自分の姿を写し出す鏡。それは皮肉にも良いものも悪いものも全てを写し出す。
朝起きて、鏡の前に立つ。
その時の表情を見た時、私は落ち込んでいるんだと感じた。口角が全体的に下がっており、目の中に一筋の光さえも感じない。
私自身、鏡を見るまでは特別これといった悩みはないものと思っていた。
だが、思い返せば最近の生活に刺激を感じていなかった。毎日仕事に追われて、帰ってくると
適当にご飯を作り、作業のように家事をしてお風呂に入って寝るだけの生活だった。
鏡を見る余裕も自分のために費やす時間も無かったのである。
私の思い描いていた未来は、好きな仕事を伸び伸びとして、美味しいご飯を作りお酒などを嗜みながら映画を見たりと華やかなものだった。
現実はどうだろうか。何一つとして当てはまっていない。
私は変わろう。そう決意した。
まず、仕事が終わって手の凝った料理に挑戦してみることにした。完成した時の喜びは言葉には表せないものだった。それからずっと見れずにいた好きな映画の録画を見ながらワインを飲んだ。ノリノリの音楽を流しながら洗濯や洗い物をして一通り終わったので寝ることにした。
寝室に入るときに鏡が目に入った。
その時の表情は、今鏡に写し出されてる人が自分ではないと錯覚するほど変わっていた。
全体的に下がっていた口角は上がっていて、
輝いた目をしていた。それを見て自然と笑みが溢れた。私は、明日からも頑張ろうと鏡に向かって決意をして、眠りについた。

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