速乃丸六

スマホメモの発散場所

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最近の記事

project_Yog

博士は語り始める。 「私の今までの研究に一体何の意味があったのだろうか。私が結果を出してもそこではすでに先人が旗を立てて自分のものだとアピールしている。それに周りも煽られて、先人のおかげだと他人の手柄に仕立て上げる。どうせ私は他人の延長線上でしかないのだ。そうだ。コピー、複製、模造、模倣、改良、劣化したものでしかないのだ。私がどれだけ足掻こうと原点、第一人者になることはできない。」 「そうなったらもう、簡単だろう?私がこの時代にいる限りは第一人者にはなれないんだよ。 なら

    • 愛慕

      あなたのことばかりいつも考えている。 浜辺であなたに恋をした。 あなたと出会ったのは初めてで初めてじゃないようで。  稲妻に打たれたような衝撃だった。 きっとあなたに惹かれてしまったんだろう。そんな私が怖くて。思わず逃げてしまったんだ。それでもあなたへの思いが溢れて止まらない。  あなたの歌声はとても美しい。 いつも考えてしまう。高ぶる心。あなたが愛おしくてたまらない。思いが届くことがないのは分かってる。それなのに、どうしてこんなにも諦められないのだろう。もし、あなたの手

      • 箱庭case.2.

         ここに来てからどれぐらい経ったのだろうか。前後上下左右白い正方形に囲まれたこの部屋に、気がついたら立っていた。出入り口は見当たらず、携帯も電源がつかない。だが不思議なことに空腹になることも眠くなることもない。  部屋の中央に箱がある。両手で抱えるほどの大きさの白い箱だ。どうしようか。開けてみようか。中に爆弾でもあるのか。ここから出る方法でもあるのか。出る方法なんてあるのか。夢でも見てるのだろうか。部屋を見回す。白に取り囲まれる。白に取り込まれる。なぜかは分からないがあぶら汗

        • 箱庭 case.1.

          「テセウスの船を知っていますか?」 とロボットは問う。白い部屋。立方体。ロボットと私。ただそれだけ。 「テセウスの船を知っていますか?」 と腰ぐらいの高さのロボットは首を傾げ、再度問う。 「ここはどこなんですか?」 窓も扉もないが、天井の四隅に監視カメラがある。 「さあ。私にも分かりません。」 流暢に喋るロボットだ。 「ここから出られないのですか?」 「出られるかどうかは分かりませんが、可能性はあります。」 監視カメラは作動中のランプが点いている。 「テセウスの船を知って

          犯人の1日

          6時。起床。 お湯を沸かして、パンを焼いて、顔を洗う。コーヒーを淹れて、パンに苺ジャムを塗って、朝食をとる。 7時。 洗濯機を回す。テレビをつけてニュースを見る。ゴミを出す。火曜日今日は可燃の日。 8時。 洗濯物を外に干す。汚れが落ちきっていない服は後でもう一回である。 9時。 お風呂に入る。シャワーを浴びる。シャンプーが切れる。出る。髪を乾かす。 10時。 歯医者に向かう。晴れ。風が少しある。 虫歯なし。 11時。 そのままスーパーへ向かう。途中、横断

          白と黒の狭間にて。

          目が覚めた。 白い天井。白い壁。白い床。白いベッド。白い扉。他には何もない。ベッドから起き上がろうとしたが、体が動かない。手足がしっかり拘束されている。  ノックの音が鳴り白い男が部屋の中に入ってきた。 「おはよう。調子はどうだい。」 と男は言う。 「調子はあまり良くはないですね。」 手足を見る。 「なぜだか体が動かせなくて。」 男はベッドに繋がれている手足を見てから再びこちらを見た。 「そうだろうね。」 「ここはどこなんですか?」 「ここはね、病院だよ。」

          白と黒の狭間にて。

          妄想信者の滑稽まとめ

          私の中でライブ「滑稽」について整理した話。 隠謀論者みたいな考察多発注意。 以前書いた内容に書いていたものがあったりなかったりしますが、あまり気にしないでください笑 ▶︎菊田市子について 大学生教育学部 親に無断で中退。 中退と入信理由(おそらく) 弟死亡→母 家族構成 市子、弟、母。父は不明。 さ ※コント内で「二人きり」と言っていることから現時点では居ないことが分かる。 〇菊 葬式のイメージがある。 黄色い菊の花言葉 「軽んじられた恋」「破られた恋」 黄色い菊は

          妄想信者の滑稽まとめ

          滑稽考察、仮説、予想。

          この文章はA マッソ単独ライブ「滑稽」のネタバレ、考察、根拠が足りない仮説となっております。まだ滑稽をご覧になっていない方は必ずここで開覧を止めるようお願いします。 配信チケット↓ 他の方と被る内容があったり、それを否定することもあるかと思われます。また、日本語弱者のため誤字脱字等は甘めに見ていただけると幸いです。 後日追記もしていきます。 ※私は現地に行くことができませんでしたが、たくさんの方にご協力いただきました。本当にありがとうございました。 ▶まず、滑稽とは 1

          滑稽考察、仮説、予想。

          天然と養殖

          あんこに「半殺し(つぶあん)と皆殺し(こしあん)」があるように、たい焼きにも「天然と養殖」がある。たい焼きを一つ一つ別で焼くのが天然。複数個を一つの道具で一度に焼くのが養殖である。 たったこれだけの話なのに、天然、養殖という名前をつけるなんて粋だなと高校生ながら思ったりする。 この言葉に出会ったのは私がまだ小学校に入学すらしていない頃。駅の近くにたい焼き屋があった。母の自転車の後ろに乗せられ買い物に連れていかれるのだが、駅の方に行くと必ずたい焼き屋に寄った。 店のベンチ

          天然と養殖

          ラッコ。

          人間が気付かないうちに、ラッコは人を上回る動物になった。正確に言えば、知ってはいたものの気付けなかった。ラッコは道具を持っていた。ヒトの打製石器と変わらないことに気付けなかった。ラッコは減ってなどいなかった。文明を隠すための罠だった。ラッコはヒトから色々な物事を学んだ。戦争など起きなかった。ラッコは海を完全に制した。地球上の7割を占める海を制した。 しかも、ヒトから学んだのか他の生き物にラッコは必要以上に介入しなかった。させなかった。 ヒトはラッコを羨んだ。 もう遅かっ

          ラッコ。

          赤ずきん

          赤ずきんは、おばあさんのお見舞いに行かなかった。行かなかったというより、行けなかった。 オオカミのせいで、病院に入れなった。 おばあさんが亡くなった。 赤ずきんはオオカミに復讐すると誓った。 必死に勉強した。 赤ずきんはオオカミウイルスの抗体を発見した。 赤ずきんは絵本ではなく、歴史の教科書に載った。

          赤ずきん

          けむりちゃん 2023.1.10のメモ

          冬はいつも けむりちゃんといっしょだった。 さむいあさに けむりちゃんは ぼくの口からほわぁ〜っと出てきて、 「今日もさむいね」 と言ってきえてしまう。 もう一度ふぅ〜っといきをはくと 「さむいけど、いい天気だね」 と言って、またきえてしまう。 けむりちゃんは いつもすがたがかわる。 ぼくの口から出てくるいつもの けむりちゃん。 おふろから出てくるひらひらしたワンピースをきた けむりちゃん。 工じょうから出てくるまっくろなドレスをきた けむりちゃん。 おせんこうか

          けむりちゃん 2023.1.10のメモ