愛着障害は【親密さ】が問題|共感はするが、知られるのが怖いから隠している
【お返事】この質問と解答を理解するためのキーワードは、愛着障害の人の「親密さの問題」です。
※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼
※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■親密さとは?
親密性とは、エリクソンの心理発達段階では、思春期を抜けて、モラトリアムを卒業して、大人になった段階(成人期I期)で獲得される発達課題であるとされています。上手に相手に親密になることで、相手を理解しつつ、深い友情や生涯のパートナーと出会うことができます。
質問者さんも、愛着障害の人とこの親密を作りたいのに、うまくいかないことにいらだっているのかもしれませんね。どうしてもっと打ち解けてこないのか!?と。
愛着障害の人には、親密の問題があるため、あなたが近づきすぎると、相手は離れていきます。この行動が、急に起こることもあり、残された人には意味不明な印象しか残りません。当人も、なぜそんなことをしたのか、よく分かっていないことも多いです。
このことに寂しさを覚えるあなたは、きっと愛着ある世界で育ったのでしょう。普通の人は、愛着障害の人のドライさに、水くさいとか、気持ちの薄さにヤキモキするでしょう。それは仕方のないことだと思います。
■愛着障害と共感について
愛着障害の人が、共感をしていないのか?という質問ですが、愛着障害はASD(自閉スペクトラム症)とは違うので、普通に、共感はしています。
ここは、愛着障害の人と自分の子どもの関係を見ればすぐわかります。子どもが親へ向ける愛着信号に対して、親がちゃんとキャッチして(怖いながらも)返そうとします。つまり「親子間の情緒交流が成立」しているのです。社会的(情緒的)ネグレクトではないところが、「共感している」証拠です。
社会的(情緒的)ネグレクトについては関連記事をご覧ください。
■共感していることを隠す人々
しかし、その共感しているという気持ちを表面に出すと、彼らの命取りになるので、共感していることをカモフラージュします。ここは無意識的に、用意周到に、その行動を取ります。息を吸うように隠します。
なぜ隠すのか?それは、共感していると知られると、人が寄ってくるからです。これをされると、彼らの「親密は恐い」という琴線に触れてしまいます。寄ってこられると、嫌悪感や不快感が増大するのです。
こころの底では、共感したいし、愛していたいのですが、こころの上澄みでは、こんな心理が働いています。
しかし、共感していない雰囲気が出てしまうと、この世界では摩擦が起きることを知っているので、最終的に「人に合わせる」という行動に出ます。まとめると、
(こころの底では)共感しているが、
(こころの中間層あたりでは)共感していることをカモフラージュをして、
(こころの表面では)同意して、合わせます。
合わせるという行動を、無自覚に、自動的に取っていれば、「余計なこと」を考えずに、なんとかこの世を、目立つことなく流れていくことができるからです。彼らにとって余計なこととは、人と親しくなるということです。
■回復すると、自己主張しだす
愛着障害の人は、自分の気持ちを自己主張できるようになることが、1つの回復目標になります。自己主張できるようになるので、人前で共感することもできるようになります。
しかし自由に自己主張できるかというと、そうでもなく、おっかなびっくりなこころの様相は相変わらずかもしれませんが、本人にとってはずいぶんと生きやすくなっていることに気がつくでしょう。心を許せる親友もできます。
あなたが友だちであるなら、その時期が来るまで見守っている選択肢もあるかもしれません。いや、そういうのは嫌だというのでしたら、それはそれで仕方のないことですね。
■まとめ
親密さとは、思春期を抜けて大人になった人が最初に直面する発達課題
愛着障害の人は、親密さが最大の問題である
愛着障害の人は共感はするが、それを隠しながら、相手に合わせている
愛着障害の人が回復すると、自己主張を始める。そのため共感していることが分かる。
◇ラジオのおやすみ談話室:昨日の放送、倫理規範について。①学童期に作られ、②思春期でリフォームされ、③成人期で完成する。
■他の助けを求めるのもいいでしょう
もし、あなたのパートナーが愛着障害で関係性がうまくいかないのでしたら、愛着障害の専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。臨床心理士でも愛着問題に理解のある人は少ないかもしれませんが、どこかには必ずいますのであきらめないことです。
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