日産スタジアムで、記憶にも記録にも残る試合を観てきました。
まさか、こんな歴史的な試合を目撃することになるとは。
初の日産スタジアム。でも……
11月6日、J1リーグ第35節横浜F・マリノスvsFC東京を観に日産スタジアムまで行ってきました。日産スタジアムと言えば、2002年の日韓ワールドカップ決勝の舞台。そして2019シーズン、Jリーグ新記録となる6万3854人の観客数を記録したスタジアムでもあります。そのときも今回と同じ対戦カードでした。
個人的に今シーズンのJリーグはマリノスの試合を沢山見ていたし、こんな立派なスタジアムに行くんだから気分はノリノリなはず……ですが、この日はそこまでテンションが高いわけではありませんでした。
というのも、この第35節の時点で既に川崎フロンターレの優勝が決まっていたからです。この試合のチケットを取ったときにはまだマリノスにも優勝の可能性があったのですが、第34節のガンバ大阪戦で敗れてしまったことで、同じ神奈川のライバルの連覇を許すことに。
ガンバ戦が行われる前までは、このFC東京戦では逆転優勝を目指して戦うバイブスMAXのマリノスが見れるはずだ! と期待していたのです。でも、もう優勝はなくなったし……来季のACL出場権獲得のミッションは残っているけれど、モチベーションはどんな感じなんだろう。面白い試合見れるかな、と少し心配していました。
しかし、こんなちっぽけな不安を吹っ飛ばすパフォーマンスが見れるとは全く想像できず。
楽しみ以外の感情も抱えながら板橋区を発ち、スタジアム最寄りの小机駅へ向かいました。耳元では佐久間宣行さんのラジオを流しながら。
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なんじゃこりゃ!
小机駅から土手道のようなところを歩き、日産スタジアムを発見した瞬間に僕の中の松田優作が全力で叫びました。
さっきまで緑豊かなところを歩いていたはずなのに、突然目の前に現れた巨大な砦。一気に日常から非日常に投げ飛ばされました。この"非日常スイッチ"をもう1度味わうためだけに日産スタジアムへ足を運んでもいいと思えるくらい、中毒性がある感覚でした。
さて、スタジアムに着いたけど試合までまだ時間が残っています。朝からほとんど何も食べていなかったので、とてもお腹が空きました。
そういえば、横浜はすき家発祥の地だと聞いたことがあるな……とふと思い出したのですき家に行くことに。
「すき家なんていつでも行けるだろ」
「前回のサッカー旅でも行ってただろ」
なんてツッコミは聞こえません。
ということで一旦、非日常から日常に戻ります。
すき家とサッカーの思わぬつながり
着きました。今回のすき家はなんだか陽の光が高級感を演出してくれていますね。さすが本場と言ったところでしょうか。
普段は牛丼の並盛を食べていますが、せっかく横浜まで来たのでちょっとグレードアップしてねぎ玉牛丼の並盛を注文。いつものメニューにねぎと卵が乗っかっただけでこんなにも違うのか、と毎回感心させられます。すき家にここまで心を打たれる人間が他にいるだろうか、と自分にも毎回感心しています。マジです。
あ、そういえば。知っている人も多いと思いますが、すき家ではラジオが流れています。パーソナリティを務めるのは「元気モリモリ、高森浩二」のフレーズでお馴染みの高森浩二さん。僕がすき家に頻繁に行くようになったのは高校生の時ですが、記憶が正しければ当時から『すき家Radio』では高森さんの声が流れていました。彼は一体何者なんだろう、と何となく気になったのでググってみると……なんと大宮アルディージャのスタジアムDJを担当しているではありませんか!
Jリーグ通の方なら知っていて当然かもしれませんが、サッカー旅人Lv.2の僕にとっては衝撃の事実。思わぬところですき家とサッカーのつながりに気付くことに。これもサッカー旅の醍醐味ですね。わざわざ足を運んだからこそ、このスポーツの楽しみ方がまた1つ増えました。いや、すき家なんていつでも行けるだろ。
食べ終えた後、店員さんにお礼を伝えて店の外へ。そして、すき家が横浜発祥という記憶が正しかったのかどうかを調べていると、なんとすき家どころか牛丼そのものが横浜で誕生したという事実を知ることになります。
開国に揺れる幕末の1862年、牛丼の源流と言われている牛鍋を「伊勢熊」という横浜の居酒屋が売り出したことがすべての始まりだそう。そして明治時代に突入し、「牛飯」という名称で牛丼の販売が開始。当時は警官が牛飯屋で食い逃げしたり、強盗が入ったりと、事件が起きることもしばしばあったようで。明治32年には吉野家の前身である「吉野屋」がオープンし、牛飯を「牛丼」と呼び始め、*☆○%□……おっと危ない、サッカー旅から牛丼旅にすり替わってしまう前に日産スタジアムに帰りましょう。
非日常に復帰。
衝撃のワンサイドゲーム。過ぎたるは猶及ばざるが如し
この日の座席は、1階の7列目でした。先程の写真を見てもらったら分かると思いますが、選手の目線の位置とそこまで大差はありません。
そしてウォームアップを見ていると、僕の目の前にとある男性3人組が到着。席に座るや否や世間話とサッカー談義を始めました。聞こえてくる会話の内容から察するに、この3人は会社の同僚なのだそう。右に座った方がFC東京サポーターで、他の2人の先輩。左に座った後輩の方はマリノスサポーター、真ん中の後輩の方はどちらのサポーターでもないそうです。
僕とこの3人の位置関係を表すとこんな感じです。
この試合の後は3人で飲みに行くようで、キックオフ前にはマリノスサポ(後輩)が「今日の試合のスコアによってはこの後の飲み会が悲惨なことになりそうっすね(笑)」と一言。
そして試合が始まってからも3人の会話は止まらず。両端の2人がそれぞれのチームの選手の特徴を語りつつ、中立(後輩)の方がそれに相槌を打つスタイルでトークは進んでいきます。なんだかラジオを聴きながら観戦している感覚になり、楽しくなってきました。
しかし、この「ラジオ」は試合が進むに連れて口数が減っていきます。マリノスサポ(後輩)が試合前に放った台詞が、見事にフラグを回収(?)することになったのでした……。
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サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…
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