幻覚が解離と分からずに、統合失調症という誤診をしてしまうケースもあります。

解離性障害(柴山雅俊)ちくま新書, 2007

■②愛着不全の甘えと解離(身体化)

愛着の問題があっても、愛着障害と違って愛着不全の方は、「甘え」が優勢になってきます。解離する場合もあります。愛着障害の解離とは違うのは、甘えが満たされず、その苦痛から逃げるために解離(身体化)します。正しくは「身体化」ですが、解離と言えなくもないでしょう。愛着障害とは解離する背景が違うのです。

愛着不全の方の甘え足りなさですが、質問者さんのご指摘のように、甘え不足が表現されるのは、「優等生」と「メンヘラかまってちゃん」ですね。どちらも同じルーツです。愛情飢餓状態なんですね。小さな子どもがガマンしてギャーと騒いでいます。愛情を入れても入れても底が抜けているので、貯まっていかない感じです。ザルの中に愛情を投入しているようなものです。

治療は、そのザルの穴をふさいでいくことから始めます。この過程が長いのですが、カウンセリングを通してカウンセラーとの二人三脚で進みます。自分の感情を自分で受容できるようになることで、このザルの穴がふさがれます。キーワードは【感情】です。

その先に双子のカメレオンとの出会いがあるでしょう。これは同時に進んでいくこともあります。双子については、【愛着の治癒】自分の色がないカメレオンが見つけた安全基地の作り方|双子自己対象という生き方  

■まとめ

  • 解離は、離人から解離性障害まで幅広い概念です

  • 愛着障害は恐怖ゆえ解離し、愛着不全は甘えが満たされない苦痛から逃げるために解離(身体化)する

  • 優等生やメンヘラかまってちゃんは、愛着不全です

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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