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$4 Sparkle patch cable - DIY Eurorack Modular Synthesizer

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背景

自作モジュラーシンセの64作品目。
モジュラーシンセは、見た目が非常に面白い楽器だ。楽器のパフォーマンスにおいて、光の演出は重要な要素だ。

フィラメントLEDが市販され始め、ホビーでも使えるようになったので、フィラメントLEDを使用したパッチケーブルの作成を企画した。

フィラメントLEDとは?

形状は紐状で、中には小さなSMD LEDが並列で繋がっている。
3Vを印加すればフィラメントLEDは光る。

これまで、光るワイヤーといえば、ELワイヤーが一般的だった。ELワイヤーは非常に安いのだが、光らせるには100V以上の高電圧が必要で、モジュラーシンセのパッチケーブルとして使用することは不可能だった。

フィラメントLEDは電圧という課題を解決し、かつ通常のLEDと電気的に同じ振る舞いをするので非常に使いやすい。

Sparkle patch cable

設計したパッチケーブルは「Sparkle patch cable」と名付ける。
3種類のSparkle patch cableを設計した。

1.Unipolar for Beginner

電子工作の初心者でも作りやすいケーブル。
プラスの電圧で光る。マイナスの電圧では光らない。
プラグとプラグの間は、LED1本と、ワイヤー1本で繋がっていて、熱収縮チューブで束ねている。見た目は良くない。

2.Unipolar for Expert

電子工作の経験者向けケーブル。
プラスの電圧で光る。マイナスの電圧では光らない。
プラグとプラグの間は、LED1本で繋がっていて、見た目が良い。

3.Bipolar

電子工作の初心者でも作りやすいケーブル。
プラスとマイナスの電圧で光る。
プラグとプラグの間は、LED2本と、ワイヤー1本で繋がっていて、熱収縮チューブで束ねている。見た目は悪い。
技術検証用の試作品で、作成はお勧めしない。

作り方

材料

フィラメントLED
3.5mm モノラルプラグ
熱収縮チューブ(透明):φ3以上推奨
ワイヤー
カーボン抵抗:1kohm ~ 3.3kohm
ダイオード:1N4148(適当なダイオードでOK)

製作費

1本あたり、$4~8で作成することができる。
フィラメントLEDはaliexpressから購入。
130mmで$2.74、300mmで$3.83、送料無料。

3.5mmモノラルプラグも、aliexpressから購入。$2/10pcs、送料無料。

組立図

図の通り部品を接続する。
接続後は熱収縮チューブでワイヤーとフィラメントLEDを束ねる。

フィラメントLEDと、ダイオード1N4148には極性がある。
アノード(+)と、カソード(-)の向きがある。
フィラメントLEDは端子に穴が開いているのがアノード(+)だ。

1.Unipolar for Beginner

組み立ては比較的簡単だ。
強度が不安な場合は、熱収縮チューブで補強すると良い。
プラグ間のワイヤーとフィラメントLEDは、途中で熱収縮チューブで束ねる。

2.Unipolar for Expert

組み立ては難しい。
フィラメントLEDの蛍光体を切断し、内蔵されるフレキシブル基板の銅箔を露出させる。LEDのアノード側のパターンにワイヤーのはんだ付けを行う。

3.Bipolar

組み立ては比較的簡単だ。
強度が不安な場合は、熱収縮チューブで補強すると良い。
プラグ間のワイヤーとフィラメントLEDは、途中で熱収縮チューブで束ねる。
Bipolarは技術検証用に作った試作品なので、強度は考慮していない。実際に作成する場合は、より強靭な構造で組み立てることを推奨する。

より詳細な情報

詳細な組み立て情報、技術検証はPatreonに記事を投稿する。
記載内容は
「消費電流と光り方の相関性」
「色ごとの順方向電圧」
「Unipolar for Expertの組み立て補足情報」
「低電流時の光り方」
「フィラメントLEDの直径寸法」
必ずしも必要な情報でないため、気が向いたらPatreonを覗いてほしい。

https://www.patreon.com/posts/sparkle-patch-77265420?utm_medium=clipboard_copy&utm_source=copyLink&utm_campaign=postshare_creator&utm_content=join_link

私のDIYは支援で成り立っている、非常に感謝している。
今後もDIYを継続するためにも、支援いただけると助かる。

私が使っている銀色のケーブルは、オーダーメイドの外注品だ。1本あたり$0.5で作成できる。こちらもpatreonで記事にしているので、パッチケーブルをカスタマイズしたい人にお勧めだ。

https://www.patreon.com/posts/report-small-lot-68507932

欠点

CVのレンジが小さくなる

ケーブル内の抵抗と、出力モジュールの出力抵抗により分圧が発生するため、CVの出力レンジが小さくなる。対策は後述する。
CV電圧にもよるが、CVレンジが約10~30%狭くなる。
また、正確なCVを伝えることもできないので、V/octラインでは使用しないほうがよい。

