【詩】ひめけしの咲く頃に
花は摘まれて
風に千切れて
泥にまみれて
靴に潰されて
樋に溢れて
壁を辿って
夜毎に萎れて
光に透けて
颯に戸惑って
路地をさまよって
空を旅して
屋根に落ちて
日差しに枯れて
雨に打たれて
水に溺れて
川に洗われて
ひめけしの咲く頃には
塵となって
行方知れず
それでも花に恋もちる
※ もちる … おちる 散る
もうすぐ桜の季節、
けれど忙しない暮らしのなかで時は過ぎて、
花は散り跡形もなく消え去るけれど
人のこころにずっと残り続けるもの。
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