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「要注意!! 借地権付き建物」

スーモやホームズ等の物件情報サイトでここ数年、ぱっと見お買い得とも破格とも思えるような戸建やマンションの情報が流れてきます。

大抵の場合、権利部分には「借地権」「※旧法借地権」等の記載がされています。
この借地権付き建物、要注意です。

一般的に借地権付き建物は、所有権付きの建物の6割〜7割程の価格で購入することが出来ます。
戸建の場合、土地は地主(他人)の持ち物であり、建物部分は購入者の持ち物となり、他人の土地に自分の建物を建てるということになります。

一部の戸建販売業者は、都内エリアで販売している大半の物件をこの借地権付き戸建として魅力的な価格で売りに出しています。


メリットとしては、安く物件を購入し居住することが出来る、固定資産税・都市計画税の税金がかからない。
それだけです。
それ以外に多くのデメリットが存在します。


①ローンが組みにくく、融資条件が不利になる
②地代を払い続ける
③売却が困難


①借地権付き建物の場合、金融機関の融資が受けにくくなります。
大半の物件の場合、建物ではなく「土地」に価値があります。
返済者がローン支払いが困難になった場合、金融機関は差押えをする為に土地を担保に設定します。
借地権の場合、この担保が上物である建物にしかかけられません。

税務上、戸建の場合、新築木造の場合、償却期間は20年です。つまり、20年で上物の価値は0円になります。

金融機関からすると、いざという時の差押えの担保に価値が付かない為、融資をするのを嫌います。
一般的に住宅ローンは35年間で組みますが、借地権付き物件の場合、通常より金利が高くなる場合や、返済期間が短くなり支払い額が増加する場合、頭金を多く積まない限りは融資を断られてしまう可能性が高いです。


②家賃を支払うのが無駄であるので住宅を購入する。
多くの方はこの考えをお持ちです。
しかし、借地権付き物件の場合、半永久的に地代を支払い続ける為(地代の年額相場は、固定資産税・都市計画税の年額の3〜4倍程度)、総支払い額は嵩みます。


③旧法、新法借地権共に、原則、借地期間中の解約は出来ません。そして、建物を売却する際も地主の許可が必要になります。
地主の中には借地権の売却を認めてくれないというケースもあります。
売却時、購入希望者に①の条件が与えられるので、契約成立、融資実行のハードルがかなり高くなります。
また、通常の所有権付き建物と比べても売却スピードが圧倒的に遅くなります。
最終的に売却が出来る当ては、圧倒的に買い叩きをしてくる業者のみです。
業者はスクラップ&ビルドで地主と協力し、再度「魅力的な価格」で、新たな借地権付き建物の購入希望者を探します。
最近では都内の一等地で借地権85%、所有権15%がミックスされた高級マンションの販売が発表されています。そういう怖い世界です。


借地権は相続対象となる為、明治時代や戦後から続き、昔からの権利を有している方達は、上物だけ建て替え住み続け、再度相続していく流れになりますが、自ら借地権の怖い世界に踏み込んでいく必要は全くもってないと考えます。
まさしく「安物買いの銭失い」の象徴と言えるでしょう。



※旧法借地権

借地借家法ができる前の借地法による借地権のこと。
借地契約を更新し続けることで、ケースにより半永久的に借りられるという特徴があります。
旧借地権は、存続期間の定めが無い場合、建物が老朽化し、朽廃すれば、借地権が自動的に消滅します。
逆に言えば、存続期間が定められていれば、建物が朽廃しても借地権は消えません。
存続期間の定めのある契約における建物の朽廃は、地主側が契約解除を求める上での正当事由にはならないということです。また、物理的に建物が無くなる「滅失」の場合、再築を認める前提の規定となっています。つまり普通借地権より借り主側が強い権利と言えます。

新法借地権

平成4年8月に新たに制定された「借地借家法」で定める借地権の一つ。
契約更新を前提としている借地権で、地主は正当事由がなければ契約を更新しなければなりません。
借地権の存続期間は当初は30年で、更新後第1回目は20年、それ以降は10年と期間が徐々に短くなります。
普通借地権には朽廃による消滅の規定はなく、滅失となります。
滅失後の建物再建、特に借地契約更新後の建物の再築に関しては、地主の承諾なく行うと、借地権を失う可能性があります。
旧借地権では、借主側が強かったのに対し、新法では地主側の都合でも解約できるという規定が設けられました。

長谷川


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