低い電圧では光らない

LEDの順方向電圧の特性により、2.5V以下のCVではLEDが光らない。

強度が弱い

フィラメントLEDは十分な引っ張り強度がないので、パッチケーブルを挿抜する場合はプラグを持って挿抜すること。フィラメントLEDを持って引っ張ると、切断したり、はんだ付け部が破断する懸念がある。

カスタマイズ

より明るく光らせるには

LEDは直列に接続された抵抗値が小さいほど強く光る。
しかし、抵抗値を小さくしすぎると、出力側モジュールの出力抵抗との分圧が発生し、電圧降下が発生。CVのレンジが小さくなるデメリットがある。

今回、3.3kohmの抵抗を使用しているが、カスタマイズする場合は1k~4.7kohmの抵抗を使用することを推奨する。

また、LEDは高い電圧ほど、強く光る。
電圧はモジュールの出力に依存する。ゲート信号とCVは5~10Vの電圧を出力するモジュールが一般的だ。
10VのCVと、1kohmの抵抗を組み合わせると眩しすぎるかもしれない。その場合、抵抗値を大きくすればよい。
5VのCVと4.7kohmの抵抗では光が弱い。

回路の動作

LEDの負電圧保護

LEDは逆方向に約4~5Vが印加されると、破損する恐れがある。
モジュラーシンセでは、音声出力やCV出力でマイナス5V以上が印加される状況が多々あるので対策が必要だ。

Unipolarの回路では、対策としてダイオード1N4147を追加している。
逆方向に電圧が印加された場合、ダイオードを経由してマイナスの電圧がGNDに流れることで、対策している。

Bipolarの回路では、並列に接続したフィラメントLEDが、Unipolarでのダイオードと同じ働きをしている。よって1N4147は必要ない。

過電流保護

Mutable instruments等の多くのモジュールメーカは、出力抵抗を1kohmにしている。一部のメーカは330ohm程度の抵抗を使用している。
また、電圧範囲は0~10Vが一般的である。

フィラメントLEDの電流定格は50mA程度であるため、過電流によりフィラメントLEDが破損する懸念はない。

Q&A

パッチケーブルにGNDワイヤーが無い?

プラグのGNDを繋ぐワイヤーは無い。理由は、組み立てを簡単にするためだ。GNDワイヤーあっても影響ない。
モジュラーシンセは、電源コネクタを通じでGNDを共有しているので、パッチケーブルのGND接続は必ずしも必要ではない。例えば、BuchlaのパッチケーブルにはGNDは無い。
ただし、異なる電源のモジュールを接続したりする場合は、GNDワイヤーがあったほうが、動作は安定する。

ギターペダルのパッチケーブルで使えるか?

エレキギターの音声電圧は、LEDの順方向電圧より小さい。よってギターペダルのパッチケーブルを光らせることは出来ない。

nOOds LED V Signal Visualizersとの違いは?

モジュラーシンセでフィラメントLEDを光らせるアイデアは、nOOds LED CV Signal Visualizersがあります。私もインスパイアを受けました。素晴らしいアイデアに感謝します。
記事を読む限り、光るだけでCV電圧を伝えることはできないようです。マイナスCVに対する保護回路もないようでした。
Sparkle patch cableはそれらの欠点を補っています。

作成・販売してもいいか?

無許可で作成・販売しても問題ありません。ライセンスは放棄しています。
(LEDに抵抗を繋げただけの回路に、権利を主張することもナンセンスです。)
ただし、問題発生時の責任は負いません。

可能なら、私のYouTubeチャンネルを紹介してもらえると嬉しいです。
また、今後もDIYプロジェクトを継続するためにも、patreonから支援してもらえると助かります。

私の願いは、10代や20代の若い人たちにもモジュラーシンセのシンセサイズを楽しんでもらうことです。DIYを通じて、それに貢献できることを望みます。

最後に

このブログを書いている2023/JAN/15に、Yellow Magic Orchestraの高橋幸弘さんが亡くなりました。
Yellow Magic Orchestraは私を電子工学とシンセサイザーの世界に導いた、偉大なバンドです。ご冥福をお祈りします。

Sparkle patch cableも、Yellow Magic Orchestraからインスピレーションを受けています。彼らは1979年ロサンゼルス Greek Theaterでのライブで、MOOGモジュラーシンセに電飾を施し、クリスマスツリーの様に光らせていました。


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